薬師見習いの少女は、成り行きで家族を作る

瑠璃垣玲緒

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第一章

根気

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 さすがにスライムからは言葉はなかったが、嬉しいという気持ちは伝わって来た。
「今まで何処に居たの?」
と問いかけると、手から落ちて腰のポーチへと移動して外ポケットにスポッと入り込んだ。
「そんなところに居たんだ」
そりゃこんな小さくて重さもなきゃ気付かないわ。

 とりあえず4匹もテイムしてしまって、精神的に疲れたのでさっさと寝ちゃおう!
「色々あって疲れたから寝るね、みんなおやすみ」
返事を待たずにそそくさと寝床で横になった。

朝方ふと目を開けると両脇にリリとメルが、足元にティアが居て安心して再び目を閉じた。次に目覚めた時にはリリしか居なかった。2匹は狩と巡回に出かけたんだろう。
簡単に木の実で朝食を済ませ、スライムのエナの寝床に籠を作ろうと出来る準備をしていた。昨日出しっぱなしだった捨てるものを入れた籠のところに行くとエナから困惑の感情が伝わって来た。
「エナどうしたの?」
薬草のゴミの上で激しくぷるぷる震えるエナがいた。私に気付いて慌てて近付いて来てる様だけど、まだまだちっちゃくてあまり飛べないみたいで這ってくる様に移動して来た。籠の前にしゃがんで手を差し出すとよじ登って来た。
嬉しいとでもいう様にぷるぷると楽しげに揺れた。
「何を困っていたの?」
ハッとした様に動きを止めた。
手から薬草のゴミの上に移動して小さく跳ねた。
「籠の中に薬草のことで困っているのは分かったよ」
リズム良くぷるぷる揺れる。
「でも残念だけど何に困っているか分かんないよ」
ガーンという効果音が聞こえそうなくらいピタッと動きが止まった。リリ達と違って目や鼻もないから表情もないし、ちっちゃ過ぎて動きも限られて、知能も発達してないから複雑な会話は理解出来なさそうだし。
「うーん、とりあえずルールを決めよう」
微妙だけど右に傾いた気がする。
「まず挨拶や返事は揺れてくれるかな?」
ぷるぷる。
「合っているがジャンプ」
ジャンプ。
「違うが動かない」
ぷるぷる。
「分からないはジャンプを二回」
ぷるぷる。
「じゃあ練習ね」
ぷるぷる。
「困っているのは薬草のこと」
ジャンプ。
「君の名前はナナ」
ピタッ。
「名前はエナ」
ぷるぷる。
「大丈夫そうだね」
ぷるぷる。
「薬草は餌?」
ジャンプ。
「他の餌はある?」
ジャンプ、ジャンプ。
「今日は餌を食べた?」
ピタッ。
「餌の薬草はあるのに食べられないのかぁ」
ジャンプ。
「食べたいのに食べられないから困ってたの?」
ジャンプ。
うーん、どういうことだろう。昨日見つけた時には取り込んでたよね。しかもこの中に餌になる薬草があると。
「もしかして」
布を広げて籠の中身をばら撒いた。
ぷるぷる震えると布へと這い進んで行く。観察していると通りながら探している様で時々薄く伸びてぷるぷる揺れて、ジャンプして元に戻るの繰り返しをしている。今のところどういう基準で薄く伸びるのか分かんない。
おっ、とうとう取り込めたみたい。
良く見ると薄く伸びた中に薬草があるけど、虫喰いの小さめのものみたい。少し離れた場所適当に避けて虫喰いの葉だけを集めて置いてみる。食べるのに時間がかかって暇なので、仕分けして小さな山をいくつか作ってみた。
更に暇だったので小鍋に竹筒の水を出して埃が入らない様に布をかけて川にリリと一緒に水汲みに行った。帰って来て減ったのを調べてみると、虫喰い以外は柔らかい新芽と、新芽より若干大きなものと、千切れて小さくなったものだった。
 試しに全く減ってない山から適当に1枚を取って小さく千切ったものを目の前に置いてみた。取り込んでいた虫喰いの葉を捨て、急いで千切れた一欠片を取り込みに来た。
嬉しいという強い気持ちが伝わって来る。
「なるほど、まだ千切れた葉や小さくて柔らかい若葉以外は自力では食べられなくて困っていたのね」
じゃあこの処分する薬草はエナの食べる分だけ刻んだり、千切れば捨てずに済むのね。
「エナ、そろそろ出かけたいんだけ一緒に行く?」
高速ぷるぷるいただきました。
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