幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第9章

傭兵隊

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 傭兵隊は拠点を持つ事はあってもどの国にも属さず、人種や身分、出身地、前職などを問わない完全能力重視の集団であるが、更に数ある傭兵部隊の中でも厳格で倫理なども厳しい部隊で知られているという調査結果と、幻獣士ギルドからの依頼の成果などから、どの人族に渡しても問題ある能力を持つ種族や、秘匿性が高い種族の受け入れ先として相応しいのでは?という意見が多く出た。そこで相談のため幻獣士ギルド幹部と傭兵部隊の上層部が同数で集まって話し合う事になった。帝国や王国、教会などに怪しまれないためにそれぞれが各地のダンジョンや迷いの森に訓練などに出掛け、そこから大精霊に転移してもらう形にした。但し傭兵部隊はまだ正式に加入していないため、指定場所に移転の魔法陣があると告げて密かに実行された。

 ひと通り挨拶と傭兵部隊の近況やどんな改革をする予定なのかなど、加入に向けてのプレゼンが最初に行われた。その内容を聞いて問題が無さそうだと幻獣士ギルド側の幹部が全員一致したため、本題に入ることにした。予め今からの話すのは加入を前提としたもので、加入しない場合には精霊王達との約束に基づく秘匿内容や、幻獣士ギルドとの直接的な関わりなどの全ての記憶が消える精霊契約をすることを説明し、この場にいた全員が承諾し契約をした。
 始めに関係各署と相談している際に出た意見であると経緯を説明し、今回は打診であり、決定事項ではない事を念押しした。
「実は幻獣士とパートナーになりたいという幻獣の中に、現存する歴史上には記録のない種族や非常に有用な特異体がいて、一部が現在試験運用中だ。その内の1組が貴部隊に情報を提供した家族になる」
「…それで彼らは渋々と言った感じで話し、しつこいくらいに口止めをしたんですね?」
「悪用する可能性があるところへ話していたら、精霊達に罰せられていたでしょう」
「肝に銘じておきましょう」
「そして帝国や王国、教会など独占し搾取するだろう者達が現状で知れば、新たな戦が起こり兼ねない能力を持つ者がいる」
「…なるほど、傭兵部隊はあらゆる人種が所属する上にどの国に属さない、いや国を捨てた者達も多く居る。その上で戦闘も防御も強いというなら適任と」
「そういうことです」
 具体的な能力を聞いてから相談して返答したいということで、引き受けが難しい種族の能力と必要な環境などを告げた。種族名や姿形などの詳細はまだ伏せて。能力などを説明する毎に段々傭兵部隊側の表情が厳しいものになっていった。

 傭兵部隊は別室で数時間の協議をしてもらった。
「先ずは結論から言おう。能力的に傭兵部隊か騎士団が引き受けた方が無難だということで一致し、前向きに検討したいと思う。ただ全ての種族の受け入れは我が部隊だけでは非常に厳しいと思う」
「やはり普通の集団では無理ですよね?」
「それほどの能力は悪用しようと思う者達が、手段を選ばず手に入れようとするだろうし、秘匿するにはで最低限自身一人の力だけで複数人から身を守る能力が無い者には酷だろうな」
「ということは、貴部隊で管理可能な数ならば受け入れが可能ということで大丈夫ですか?」
「あぁ、構わない。というか是非お願いしたい。傭兵部隊ではなく、新たな戦闘集団として維持するのに相応しい誇りある仕事ができるからな」
その後も話し合いは進み、先ずは互いに加入に向けての条件やルールの改変など制度上の問題を解決するために実務者協議をすることになった。
 実際の運用の前にパートナーになりたい幻獣達にも話しをしないといけないが、とりあえず精霊王や幻獣王達に良い返事が出来そうなので、幻獣士側はホッと胸を撫で下ろした。

 そしてこの事が後にレナードが『幻獣士の王』と呼ばれるきっかけとなる転換点でもあった。

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