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最後の休息
しおりを挟むエアが買い出しから帰ってきた。
重そうなビニール袋の中には食べ物が入っているらしき紙袋や飲み物が沢山入っている。
「なんか食料店の娘さんが色々おまけしてくれて。」
「…………。」
「痛っ!ちょ、フレイミィ!?」
エアが問うもフレイミィは蹴ったあと無視して袋の中身を整理し始めた。
「ネイルア、フレイミィはどうしたんですか!?」
「はは……さあ?それより早く食べよう。」
「……? 急ぐんですか?」
「食べ終わったら……ヴェティヴィア。」
「はい。エア、私が後で説明するわ。」
エアはそれに素直に頷き、4人はやっと食事を始めた。
急いでいるので皆、黙々と食べ、すぐに片付けを済ませる。
エアとヴェティヴィアの2人はこれからの行動について話し、フレイミィとネイルアは自分の荷物を整理する。
「ねえネイルア。聞きたいことがあるんだけど。」
「ん?」
「外の世界ってどんな所?」
「国ごとに特色があって…戦争している所もあれば平和なところもある。」
「それに、ここと違って一般人は魔法の存在を知らない。魔物も滅多に出ない。各地にいる数少ない魔道士だけがひっそりと研究に励んでいる。」
「そういう人がたまにね、こっちに来ちゃうのよ。隠された扉を開けて。
魔術の名門とかだと元から扉の場所を知っていたり、中にはフィオーレと日頃から取引している者もいる。」
「フィオーレの存在を知った魔道士はみんな来たがるの。分かる?」
フレイミィは魔道士がフィオーレ王国に来たがる理由を考える。
「もっと高度な魔法の研究が出来るから?」
「そう、あとはね、空気中の魔力濃度がここの方が遥かに高いの。逆に言えば、私がこれから行くところは魔力の空気中からの供給がしずらい。
だから気をつけなさい。」
「うん。あと……何でファルファッラ?だっけ。ここを出るの?」
「……それは全員が落ち着いてから話すわ。」
ネイルアがちらりと部屋の隅を見てみれば既にエアとヴェティヴィアも出発の準備を始めていた。
食料や身の回りの物はもちろん、魔法具の用意や、各々愛用の武器の整備を黙々と進める。
その間、ネイルアは考えていた。
ハルセが口にした言葉……。
『レイピア様に回収を命じられているからな。』
レイピア……言い方から察するに奴らの高位に位置する存在、もしくはトップかもしれない。
そうなれば、私を拘束してコントロールしようとしているのはそいつ…ということなのか?
人体実験所で私を……多くの子供たちを散々いたぶった挙句殺したのは……。
私の村を焼いたのは……。
この世界を壊そうとしているのは……。
「お姉様、全員準備が終わりました。」
「ああ」
ネイルアはベティヴィアの声に意識を戻す。
そしていよいよ目的を話し始めた。
「私達はこれから、完全に魔術教団を叩き潰す。」
3人は少なからず動揺する。
今まで戦ってきた相手は最も大規模な魔術組織だ。
全容も把握出来ていないが、実力者である幹部もまだまだいるうえに、それ以外の団員も油断出来ない。なにしろ数が多過ぎる。
ならどうやって潰すというのか。
「私達も戦力を集める。先ずは私の知り合いを片っ端から訪ねていくつもりだ。全員対抗しうるだけの力を持っているからな。」
「中には現在ファルファッラを出ている者も少なくない。外の方が格段に平和だから、きっとそこでひっそり暮らしている。」
「だけど、これは世界がかかっている。
なんとしても勝たなければいけない。だから直接話をつけにいく。」
要するに仲間を増やす旅……ということだ。
ファルファッラではない方の世界では確かに魔物は人前に現れないし、魔法も使われない。
しかし、各地に伝わる伝承やお伽噺はある。
そして、そこに出てくる化け物や妖怪、天使や悪魔はただの幻想ではない。
もっとも幻想が形を持つこともあるが……。
ファルファッラのフィオーレ王国では普通に暮らしていても別世界では化け物扱いされている……といった例も少なくない。
「そういえば人魚や吸血鬼の知り合いもいるって……。」
狐の知り合いはもう巫姫殿であることが分かっている。
「そういえば巫姫殿様は一体どういう存在なんですか?」
とエアが尋ねる。
「ああ、巫姫ね……。彼女は元々外の世界の住人だったのよ。」
「え?」
「日本、という国には妖狐の社会があると言われているの。彼女はその中でもかなり高位の狐だった。」
「まあ、そのへんは本人に聞いた方がいい。私がペラペラ話すのはどうかと思うし。」
日本……という単語に3人は桜崎桜のことを思い出す。
ネイルアはここにはいない2人について全く触れてこない。
共に戦う気が無いならそれで構わない、と思っているのだろうか。
確かに無理に戦う必要はないと思う。
けれど……。
どうして……桜は急に拒絶を示したのか。
エルメスフィールは何処で何をしているのか。
新しい世界を前に疑問点は尽きなかった。
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