26 / 27
星占い
しおりを挟む
~暗い森~
「もう!エア!こいつら何なの!?」
「俺に聞くな!フレイミィが来るまで持ちこたえろ!」
「指図しないで!あの子が来てどうするの!?切っても切ってもこいつら湧いて来るじゃない!」
「知るか!集中しろって!」
「してるわよ!」
見知らぬ土地、しかも見渡す限り木、木、木の、月明かりしかない暗い森。
その中で終わりの見えない、手応えのない戦闘が続き、2人の精神的な疲労は着実に溜まっていく。
ただでさえ、ヴェティヴィアは元から気が短い。エアも、比較的穏やかだが、状況が状況なだけに苛立ちが口調に表れていた。
「埒が明かないわね…。エア、私を守って!」
「え」
ヴェティヴィアはそう叫んだと同時に戦闘用のメスを投げて敵の一体を木に縫い止めた。
そのうえ、その何とも形容し難い容貌の敵を引っ掴んだと思えば、地面に下ろして生きたままメスを入れ始めた。
体の部位が分かれているか自体怪しいが、腹を開けられている敵はぎゃあぎゃあ吠え立ててもがいている。
「うわぁ…」
「うるさいわね!ちゃんと死なないようにして解剖してるわよ」
「いやそれもっとエグ……」
「こいつの体に何か秘密が……」
エアの言葉を無視し、屈んで解体を始めたヴェティヴィアは格好の獲物だ。
この機を逃すか、とばかりに敵が集中して襲いかかるのをエアがナイフで切り裂く。
が、長時間続いた戦闘に疲弊している上、先程まで二人でなんとか捌けていたのが一人になり、劣勢は目に見えていた。
更には、無防備な状態のヴェティヴィアを守らなくてはいけない。
もともと弓を主武器にしているエアに接近戦は不向きなのだ。そんなこんなでエアは
「……手応えはあるんだけどなぁ」
などと呟いて気を紛らわす。
が、襲い来る牙や爪によって切り傷は増えていった。
だがそれでも戦意を失わない。
エアも、他の仲間と同様、ヴェティヴィアが本物の天才であると知っている。
今までも、神の奇跡に等しい医療技術を見せてきていたのだ。
それに彼女は、研究においても必ず成果を出してきた。でなければ王宮が囲ったりしないだろう。
それらを除いても、エアは仲間を信じている。
ヴェティヴィアが叫んだ。
「こいつら量産型だわ!狂化ウイルスにかかってる!発生源があるはずよ!」
「ならそこを叩けばいいんだな!でも何処に……」
「……悔しいけど」
ヴェティヴィアは苦い顔でひよこ石を取り出すと、口元に近づけた。
「フレイミィ、聞こえる?頼みたいことがあるんだけど」
『何?今忙しいんだけど?』
「むこうがうるさいわね。何してるの?」
『交戦中。森に入ったら変な魔物に襲われて……』
「その魔物は多分何処からか湧き出してる。その発生源を探して!」
『痛っ、噛み付かないでよ!……………………分かった。やってみる』
そこで通信が途絶えた。
ほんとに大丈夫かしら、とヴェティヴィアは顔をしかめる。
このやり取りを、戦いながら聞いていたエアが言う。
「星占いか」
二人とも詳細は把握していないが、フレイミィに、星の加護が付いていることは知っている。
星占い、というのも占いとは言っているが様々な問題に突き当たった時、完全とも言える精度で答えを導き出すことの出来る技だ。
これだけ聞くと万能にも思えるが、一定条件が必要なうえ、何でも分かるようになるわけではない。
しかもこれらが実際どういう原理で働いているのかも二人にはよく分からない。
いや、本人が把握しているかも疑わしい。
「あんまり動いて合流出来なくなったら困るし、これが確実でしょう?」
「そうだな。それにネイルアも探さないといけないしな」
二人ともネイルアが何かにやられるとは思っていないが、それでもやはり心配してしまう。
以前、腕を失くして倒れていたネイルアを見てからは余計にそうだ。
ネイルアは魔術教団に 神 と呼ばれて追われているが、彼女も痛み、苦しむ人間なのだとみんな分かっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、始めるか」
フレイミィは魔物を避けて、高い木のてっぺんに登り、満天の夜空を見上げていた。
その手には1匹の魔獣がその抵抗をよそに捕まえられている。
「えーと、捧げ物は……これでいいかな」
そして近くの枝にサクサク食感が美味しいチョコ菓子をザクッと刺す。
それを満足そうに見て頷くと、魔獣を両手で掴んで天に掲げた。
そして言葉を紡ぐ。
「汝は導。汝は光。私の血を天に捧げま……」
「え、今忙しそうだからそういうのはいい?血じゃなくてチョコじゃん?」
「いいでしょ別に!私の大事なおやつ捧げてんだから!」
目を閉じながら、フレイミィは怒って騒ぎ始める。
挙句、刺していたチョコを掴んで空に向かって放り投げてしまった。
しかし、どうゆうわけか。チョコは飛んでいる最中に消え、フレイミィもまた静かになった。
しばらく、風で木がざわめく音だけが広がる。
フレイミィが目を開けた。
そして広大な森の一点を見据えて笑う
「見ぃつけた」
「もう!エア!こいつら何なの!?」
「俺に聞くな!フレイミィが来るまで持ちこたえろ!」
「指図しないで!あの子が来てどうするの!?切っても切ってもこいつら湧いて来るじゃない!」
「知るか!集中しろって!」
「してるわよ!」
見知らぬ土地、しかも見渡す限り木、木、木の、月明かりしかない暗い森。
その中で終わりの見えない、手応えのない戦闘が続き、2人の精神的な疲労は着実に溜まっていく。
ただでさえ、ヴェティヴィアは元から気が短い。エアも、比較的穏やかだが、状況が状況なだけに苛立ちが口調に表れていた。
「埒が明かないわね…。エア、私を守って!」
「え」
ヴェティヴィアはそう叫んだと同時に戦闘用のメスを投げて敵の一体を木に縫い止めた。
そのうえ、その何とも形容し難い容貌の敵を引っ掴んだと思えば、地面に下ろして生きたままメスを入れ始めた。
体の部位が分かれているか自体怪しいが、腹を開けられている敵はぎゃあぎゃあ吠え立ててもがいている。
「うわぁ…」
「うるさいわね!ちゃんと死なないようにして解剖してるわよ」
「いやそれもっとエグ……」
「こいつの体に何か秘密が……」
エアの言葉を無視し、屈んで解体を始めたヴェティヴィアは格好の獲物だ。
この機を逃すか、とばかりに敵が集中して襲いかかるのをエアがナイフで切り裂く。
が、長時間続いた戦闘に疲弊している上、先程まで二人でなんとか捌けていたのが一人になり、劣勢は目に見えていた。
更には、無防備な状態のヴェティヴィアを守らなくてはいけない。
もともと弓を主武器にしているエアに接近戦は不向きなのだ。そんなこんなでエアは
「……手応えはあるんだけどなぁ」
などと呟いて気を紛らわす。
が、襲い来る牙や爪によって切り傷は増えていった。
だがそれでも戦意を失わない。
エアも、他の仲間と同様、ヴェティヴィアが本物の天才であると知っている。
今までも、神の奇跡に等しい医療技術を見せてきていたのだ。
それに彼女は、研究においても必ず成果を出してきた。でなければ王宮が囲ったりしないだろう。
それらを除いても、エアは仲間を信じている。
ヴェティヴィアが叫んだ。
「こいつら量産型だわ!狂化ウイルスにかかってる!発生源があるはずよ!」
「ならそこを叩けばいいんだな!でも何処に……」
「……悔しいけど」
ヴェティヴィアは苦い顔でひよこ石を取り出すと、口元に近づけた。
「フレイミィ、聞こえる?頼みたいことがあるんだけど」
『何?今忙しいんだけど?』
「むこうがうるさいわね。何してるの?」
『交戦中。森に入ったら変な魔物に襲われて……』
「その魔物は多分何処からか湧き出してる。その発生源を探して!」
『痛っ、噛み付かないでよ!……………………分かった。やってみる』
そこで通信が途絶えた。
ほんとに大丈夫かしら、とヴェティヴィアは顔をしかめる。
このやり取りを、戦いながら聞いていたエアが言う。
「星占いか」
二人とも詳細は把握していないが、フレイミィに、星の加護が付いていることは知っている。
星占い、というのも占いとは言っているが様々な問題に突き当たった時、完全とも言える精度で答えを導き出すことの出来る技だ。
これだけ聞くと万能にも思えるが、一定条件が必要なうえ、何でも分かるようになるわけではない。
しかもこれらが実際どういう原理で働いているのかも二人にはよく分からない。
いや、本人が把握しているかも疑わしい。
「あんまり動いて合流出来なくなったら困るし、これが確実でしょう?」
「そうだな。それにネイルアも探さないといけないしな」
二人ともネイルアが何かにやられるとは思っていないが、それでもやはり心配してしまう。
以前、腕を失くして倒れていたネイルアを見てからは余計にそうだ。
ネイルアは魔術教団に 神 と呼ばれて追われているが、彼女も痛み、苦しむ人間なのだとみんな分かっていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、始めるか」
フレイミィは魔物を避けて、高い木のてっぺんに登り、満天の夜空を見上げていた。
その手には1匹の魔獣がその抵抗をよそに捕まえられている。
「えーと、捧げ物は……これでいいかな」
そして近くの枝にサクサク食感が美味しいチョコ菓子をザクッと刺す。
それを満足そうに見て頷くと、魔獣を両手で掴んで天に掲げた。
そして言葉を紡ぐ。
「汝は導。汝は光。私の血を天に捧げま……」
「え、今忙しそうだからそういうのはいい?血じゃなくてチョコじゃん?」
「いいでしょ別に!私の大事なおやつ捧げてんだから!」
目を閉じながら、フレイミィは怒って騒ぎ始める。
挙句、刺していたチョコを掴んで空に向かって放り投げてしまった。
しかし、どうゆうわけか。チョコは飛んでいる最中に消え、フレイミィもまた静かになった。
しばらく、風で木がざわめく音だけが広がる。
フレイミィが目を開けた。
そして広大な森の一点を見据えて笑う
「見ぃつけた」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる