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一人目の出立
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Side フレイミィ
お兄ちゃん来ないなぁ……。
「ギュルルルル」
お腹空いたなぁ……。
ねぇね、お星様、ごはんどこかにないかなぁ。
「そっちにあるの?」
森と反対方向に私は歩き出す。
「森がもうあんなに小さいよ……。」
振り返りながら私は歩き続ける。
「つかれたよお星様、どこに行くの?」
そう言うと背中を押された感じがした。
私はまた歩き続ける。
「あ、男の子がいる!」
やっと、やっと誰かに会えた。でも。
「何だあの顔…。」
……?
「く、来るなバケモノ!!」
受け入れてもらえなかった。
「ま、まって……。」
「お母さん!変な奴がいる!」
「ん?」
おかあ……さん。
「え、何この気味の悪い子…」
「呪われてる…………」
それからしばらくは村に入れなかった。
近づこうとすると殴られたり、石を投げられたりしたのだ。
今思えばそもそも排他的な村だったのだろう。
その時の私には何故こんなにも拒絶されるのか分からなかった。
少なくとも私が生まれ育った村ではこのような経験はなかった。
そしてある日のこと。
(親子が山道を通ると同時に落石が起こる)
そんなイメージが浮かんだのは、遠くから村を眺めていてみたとき、初めに会った親子を見た時だった。
イメージを見た私は慌ててその親子に近づいて母親の方の服を引っ張って「行っちゃダメ」と訴えた。
母親は私を振りほどこうとしばらくもがいて最後には私を殴り飛ばして行ってしまった。
「目の前で落石が起こった。あの女の子に引き止められてなければ死んでいたかもしれない」
そんな話が広がったのは、それからすぐのことだった。
そうして
「何もかもあの子の言う通りだ……!」
「予知能力か何かか!?」
「あの子はお星様と言っていたが……」
「星のお告げを伝えてくれる巫女様じゃ」
星の言うことをそのまま伝えていたらいつの間にか祭り上げられていたのだ。
巫女というのは私が着ていた私の村独特の衣装からだろう。
最初に私を引き取ろうと言い出したのは最初に会った親子の家だった。
言い出した家の両親はそれまでとは一変、とても優しい笑顔で迎え入れてくれた。
まあ、村人からの供物目的だったようだが。
そうとも知らず、石を投げられていたことも構わず、当時の私は嬉しかった。
受け入れてもらえたことがただ嬉しかった。
そうして何不自由ない生活を始めた私は元気に成長していって……。
それは年数にしてみればそう長く続かなかった。
悪竜の到来だ。
その時には多少魔法が使えていたが森のうさぎや鳥を狩れる程度だった。
それでも村では飛び抜けているものだったのだ。
それだけじゃない。ただ純粋な私は村人に恩を感じていたのかもしれない。
だから私はあの時、竜の咆哮の聞こえる方へ向かったのだ。
これが大きな転機となるとは知らずに。
さて、私が向かった先で竜を見つけどうなったか。
どうにもならなかった。
前に立つだけで動悸がして、咆哮を受けるだけで全身が震え上がった。
それはこちらを見て。
めがあって。
りゅうはにたりときばをみせて。
ああ、うごけない
「下がって」
不意に横からした声ではっとして前を見る。
そこには地に付きそうなほど長い黒髪をなびかせて竜の前に立っている私と同じほどの少女がいた。
「---as--ω--??r-----」
少女の手から現れる無数の鎖。
それが竜を抵抗する間もなく縛っていく。
縛り終えると鎖の端が竜を囲むように地面に打ち込まれた。
竜が気を失うように目を閉じると少女は振り返り微笑んで
「怪我がなくて良かった」
それが私のネイルアとの出会いだった。
そうだ…ネイルアだ……。
あの時…………私は…………!!
「昨日のこと、思い出した?」
「うん。私、魔術教団からネイルアが捕まっている写真を送られてその研究所に行ってそれで……それで……。」
「ああ、そうだよ。君は昨日そこで殺された。死んだんだ。罠をはられていた。」
そうだ…私は……。でも……。
「でもあの写真は本物だってエルが…!」
「あれは確かに本物だった。けれど撮った時期は偽装されていたみたいだ。あの写真の時は自力で何とかしたみたいだね。そんなのは気づけないさ」
それで…か。
私は確かに薄れる意識の中でネイルアを見た。
でも……私は本当に死んだんだ。じゃあ今生きているのは何で?
「…………」
「何で黙るの。」
「……ネイルアが世界と契約したんだよ。君達を生き返らせてって。」
「……え。」
「契約内容は知らないけど。でも契約のせいでネイルアはまだどこかにいるみたいだよ。」
「ほ……本当!?」
思うところはたくさんあるけどやる事は決まった。
「行くんだね」
「ネイルアを探さなきゃ。」
「君がどこに行っても僕達は一緒だよ」
「……うん。」
今まで世話になった家族に礼を言おう。今更忌み子扱いした事なんて……。
いや、忘れない。でもいいんだ。少なくともここがもう一つの私の故郷になっているんだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
旅に出ることを伝えるとみんな酷く悲しんだ。その顔を見ると胸にこみ上げるものがある。
せめて、上っ面だけの、巫女の恩恵に依るだけの悲しみだったなら、こんなに名残惜しくなかったのに。
でも私には私の生そのものに刻まれた思いがある。
出立前に星がこんなことを付け加えた。
「ああ、そういえば伝えることがあるフレイミィ」
「どうしたの?」
「この世界は何かしら自立した意思を持って、自分の運営をいつも一人の人間に任せているらしい。そして、その人間が死ぬと世界も……。」
「壊れる?……なによ急に。」
「その人間は俗に神と呼べるものだろうね。それは代替わりすることがあるらしいが、今、その役割を担っているのは……。」
「ネイルア……ってこと? そんなの聞いたこともない。」
「そりゃ本来一般人の君にそんな世界の真相を言うわけないだろう。まあ、だから……。」
「分かってるよ。それに……。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さあ、ネイルアを探しに行こう。
とその前にみんなに会いに行かなくては。まずは……。
お兄ちゃん来ないなぁ……。
「ギュルルルル」
お腹空いたなぁ……。
ねぇね、お星様、ごはんどこかにないかなぁ。
「そっちにあるの?」
森と反対方向に私は歩き出す。
「森がもうあんなに小さいよ……。」
振り返りながら私は歩き続ける。
「つかれたよお星様、どこに行くの?」
そう言うと背中を押された感じがした。
私はまた歩き続ける。
「あ、男の子がいる!」
やっと、やっと誰かに会えた。でも。
「何だあの顔…。」
……?
「く、来るなバケモノ!!」
受け入れてもらえなかった。
「ま、まって……。」
「お母さん!変な奴がいる!」
「ん?」
おかあ……さん。
「え、何この気味の悪い子…」
「呪われてる…………」
それからしばらくは村に入れなかった。
近づこうとすると殴られたり、石を投げられたりしたのだ。
今思えばそもそも排他的な村だったのだろう。
その時の私には何故こんなにも拒絶されるのか分からなかった。
少なくとも私が生まれ育った村ではこのような経験はなかった。
そしてある日のこと。
(親子が山道を通ると同時に落石が起こる)
そんなイメージが浮かんだのは、遠くから村を眺めていてみたとき、初めに会った親子を見た時だった。
イメージを見た私は慌ててその親子に近づいて母親の方の服を引っ張って「行っちゃダメ」と訴えた。
母親は私を振りほどこうとしばらくもがいて最後には私を殴り飛ばして行ってしまった。
「目の前で落石が起こった。あの女の子に引き止められてなければ死んでいたかもしれない」
そんな話が広がったのは、それからすぐのことだった。
そうして
「何もかもあの子の言う通りだ……!」
「予知能力か何かか!?」
「あの子はお星様と言っていたが……」
「星のお告げを伝えてくれる巫女様じゃ」
星の言うことをそのまま伝えていたらいつの間にか祭り上げられていたのだ。
巫女というのは私が着ていた私の村独特の衣装からだろう。
最初に私を引き取ろうと言い出したのは最初に会った親子の家だった。
言い出した家の両親はそれまでとは一変、とても優しい笑顔で迎え入れてくれた。
まあ、村人からの供物目的だったようだが。
そうとも知らず、石を投げられていたことも構わず、当時の私は嬉しかった。
受け入れてもらえたことがただ嬉しかった。
そうして何不自由ない生活を始めた私は元気に成長していって……。
それは年数にしてみればそう長く続かなかった。
悪竜の到来だ。
その時には多少魔法が使えていたが森のうさぎや鳥を狩れる程度だった。
それでも村では飛び抜けているものだったのだ。
それだけじゃない。ただ純粋な私は村人に恩を感じていたのかもしれない。
だから私はあの時、竜の咆哮の聞こえる方へ向かったのだ。
これが大きな転機となるとは知らずに。
さて、私が向かった先で竜を見つけどうなったか。
どうにもならなかった。
前に立つだけで動悸がして、咆哮を受けるだけで全身が震え上がった。
それはこちらを見て。
めがあって。
りゅうはにたりときばをみせて。
ああ、うごけない
「下がって」
不意に横からした声ではっとして前を見る。
そこには地に付きそうなほど長い黒髪をなびかせて竜の前に立っている私と同じほどの少女がいた。
「---as--ω--??r-----」
少女の手から現れる無数の鎖。
それが竜を抵抗する間もなく縛っていく。
縛り終えると鎖の端が竜を囲むように地面に打ち込まれた。
竜が気を失うように目を閉じると少女は振り返り微笑んで
「怪我がなくて良かった」
それが私のネイルアとの出会いだった。
そうだ…ネイルアだ……。
あの時…………私は…………!!
「昨日のこと、思い出した?」
「うん。私、魔術教団からネイルアが捕まっている写真を送られてその研究所に行ってそれで……それで……。」
「ああ、そうだよ。君は昨日そこで殺された。死んだんだ。罠をはられていた。」
そうだ…私は……。でも……。
「でもあの写真は本物だってエルが…!」
「あれは確かに本物だった。けれど撮った時期は偽装されていたみたいだ。あの写真の時は自力で何とかしたみたいだね。そんなのは気づけないさ」
それで…か。
私は確かに薄れる意識の中でネイルアを見た。
でも……私は本当に死んだんだ。じゃあ今生きているのは何で?
「…………」
「何で黙るの。」
「……ネイルアが世界と契約したんだよ。君達を生き返らせてって。」
「……え。」
「契約内容は知らないけど。でも契約のせいでネイルアはまだどこかにいるみたいだよ。」
「ほ……本当!?」
思うところはたくさんあるけどやる事は決まった。
「行くんだね」
「ネイルアを探さなきゃ。」
「君がどこに行っても僕達は一緒だよ」
「……うん。」
今まで世話になった家族に礼を言おう。今更忌み子扱いした事なんて……。
いや、忘れない。でもいいんだ。少なくともここがもう一つの私の故郷になっているんだから。
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旅に出ることを伝えるとみんな酷く悲しんだ。その顔を見ると胸にこみ上げるものがある。
せめて、上っ面だけの、巫女の恩恵に依るだけの悲しみだったなら、こんなに名残惜しくなかったのに。
でも私には私の生そのものに刻まれた思いがある。
出立前に星がこんなことを付け加えた。
「ああ、そういえば伝えることがあるフレイミィ」
「どうしたの?」
「この世界は何かしら自立した意思を持って、自分の運営をいつも一人の人間に任せているらしい。そして、その人間が死ぬと世界も……。」
「壊れる?……なによ急に。」
「その人間は俗に神と呼べるものだろうね。それは代替わりすることがあるらしいが、今、その役割を担っているのは……。」
「ネイルア……ってこと? そんなの聞いたこともない。」
「そりゃ本来一般人の君にそんな世界の真相を言うわけないだろう。まあ、だから……。」
「分かってるよ。それに……。」
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さあ、ネイルアを探しに行こう。
とその前にみんなに会いに行かなくては。まずは……。
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