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初めての別行動です⁉︎
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《梓side》
「さえちゃんおはよう~」
「……ん」
「今日から別々に行動だね」
「……ん」
「寂しい?」
「……ん」
「そっかぁ……」
「いおりは何するの?」
「僕は……秘密だよ!」
「……そっか」
「うん!」
寂しくないわけが無い。一日いおりと一緒にいないだけでも辛いのにそれが三日間もあるなんて耐えられない。言い出したのはいおりで、理由は教えてくれなかった。やましいことがあるわけでも無いようなので、とりあえずは了承したけど……。
「じゃぁ、行ってくるね!楽しみにしててね……!」
「……?」
いつの間にかいおりは、支度を済ませていた。楽しみ?何をかな……。三日後いおりに会えることを……?勢い良く宿を飛び出して行ったいおりの、背を見ながらしばらく私は考え込んでいた。
《伊織side》
今日から僕は、昨日の武器屋さんでアルバイトをすることになりました!仕事の内容は、接客とお店のお掃除らしいです!三日間だけど、頑張ります!
「おはようございます!今日から三日間よろしくお願いします!」
「おぉ、よく来たね。君がクジョウイオリくんだね?こちらこそよろしく頼むよ」
「はい!頑張ります!」
「良い心意気だ。うちは英雄様の弟子だからって容赦はないからね?」
「はい!」
出迎えてくださったのは、店主のラズさんでした。穏やかな雰囲気のこの人が、まさかあんな人だったなんて……。この時はまだ知る由もありませんでした……。
早速お仕事開始です!
「まずは店内を掃除してもらおうか。商品棚まできっちりとね?」
「はい!任せてください!」
掃除の腕には自信があります!僕の掃除を見たら、絶対に腰を抜かすはずです!床から商品棚、窓に至るまで、僕は隅々を綺麗にしました!……と思って安心していると、ラズさんがいきなり怒声を上げました。
「お前は掃除をなめているのかぁぁぁぁぁ ︎なんだこの床は!棚は!窓はぁ!やり直しだ!客は店の外観から引き寄せるんだよ!ぼさっとしていないで早くするんだ!」
「ふぇ……?」
「何がふぇ?だ!早く動け!」
「は、はい!」
「もっと大きな返事!」
「はい!!」
「もっと力を入れて拭くんだよ!要領悪いなぁ!」
「ごめんなさい!」
「すみませんだろうがぁぁぁぁぁ!!」
「すみませんんんんんん!!!!」
「口じゃ無くて手ぇ動かせやゴルァ!」
「はい!」
「喋んなぁ!」
「ひぃぃぃ!!」
さっきまでのラズさんとは打って変わって、とても厳しくなりました。いきなりだったので、とてもびっくりしました……。ラズさんは鬼なのかもしれない……。
やっとの事で掃除が終わり、僕はラズさんに出来を見せました。
「……ふん。まぁいいだろう。明日からはもっと早く掃除を終わらせるんだぞ」
「はい!」
「威勢だけで終わるなよ」
「はい!」
「……じゃあ次だ。丁度いつもの客が来る時間帯だから、接客してみろ」
「はい!」
「こんちゃーっす」
しばらくすると、ラズさんの言った通りにお客さんが来ました。
「い、いらっしゃいまへ!」
「お、君がアルバイト君か!ここは厳しいから頑張れ!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「今日は武器のメンテナンスをしに来たよ。ラズさんはいるかな?」
「はい!呼んできます!」
「聞こえているよ、レイザー。ここは厳しくはないぞ。大抵どこも一緒だ。お前はハンターなんてやているからわからんと思うがな」
「また始まったよ……。やれやれ、分かったから拳を仕舞うんだ」
「チッ……」
「何の舌打ちだよ!それより早く武器を見てくれないか?」
「そう急かすな。まだ武器も出していないくせに」
「こりゃ失敬。ほらよ」
「投げて渡すんじゃねぇ!粉々にすんぞオラァ!」
「やめろ!早まるな!そいつがないと俺が死んじまうんだよ!」
「……ふん。俺が鍛えた愛しの武具にそんなことするわけが無いだろう。お前こそ、こんなに武器をボロボロにしやがって」
「ただの刃こぼれだろうが……」
「たかが刃こぼれ。されど刃こぼれだ。侮るんじゃ無いぞ」
「だから見せにきてんだよ……」
「お?俺に文句か?殺るか?殺りあいたいか?」
「上等だこの筋肉バカが。紋無しのくせに加護持ちと張り合いやがって……」
「己が身体を鍛えるのは当然だろう!でないと槌が振れぬ!」
「分かったよ分かったよ!やってやろうじゃないか!表出ろや!」
「上等だ!かかってきやがれ!」
口論が激しくなって、殴り合いに発展するかと思った時でした。玄関の鈴が鳴り、女の人が店に入って来ました。
「あんた達!またやってるのかい!バイトが来ている時くらい静かにしなさいよ!」
「「はい……」」
「ごめんなさいね……。こいつら、喧嘩すると見境ないからねぇ」
「い、いえ!大丈夫です!」
「私はラズの嫁の、ナズナよ。これからは私があなたの教育係をするから、よろしくね!」
「よろしくお願いします!」
「じゃぁ、この馬鹿共は置いといて、早速掃除のノウハウから教えようか!」
「はい!」
「さえちゃんおはよう~」
「……ん」
「今日から別々に行動だね」
「……ん」
「寂しい?」
「……ん」
「そっかぁ……」
「いおりは何するの?」
「僕は……秘密だよ!」
「……そっか」
「うん!」
寂しくないわけが無い。一日いおりと一緒にいないだけでも辛いのにそれが三日間もあるなんて耐えられない。言い出したのはいおりで、理由は教えてくれなかった。やましいことがあるわけでも無いようなので、とりあえずは了承したけど……。
「じゃぁ、行ってくるね!楽しみにしててね……!」
「……?」
いつの間にかいおりは、支度を済ませていた。楽しみ?何をかな……。三日後いおりに会えることを……?勢い良く宿を飛び出して行ったいおりの、背を見ながらしばらく私は考え込んでいた。
《伊織side》
今日から僕は、昨日の武器屋さんでアルバイトをすることになりました!仕事の内容は、接客とお店のお掃除らしいです!三日間だけど、頑張ります!
「おはようございます!今日から三日間よろしくお願いします!」
「おぉ、よく来たね。君がクジョウイオリくんだね?こちらこそよろしく頼むよ」
「はい!頑張ります!」
「良い心意気だ。うちは英雄様の弟子だからって容赦はないからね?」
「はい!」
出迎えてくださったのは、店主のラズさんでした。穏やかな雰囲気のこの人が、まさかあんな人だったなんて……。この時はまだ知る由もありませんでした……。
早速お仕事開始です!
「まずは店内を掃除してもらおうか。商品棚まできっちりとね?」
「はい!任せてください!」
掃除の腕には自信があります!僕の掃除を見たら、絶対に腰を抜かすはずです!床から商品棚、窓に至るまで、僕は隅々を綺麗にしました!……と思って安心していると、ラズさんがいきなり怒声を上げました。
「お前は掃除をなめているのかぁぁぁぁぁ ︎なんだこの床は!棚は!窓はぁ!やり直しだ!客は店の外観から引き寄せるんだよ!ぼさっとしていないで早くするんだ!」
「ふぇ……?」
「何がふぇ?だ!早く動け!」
「は、はい!」
「もっと大きな返事!」
「はい!!」
「もっと力を入れて拭くんだよ!要領悪いなぁ!」
「ごめんなさい!」
「すみませんだろうがぁぁぁぁぁ!!」
「すみませんんんんんん!!!!」
「口じゃ無くて手ぇ動かせやゴルァ!」
「はい!」
「喋んなぁ!」
「ひぃぃぃ!!」
さっきまでのラズさんとは打って変わって、とても厳しくなりました。いきなりだったので、とてもびっくりしました……。ラズさんは鬼なのかもしれない……。
やっとの事で掃除が終わり、僕はラズさんに出来を見せました。
「……ふん。まぁいいだろう。明日からはもっと早く掃除を終わらせるんだぞ」
「はい!」
「威勢だけで終わるなよ」
「はい!」
「……じゃあ次だ。丁度いつもの客が来る時間帯だから、接客してみろ」
「はい!」
「こんちゃーっす」
しばらくすると、ラズさんの言った通りにお客さんが来ました。
「い、いらっしゃいまへ!」
「お、君がアルバイト君か!ここは厳しいから頑張れ!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「今日は武器のメンテナンスをしに来たよ。ラズさんはいるかな?」
「はい!呼んできます!」
「聞こえているよ、レイザー。ここは厳しくはないぞ。大抵どこも一緒だ。お前はハンターなんてやているからわからんと思うがな」
「また始まったよ……。やれやれ、分かったから拳を仕舞うんだ」
「チッ……」
「何の舌打ちだよ!それより早く武器を見てくれないか?」
「そう急かすな。まだ武器も出していないくせに」
「こりゃ失敬。ほらよ」
「投げて渡すんじゃねぇ!粉々にすんぞオラァ!」
「やめろ!早まるな!そいつがないと俺が死んじまうんだよ!」
「……ふん。俺が鍛えた愛しの武具にそんなことするわけが無いだろう。お前こそ、こんなに武器をボロボロにしやがって」
「ただの刃こぼれだろうが……」
「たかが刃こぼれ。されど刃こぼれだ。侮るんじゃ無いぞ」
「だから見せにきてんだよ……」
「お?俺に文句か?殺るか?殺りあいたいか?」
「上等だこの筋肉バカが。紋無しのくせに加護持ちと張り合いやがって……」
「己が身体を鍛えるのは当然だろう!でないと槌が振れぬ!」
「分かったよ分かったよ!やってやろうじゃないか!表出ろや!」
「上等だ!かかってきやがれ!」
口論が激しくなって、殴り合いに発展するかと思った時でした。玄関の鈴が鳴り、女の人が店に入って来ました。
「あんた達!またやってるのかい!バイトが来ている時くらい静かにしなさいよ!」
「「はい……」」
「ごめんなさいね……。こいつら、喧嘩すると見境ないからねぇ」
「い、いえ!大丈夫です!」
「私はラズの嫁の、ナズナよ。これからは私があなたの教育係をするから、よろしくね!」
「よろしくお願いします!」
「じゃぁ、この馬鹿共は置いといて、早速掃除のノウハウから教えようか!」
「はい!」
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