Tear Light<君を望んだ物語>

neirua

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世界地図

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最期まで…ね。

別に最初から足でまといだからって訳じゃないんだけど。
ここで突き放してもまた付いてきそうだし、それで勝手に死なれても気分が悪い。それに

私を真っ向から見据える目。

少しは戦えるようになったみたいね。


「それは2人も同じ?」

目をつぶって尋ねると「はい」と力強い返事が2つ返ってきた。

「分かった。一緒に来て。」

目を開いて表情が固まった3人を見据える。

「ただし命令を1つ課す。これを破れば直ちに殺す。」

真剣な表情は揺るがない。覚悟は本当に出来ているみたいだ。

けれど下す命令はそういうものじゃない、が、命を賭けるより難しい。



「死ぬな。」

「死んだら私が殺してやる。」

「いいな。」


3人は一瞬きょとんとして
直ぐに顔を輝かせて「はい!!」と答えた。

もう誰も死なせたくない。
力が及ばなかったのは私のほうだ。
けれど……。

身体を流れるエーテル魔力の流れに意識を向ける。
普通の魔道士は体内の血管や、神経を伝ってエーテルが流れている。

だが今の私の身体は、内蔵や筋肉そのものがエーテルに置き換わっている。

以前よりも速く、自在に魔法を行使出来る。
生きている人間では不可能なレベルで。


世界と契約したことで、私はすでに1歩、いや、もう引き返せない程に
人の道を踏み外していたのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくしてエアが食料の買い出しに出掛けた。

だが出掛ける直前、エアが財布を確認して3人を見る。

「金が......。」

金が無かった。

それも当たり前の話だ。

エアとフレイミィの村ではほぼ自給自足の生活で、お金はあまり持っていなかった。

挙句の果てにベティヴィアに関しては、宮殿からほぼ出ずに暮らしていたため、お金と関わったことすら無い。

宿代や交通費でほぼ全ての(数少ない)資金が消し飛んでいた。

「.........。」

これでよく旅に出ることを決断したな、とネイルアは思う。
まあ、もし少しでも遅ければ神社で会うこともなかったし..…….星の加護でもついているのだろうか、とも。

「...あなた達にこれを渡しておくわ。」

ネイルアの横の空間がねじ曲がったかと思うと、彼女はそこに手を突っ込んで価値のあるただの紙の束、いわゆる札束を出してきた。

「い、1万Gゴールド札がこんなに......!」

「3人で分けて持ちなさい、急に買い出しを頼むこともあるかもしれないから。
魔法具は結構かかることがあるし、その位でいいと思うんだけど...。」

闇に潜んで日々魔術教団と対立していたネイルアがどうしてこんなにお金を持っているのだろう、と3人は思う。
働くことなんて出来ないだろうし、まさか盗みなんて...。

それを感じ取ってかネイルアは不敵に
「まあ、色々とね。」と言って笑う。

色々って………。

疑心が生まれた3人はとりあえずお金を等分し、エアはやっと宿を出ていった。

「そういえばあんた、フィオーレ以外の国があるって言ってたよね。」

「え......あ、ああ、あのこと?」

3人でスリジエの桜崎の屋敷で桜と会話した時に桜が、「日本の王崎...」と言ったことについて思い出したフレイミィがヴェティヴィアに問いかける。

「フレイミィはフィオーレ王国の外の事を知らないの?」

それを聞いたネイルアが言う。

「うん...無知なもので......。」

「いや、フィオーレ王国民のほとんどが外を知らないの。知ってるのは国の中枢と、黒い組織と、変な人だけ。」

ネイルアはまた異空間に手を突っ込むと何かの地図を二枚取り出す。
そして、ベットの自分にかけている布団の上にその横長で緑と青が目立つ地図を広げる。

その上から同じサイズの、今度は青がやたら多い地図を広げた。半透明になっていて下の地図が透けて見えるようになっている。

「あ、これ、フィオーレの地図!でも紙に対して隅っこに小さく書いてる。周りは............ぜんぶ海??」

「そう。これを見て。」

フィオーレの部分だけを少しぴらっとめくって下の地図を見せる。

「あ、ここの部分、フィオーレと形が同じ!」
「こっちの地図ではヨーロッパって言うのよ。」

んん、とフレイミィが唸る。
フィオーレが...別の国の上にあるってこと?

「他にも世界はあるんだけど...大まかに分けてこの世界は、2つの空間で構成されているのよ。」

「1つはこの下の地図、196個くらいの国に別れた複数の土地を持つ空間。」
「そしてもう1つは、フィオーレ王国が統治する大陸だけが海に浮かぶ空間。」

「この2つは全体が繋がっている。異空間を移動でき、かつもう1つの空間の座標を知っていれば行き来も出来る。」
「ひょんなことから来ちゃう人もいるみたいだけど。」


説明を聞きながらフレイミィは地図を凝視していた。

世界は広い。
ネイルアに付いて旅をし、どこまでも広がる青空を見上げ、フレイミィは実感していた。

けれど

けれどそれでさえもこんなにちっぽけだったのだ。

もっと世界は広がっている。


―――私の世界ももっと広がる。

久々の高揚感。行きたい、行きたい!


ネイルアが地図を丸めてフレイミィに渡す。

「この地図を把握しておきなさい。」

「え?」

「しばらくしたらこの空間《ファルファッラ》を出る。準備をしておけ。」

「...は、はい!!」


やった、やった
望んだ側から

ああ、どんなところなんだろう

魔術教団の手は依然届くのに

心が踊ってしまう



無邪気な好奇心、未来への渇望。
星達は彼女のそういうところがお気に入りなのかもしれない。





















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