7 / 18
新しい防具です⁉︎
しおりを挟む
《伊織side》
朝です。もうそろそろ起きようと思って、目を開けると、さえちゃんにキスされました!いきなりの事で訳が分からなくなってしまいました。バレたらいけないと思って、思わず寝た振りをします。丁度良いタイミングでマーリンさんが入ってきました。また、さえちゃんが不機嫌になりそうです……。
「今日は、買い物をした後に武器を見に行くよ。武器は自分の命を預ける物だと言っていい。大事なものだから、性能が良く、なおかつ気に入ったのをを選ぶと良い」
「うん!」
「……ん」
「二人とも喜んでくれて何よりさ。早くご飯を食べて、武器を見に行こうか」
「うん!」
「……ん」
僕達の武器……。どんな物があるんでしょうか!とても楽しみです!さえちゃんも無表情だけど、喜んでる様です!足をぱたつかせる時は、嬉しい時です!
「さぁ、今日も一日頑張ろうか!早く行くよ!」
「あ!待って!」
「いおり……。早く」
「うん!」
急いで残っていたご飯を口一杯に頬張って、僕達は武器屋に向かいました。
「そう言えば、マーリンさんって凄い人だったんだね」
「当たり前じゃないか!出会った時にも言ったろう?僕は『堕ちた大賢者』だよ。『天空の覇者』『創造主』の称号も持っているんだよ。あいつが来るまでは、400年もの間ここを支配していたんだ。……支配と言っても、この世界の治安を守る為にいたんだけどね」
「400年⁉︎マーリンさんっておじいさんだったんですか⁉︎」
「反応する場所が違うだろう⁉︎称号を褒めておくれよ!」
「……じじい」
「どうして二人とも僕の年齢で弄るのさ⁉︎」
「400年はびっくりしたけど、てんくうのはしゃ?も凄いです!格好良いです!」
「そうかい?そうだろう?数ある僕の称号の中でも、トップを争う格好良い称号だからね!梓ちゃんはどう思うんだい⁉︎格好良いだろう⁉︎」
「ださい」
「なんだとう⁉︎」
「さえちゃんがそう言うなら格好良くないのかな……」
「伊織まで⁉︎あぁ酷いよ……。二人して僕を馬鹿にするんだね……。もう良いよ……。僕はださいのさ……ははは……」
「馬鹿みたい」
「んなっ……‼︎」
「さえちゃん言い過ぎだよぉ……。マーリンさん。格好良いから安心して?ね?」
「伊織……」
「ださい」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!梓ちゃんがいじめるよぉぉぉぉ!」
ださ格好良い称号の話をしている内に、僕達は武器屋に到着しました。
「ださ格好良いとはなんだいださ格好良いとは」
……マーリンさんの視線が痛いです。でも、ちゃんと褒めているから大丈夫!……なはずです!
「なら良いんだよ。僕は凄いんだから褒めちぎらないと損だよ?」
「はーい!」
「ない」
「なぬっ⁉︎」
「早く入らないと!変な目で見られてるよ!」
「それはやばい!二人とも早く入ろう!」
「……ん」
実際にはそんな事はありませんでしたが、兎にも角にもこれでお店の中へ入れました!
中に入ると、そこには元の世界では見たことのない空間が広がっていました。壁に立てかけられている大剣。騎士のマネキンさんが持っているロングソードと盾。棚に並べられた杖や装飾品。どれも強そうで、男の子にはとても嬉しい空間です!
「どうだい?伊織には夢のような空間だろう?」
「う、うん!かっこいい武器がいっぱい!」
「梓ちゃんは……。気に入っている様だね」
「……ん」
さえちゃんは、棚に置かれている装飾品を見ています。赤い宝石が埋め込まれた指輪に、濃く澄んだ蒼のガラスのティアラなど、お洒落な物を、さえちゃんは目を輝かせて見ています。
「さえちゃん、これ欲しいの?」
「……全然」
僕が聞くと、さえちゃんはそっぽを向いて別の物を見始めました。しばらくすると、またさえちゃんは装飾品を見つめています。
「欲しいの?」
「……別に」
何度か同じやり取りをした後、マーリンさんが見かねて声をかけてくれました。
「梓ちゃんの見てた宝石は、それぞれスピードや攻撃力を上昇させる物だから、持っていて損はないさ。僕がお金を出すから、好きなものを選んでいいよ」
「ダメ!」
梓ちゃんが凄い剣幕で拒否しました。
「いおりに買ってもらいたいから……。今はいらない」
「えっ?」
「ふぅん?つまり、伊織以外の男からの宝石はいらないというわけか?」
「……ん」
「だってさ、伊織。早くお金を稼いでプレゼントしないとな?」
「う、うん……。頑張る!」
プレゼントかぁ……。考えた事なかったなぁ……。そう言えば、あっちの世界でもプレゼントされてばかりだったし……。少しは僕もさえちゃんに……。
「マーリンさん……」
「うん?どうしたんだい?そんなにコソコソして……。あぁそうか……。分かった。根回ししておこうか」
「ありがとう!」
「……?」
「二人とも、どんな武器が良いんだい?伊織は前衛じゃないから、僕みたいな何も持たないスタイルか……。もしくは杖を装備するのが主流だけど。どうしたい?」
「僕は……。マーリンさんにお任せする!」
「そうかい……。あまり人の装備を選ぶのは得意じゃないけれど……。頑張ってみるよ。梓ちゃんは?君は前衛だけど、機動力重視か。火力、防御力重視のタンクスタイルか。どうしたい?」
「……いおりを守りたい」
「そうか、じゃあタンクにするかい?長老に鎧を作らせないとね……」
「……いらない」
「え?タンクは鎧あってのタンクだろう?」
「身体強化。エンチャントかければ防げる。私の身体能力なら」
「うぅむ……。それもそうだね。じゃぁアサシンとタンクの掛け合わせでスタイルを構成しよう」
「……ん」
あさしん?たんく?えんちゃんと?知らない単語がいっぱいで話についていけません。やっぱりさえちゃんは頭が良くて、なんでも知ってる完璧な女の子です!凄い!
「それじゃぁ二人とも、メインになる武器を決めようか。伊織は僕が決めて良いって事だから……。そうだな。命中率重視で杖を装備するのも良いけど……。詠唱速度を早くしたいから指輪にしよう。梓ちゃんはバスターソードも良いけど……。直刀にするかい?」
「……任せる」
「二人とももっとちゃんと考えないと……。いつかは僕もいなくなるんだからさ」
「……私がいるから大丈夫」
「うん!なんでも知ってるさえちゃんがいるから大丈夫!」
「まったく……この二人は……。まぁいいさ。今は甘えさせてあげよう」
この時のマーリんさんの笑みは、いつもの笑顔の裏に何かあるようでした……。何も起きなければ良いけれど……。
「伊織。これはどうだい?」
マーリンさんが僕に一つの指輪を渡してきました。銀色の金属を基調とした、周囲に小さい宝石が等間隔に置かれているシンプルな指輪です。
「わぁ……」
「これは僕が錬金したものでね。詠唱キャンセル&百発百中のエンチャントがかけてあるのさ。これを使えば負け知らずだよ?」
「おぉぉぉ!」
何だか分からないけど、凄い物の様です。指輪の輝きが凄さを物語っているようです……。
「だめ……」
「え?」
「いおりには似合わない」
「またかい……」
「いおりには黒が似合う。例えば……この一番高い黒曜石の」
「げっ!」
さえちゃんが黒曜石の指輪を手に取った瞬間、マーリンさんが脱兎の如き勢いでお店を飛び出しました。
「逃がさない」
「こ、黒曜石だけは勘弁を……‼︎」
マーリンさんが言った通り、魔法が使える人は身体が弱っちいです。さえちゃんが、マーリンさんをあっという間に捕まえて、戻ってきました。
「勘弁してくれよ……。黒曜石は高価な上に加工がとても難しいんだ……。相当な値段になっているんだよ……」
「一番高い?」
「いや、一番は賢者の石で作ったこのイヤリングだけど……」
「じゃあ買える。マーリンが一番高いの持ってるから」
「……はぁ。分かったよ。伊織は僕の弟子だ。奮発してやろうじゃないか……。とほほ……」
「いおり、良かった」
「う、うん。ありがとう。だけど……良いのかな」
「問題ない。まだ高いのがあるから」
「さえちゃんが言うならそうなのかな……。ん!きっとそうだ!ありがとう!マーリンさん!」
「あぁ……うん……」
何故か顔が真っ白になっているマーリンさんの所に、店主さんが出てきました。
「それを買ってくださるのですか!……あ、あなたは⁉︎この街を救ってくださった英雄、マーリン・セイジャスト様では⁉︎」
「あぁ……。そんな堅苦しいの僕嫌いだから……。それより、精算お願いするよ……」
「分かりました!黒曜石製魔法媒体の指輪と……。黒曜石製の直刀ですね!毎度ありです!」
「えっ⁉︎」
マーリンさんが驚きの声を上げました。そして、さえちゃんの方を見ます。
「ぐぬぬ……」
「どうされました?」
「いや、なんでもないよ……。いくらだい?」
「900万ユルドです!」
「……」
想像を絶する金額に僕達は何も言えなくなりました。でも、マーリンさんは男に二言はないと言って払ってしまいました。
「ありがとうございましたー!またご贔屓にお願いします!」
「二度と来るかよ……」
来た時とは逆に、にこにこした店主さんとげっそりしたマーリンさんが、そこにはいました。一方僕達は、二人のことなどどこ吹く風です。
「わぁ……。これが僕達の武器……」
「……かっこいい」
「だね!さえちゃんに選んでもらったから、いくらでも魔法が放てる気がするよ!」
「……ん」
「さえちゃんの剣も格好良いね!」
さえちゃんが買ってもらった剣は、僕と同じ黒曜石です。直刀?と言うらしくて、鍔が無く曲がっていない物です。忍者が持っていそうな、格好良い剣です!
「さえちゃんも嬉しい?」
「……ん」
嬉しそうなさえちゃんを見て、僕はますますプレゼントしたくなりました。あの、さえちゃんが一番熱心に見ていた紅い指輪を……。
朝です。もうそろそろ起きようと思って、目を開けると、さえちゃんにキスされました!いきなりの事で訳が分からなくなってしまいました。バレたらいけないと思って、思わず寝た振りをします。丁度良いタイミングでマーリンさんが入ってきました。また、さえちゃんが不機嫌になりそうです……。
「今日は、買い物をした後に武器を見に行くよ。武器は自分の命を預ける物だと言っていい。大事なものだから、性能が良く、なおかつ気に入ったのをを選ぶと良い」
「うん!」
「……ん」
「二人とも喜んでくれて何よりさ。早くご飯を食べて、武器を見に行こうか」
「うん!」
「……ん」
僕達の武器……。どんな物があるんでしょうか!とても楽しみです!さえちゃんも無表情だけど、喜んでる様です!足をぱたつかせる時は、嬉しい時です!
「さぁ、今日も一日頑張ろうか!早く行くよ!」
「あ!待って!」
「いおり……。早く」
「うん!」
急いで残っていたご飯を口一杯に頬張って、僕達は武器屋に向かいました。
「そう言えば、マーリンさんって凄い人だったんだね」
「当たり前じゃないか!出会った時にも言ったろう?僕は『堕ちた大賢者』だよ。『天空の覇者』『創造主』の称号も持っているんだよ。あいつが来るまでは、400年もの間ここを支配していたんだ。……支配と言っても、この世界の治安を守る為にいたんだけどね」
「400年⁉︎マーリンさんっておじいさんだったんですか⁉︎」
「反応する場所が違うだろう⁉︎称号を褒めておくれよ!」
「……じじい」
「どうして二人とも僕の年齢で弄るのさ⁉︎」
「400年はびっくりしたけど、てんくうのはしゃ?も凄いです!格好良いです!」
「そうかい?そうだろう?数ある僕の称号の中でも、トップを争う格好良い称号だからね!梓ちゃんはどう思うんだい⁉︎格好良いだろう⁉︎」
「ださい」
「なんだとう⁉︎」
「さえちゃんがそう言うなら格好良くないのかな……」
「伊織まで⁉︎あぁ酷いよ……。二人して僕を馬鹿にするんだね……。もう良いよ……。僕はださいのさ……ははは……」
「馬鹿みたい」
「んなっ……‼︎」
「さえちゃん言い過ぎだよぉ……。マーリンさん。格好良いから安心して?ね?」
「伊織……」
「ださい」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁん!梓ちゃんがいじめるよぉぉぉぉ!」
ださ格好良い称号の話をしている内に、僕達は武器屋に到着しました。
「ださ格好良いとはなんだいださ格好良いとは」
……マーリンさんの視線が痛いです。でも、ちゃんと褒めているから大丈夫!……なはずです!
「なら良いんだよ。僕は凄いんだから褒めちぎらないと損だよ?」
「はーい!」
「ない」
「なぬっ⁉︎」
「早く入らないと!変な目で見られてるよ!」
「それはやばい!二人とも早く入ろう!」
「……ん」
実際にはそんな事はありませんでしたが、兎にも角にもこれでお店の中へ入れました!
中に入ると、そこには元の世界では見たことのない空間が広がっていました。壁に立てかけられている大剣。騎士のマネキンさんが持っているロングソードと盾。棚に並べられた杖や装飾品。どれも強そうで、男の子にはとても嬉しい空間です!
「どうだい?伊織には夢のような空間だろう?」
「う、うん!かっこいい武器がいっぱい!」
「梓ちゃんは……。気に入っている様だね」
「……ん」
さえちゃんは、棚に置かれている装飾品を見ています。赤い宝石が埋め込まれた指輪に、濃く澄んだ蒼のガラスのティアラなど、お洒落な物を、さえちゃんは目を輝かせて見ています。
「さえちゃん、これ欲しいの?」
「……全然」
僕が聞くと、さえちゃんはそっぽを向いて別の物を見始めました。しばらくすると、またさえちゃんは装飾品を見つめています。
「欲しいの?」
「……別に」
何度か同じやり取りをした後、マーリンさんが見かねて声をかけてくれました。
「梓ちゃんの見てた宝石は、それぞれスピードや攻撃力を上昇させる物だから、持っていて損はないさ。僕がお金を出すから、好きなものを選んでいいよ」
「ダメ!」
梓ちゃんが凄い剣幕で拒否しました。
「いおりに買ってもらいたいから……。今はいらない」
「えっ?」
「ふぅん?つまり、伊織以外の男からの宝石はいらないというわけか?」
「……ん」
「だってさ、伊織。早くお金を稼いでプレゼントしないとな?」
「う、うん……。頑張る!」
プレゼントかぁ……。考えた事なかったなぁ……。そう言えば、あっちの世界でもプレゼントされてばかりだったし……。少しは僕もさえちゃんに……。
「マーリンさん……」
「うん?どうしたんだい?そんなにコソコソして……。あぁそうか……。分かった。根回ししておこうか」
「ありがとう!」
「……?」
「二人とも、どんな武器が良いんだい?伊織は前衛じゃないから、僕みたいな何も持たないスタイルか……。もしくは杖を装備するのが主流だけど。どうしたい?」
「僕は……。マーリンさんにお任せする!」
「そうかい……。あまり人の装備を選ぶのは得意じゃないけれど……。頑張ってみるよ。梓ちゃんは?君は前衛だけど、機動力重視か。火力、防御力重視のタンクスタイルか。どうしたい?」
「……いおりを守りたい」
「そうか、じゃあタンクにするかい?長老に鎧を作らせないとね……」
「……いらない」
「え?タンクは鎧あってのタンクだろう?」
「身体強化。エンチャントかければ防げる。私の身体能力なら」
「うぅむ……。それもそうだね。じゃぁアサシンとタンクの掛け合わせでスタイルを構成しよう」
「……ん」
あさしん?たんく?えんちゃんと?知らない単語がいっぱいで話についていけません。やっぱりさえちゃんは頭が良くて、なんでも知ってる完璧な女の子です!凄い!
「それじゃぁ二人とも、メインになる武器を決めようか。伊織は僕が決めて良いって事だから……。そうだな。命中率重視で杖を装備するのも良いけど……。詠唱速度を早くしたいから指輪にしよう。梓ちゃんはバスターソードも良いけど……。直刀にするかい?」
「……任せる」
「二人とももっとちゃんと考えないと……。いつかは僕もいなくなるんだからさ」
「……私がいるから大丈夫」
「うん!なんでも知ってるさえちゃんがいるから大丈夫!」
「まったく……この二人は……。まぁいいさ。今は甘えさせてあげよう」
この時のマーリんさんの笑みは、いつもの笑顔の裏に何かあるようでした……。何も起きなければ良いけれど……。
「伊織。これはどうだい?」
マーリンさんが僕に一つの指輪を渡してきました。銀色の金属を基調とした、周囲に小さい宝石が等間隔に置かれているシンプルな指輪です。
「わぁ……」
「これは僕が錬金したものでね。詠唱キャンセル&百発百中のエンチャントがかけてあるのさ。これを使えば負け知らずだよ?」
「おぉぉぉ!」
何だか分からないけど、凄い物の様です。指輪の輝きが凄さを物語っているようです……。
「だめ……」
「え?」
「いおりには似合わない」
「またかい……」
「いおりには黒が似合う。例えば……この一番高い黒曜石の」
「げっ!」
さえちゃんが黒曜石の指輪を手に取った瞬間、マーリンさんが脱兎の如き勢いでお店を飛び出しました。
「逃がさない」
「こ、黒曜石だけは勘弁を……‼︎」
マーリンさんが言った通り、魔法が使える人は身体が弱っちいです。さえちゃんが、マーリンさんをあっという間に捕まえて、戻ってきました。
「勘弁してくれよ……。黒曜石は高価な上に加工がとても難しいんだ……。相当な値段になっているんだよ……」
「一番高い?」
「いや、一番は賢者の石で作ったこのイヤリングだけど……」
「じゃあ買える。マーリンが一番高いの持ってるから」
「……はぁ。分かったよ。伊織は僕の弟子だ。奮発してやろうじゃないか……。とほほ……」
「いおり、良かった」
「う、うん。ありがとう。だけど……良いのかな」
「問題ない。まだ高いのがあるから」
「さえちゃんが言うならそうなのかな……。ん!きっとそうだ!ありがとう!マーリンさん!」
「あぁ……うん……」
何故か顔が真っ白になっているマーリンさんの所に、店主さんが出てきました。
「それを買ってくださるのですか!……あ、あなたは⁉︎この街を救ってくださった英雄、マーリン・セイジャスト様では⁉︎」
「あぁ……。そんな堅苦しいの僕嫌いだから……。それより、精算お願いするよ……」
「分かりました!黒曜石製魔法媒体の指輪と……。黒曜石製の直刀ですね!毎度ありです!」
「えっ⁉︎」
マーリンさんが驚きの声を上げました。そして、さえちゃんの方を見ます。
「ぐぬぬ……」
「どうされました?」
「いや、なんでもないよ……。いくらだい?」
「900万ユルドです!」
「……」
想像を絶する金額に僕達は何も言えなくなりました。でも、マーリンさんは男に二言はないと言って払ってしまいました。
「ありがとうございましたー!またご贔屓にお願いします!」
「二度と来るかよ……」
来た時とは逆に、にこにこした店主さんとげっそりしたマーリンさんが、そこにはいました。一方僕達は、二人のことなどどこ吹く風です。
「わぁ……。これが僕達の武器……」
「……かっこいい」
「だね!さえちゃんに選んでもらったから、いくらでも魔法が放てる気がするよ!」
「……ん」
「さえちゃんの剣も格好良いね!」
さえちゃんが買ってもらった剣は、僕と同じ黒曜石です。直刀?と言うらしくて、鍔が無く曲がっていない物です。忍者が持っていそうな、格好良い剣です!
「さえちゃんも嬉しい?」
「……ん」
嬉しそうなさえちゃんを見て、僕はますますプレゼントしたくなりました。あの、さえちゃんが一番熱心に見ていた紅い指輪を……。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる