幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第9章

ペット

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 仮設の研修施設に送られて来た愛玩動物は、魔性植物園の空きが出来ると引き取られるが、それでも全頭はすぐに受け入れられる事は稀だった。そのため一部を皇女の村や公爵領の子供達が幻獣術の練習兼ペットとして引き受けてもらえるか打診したところ、快く応じてもらえた。
 皇女はインコを、公爵家の上層部の子供達は、鳥や白ネズミなど肩に乗ったり、ポケットに入る動物の変異種を選んだ。連絡手段としても重宝し、普段一緒に居ても不自然でないからだった。
 同じ様な見た目の愛玩動物でも、生まれながらの幻獣達は知能が高いため自ら主人を選ぶが、ここにいるのは保護されたペットや家畜、野良の動物だった子ばかりだから、餌と棲家と愛情を与えれば割と簡単に懐く。その最も多くの成功例がエンサージョ国にある魔性植物園だ。
 公爵領の他の子供達はうさぎや針鼠、鳴き声が綺麗な小鳥など愛玩目的で選んでいた。

村の子供達はそれぞれの独自の基準で選んでいた。
例えば
採取が得意な子は高い場所の物を採ってもらうために尾長ザルを。
偵察や索敵が得意な子は夜間に飛行して偵察出来る様にモモンガを。
という様にほとんどの者が自分の能力を補助してくれる可能性がある動物達を選んだ。1人だけいずれも高級な食べ物として知られる果実などを餌とする種族にした者もいた。

 仮設の研修施設に住民の一部から問い合わせがあった。
「子供達以外でも譲ってもらえるのか」と。理由を聞くと大きく二つの理由に分かれた。
1つは公爵領の買い出し班で、他領に行く際に風の精霊が良く助けてくれるが、開始や終了の合図やお礼を直接言いたい。そのため変異種を通じて簡単な会話が出来て、必要最低限の幻獣術の習得がしたいと言う。但し個人的にというのではなく、班全員で管理して、出来れば1羽は鳥で買い物中の連絡に使いたいという希望だ。鳥系は寿命や大きさなどが種族によって異なるので、3種類の小型や中型の鳥類と、臭いに敏感で清潔好きなスナネズミ系2匹が引き渡された。寿命が伸びる変異種といえど小型種は寿命が短いので、常に2羽と1匹がいる様にという理由で。


もう1つは老人や幼児の相手だという。老人だけで家にいる時間が長く、仕事や家事が出来ない者は、甘えるのが好きで手間のかからない小型種いれば安心だからと。何かあれば近所の者に連絡出来る程度の知能があり、撫でられたり、構われても暴れないなら種族は問わないと。
という事で寂しがり屋のうさぎ系と中型で毛足が長い鑑賞種が常時派遣レンタルされた。状況か環境が変わったら変更出来る様にという配慮から引き取り可能な方法にしたのだ。

 幼児の方は商売の者や用事など事情があって、短時間預かってくれると老人達や未亡人のところでの遊び相手にという事で、幼児を相手に出来る知能があれば種族を問わないという。こちらは変異種を個別に家庭へ常時派遣するのではなく、教会の乳児院などの様に預ける建物を決めて、そこに預ける幼児も世話をする人も集まり、変異種の幼体の世話あそびもするという話になった。なので決まった変異種を派遣するのではなく、遊びや運動が必要で、その日毎に健康以外にも問題のない幼体や成体になって間もない個体を派遣することになった。

 特に最後の派遣先のおかげで、一時的に保護や世話する変異種や幻獣の幼体がキャパオーバーした時の世話の軽減モデルができ、更に派遣先で極一部の成体の引き取り先の増加に繋がった。

公爵領は左遷に等しい領地交換で、住民が通常の公爵領より半分に満たないが忠誠心の高い者しか居ないため、短期間で効果的な運用が可能だった。
 このモデルは領主の性質や能力と、領主が隅々まで管理出来る規模の都市でないときちんとした運用が出来ない。領主が一定期間継続して管理または改善出来ない場合は契約が自動的に運用停止。世襲どころか能力低下で資格をなくすことで、のちに権力者の悪用防止を印象付ける制度として民衆に広く受け入れられるものになった。


 
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