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マーリンさんの秘密です!?
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《梓side》
「次はどんな魔法を習得したい?と言っても、それは伊織のイメージに依存しなければいけないけれど……」
「うーん……。あ!マーリンさんが使ってたやつがいい!」
「僕が使っていたやつかい?えっと……」
「あの、相手が動けなくなるやつ!なんだっけ……」
「【タイムストップ】の事かい?……伊織には難しいだろうなぁ。あれは僕が長い年月をかけて編み出した技なんだ。そう簡単に真似されても困るなぁ」
「そうなんだ……。えっと……。どうやるんだろ」
「参考までに教えてあげようか?」
「ほんと ︎」
「あぁ……。この魔法は特別でね。文字通り対象者の時を止めるなんていう、世の中の理を覆す魔法なんだ。使うには相応の努力と時間が必要なんだ」
「時を止める……。ねぇマーリンさん」
「ん?どうしたんだ…… ︎」
「え?マーリンさん?なんで急に黙ったの?え?」
「いおり……。止まってる」
「え ︎は、早く解かないと!どうするの…… ︎」
「分からない。このままでいい」
「そうなの?ほっといたら良いのか……」
よし、これで邪魔者はいなくなった。いおりとのイチャラブ生活が始まるわ!
「伊織……。なんで使えるんだい……?あいつもそうだったが、異世界人は皆チートだな……。教えるのが嫌になるよ……」
「あ!動いた!よかったぁ……」
「ちっ……」
くそ……。流石のクソださ賢者も死んだと思ったのに……。
「梓ちゃん全部分かってるからね……。割と僕も傷つくんだよ……。そういうの……」
「……ちっ」
「舌打ちしないで ︎ショック死するよ ︎」
「すれば良い」
「酷いよ ︎」
「まぁまぁさえちゃん。マーリンさんが元に戻ってよかったじゃん!」
「……良くないけど」
「そっかぁ……。じゃあもう一回止めちゃう?」
「そうした方が良い」
「うん!分かった!」
「君達は僕にどんな恨みを持ってそんな仕打ちをしているんだい ︎僕もうそろそろ本気で泣くよ ︎」
「泣けば良い」
「酷い!」
うるさいなぁ……。早く今の大賢者に会ってこいつとおさらばしないと……。私といおりのイチャラブライフが……。
「君達二人にいじられるのは好きじゃないけれど、結構楽しいものだね。仲間って……。」
「ねぇねぇさえちゃん」
「……ん?」
「お腹すいたね……」
そう言えばもう夕方だ。私達は昼を食べずに移動していたので、当然と言えば当然だろうが……。この役立たず厨二賢者が食料を持っているはずないか……。
「梓ちゃん初めて会った時より物言いがきつくなってないかい ︎あと僕が言ったことを無視しないでほしいな ︎」
「……気のせい。あと、キモいことは無視する」
「気のせいじゃないよ!確かに僕は食料を持っていない役立たず厨二賢者だけど!え ︎キモいことって何 ︎どこがキモかったの ︎」
「発言全て」
「酷い ︎」
「さぁいおり。食べ物探そうか」
「うん!」
「僕をぞんざいに扱うのをやめておくれよ ︎」
「マーリンさんは食べ物探す気ないみたいだから、僕達だけで探そっか!」
「……ん。このダメ賢者には分けなくて良いからね」
「うん!分かった!」
「伊織も容赦なくなってきてるよね ︎」
「そうかな?」
「そんな事ない。いたって正常」
「そっか!」
「騙されちゃいけない!そいつは悪魔だ」
「……ん?」
「ひぇっ!ごめんなさい!」
「……ん」
「ん?」
いじられるのが楽しいならもっといじってやるよ……。
「そうだけどそうじゃないよ ︎」
「心読むのキモい」
「ぐ……。それならさ……。勝負しないか?」
「勝負?」
「……?」
「そう。どっちが早く食料を調達できるかの……。この森の中の物ならなんでも良いさ。一番に食料をここに持ってきた方の勝ちだ」
「そんな事して何になる」
「僕が本当にダメ賢者かどうか……。それを思い知らせてあげようじゃないか!」
「……分かった。勝つのは私」
「いいや僕だね!」
負けられない……。こいつには絶対に負けない……。
「じゃあ、僕はここで待ってるね!」
「……ん」
「判定は任せたよ……。じゃあ、よーい……どん!がはぁ ︎」
「もらった」
私は、勝負開始と同時にマーリンの首に手刀を落とした。気絶させるためには相当な力でやらないといけないが、強化された身体能力は難なくそれを可能としてくれた。
「よし……」
「さえちゃん強い……」
後ろで、いおりの感嘆の声が聞こえてきたが、それを無視して歩いた。少しでも早く、いおりのために食料を持ってこないと……。
《伊織side》
さえちゃんがマーリンさんを気絶させてから十分後の事です。角のついた兎を持って、さえちゃんが帰ってきました。
「あ!さえちゃんおかえり!それ何 ︎」
「……ホーンラビット。美味しい……はず」
「そうなんだ!ありがとうさえちゃん!」
「……ん」
二人で美味しそうな兎を見てると、マーリンさんが跳ね起きました。
「これはっ!ホーンラビットじゃないか!いや待て、違う!希少種のホルンラビットだ!S級の中でもそのさらに上位に君臨する、伝説の食材だよ!これは梓ちゃんが仕留めたのかい ︎大手柄だよ!どうする ︎食ってよし売ってよしのこの超高級食材!どうしたい ︎」
「食べる」
「食べたい!」
「そうかいそうかい!じゃあとっておきの調理をしてやろうじゃあないか!ローストホルンさ!美味そうだろうそうだろう ︎」
「美味しそう!食べたい!」
「……ん」
「ふふふ……。もちろん僕にも食べさせてくれるだろう?」
「うん!食べて食べて!」
「……だめ」
「梓ちゃん……。そんなこと言ったらローストホルンが食べれないよ……?」
「ぐ……」
「良いのかい?」
「……食べて良い」
「わぁい!伊織!早速作ろう!」
「うん!」
ローストホルン……。美味しそうだなぁ……。早く食べたいなぁ……。
「そうだろう早く食べたいだろう ︎」
「うん!早く作ろう!」
「そうしようじゃないか!」
「……ちっ」
「梓ちゃんも早く!」
「……ん」
《マーリンside》
「わぁ……。これがローストホルン……」
伊織……。これがローストホルンさ……。完成までわずか一分。僕の魔法にかかればローストホルンなんてすぐ作れるんだ。どうだい?見直しただろう?
「きもい」
「なんで ︎今僕の心を読んだのかい ︎怖いよ ︎」
「ドヤ顔うざい」
「うざい ︎」
相変わらず梓ちゃんの当たりがきつい……。それ以外には特に変わった事も無い……か?
いや待てよ……。
「二人とも!草叢に隠れろ!急げ!」
次の瞬間だった。数瞬前までローストホルンがあった場所に、一人の少女が立っていた。
「いやぁ……。君も鋭いねぇ……」
「何をしにきた!チカ!」
「何をしにきたとは心外じゃないかい?私はローストホルンを食べにきたんだよ」
「それは僕らの物だ!返してもらおう!」
「やーだよーだ!これは私のだよ!」
「だめ!それはさえちゃんのだよ!」
「あれぇ?そこのクールな男の子は……。伊織くんじゃないかい?そこには梓ちゃんもいるねぇ……」
「ぐっ……」
「二人ともぉ……私の事覚えててくれたぁ?この世界にご招待したチカちゃんだよぉ!」
「……うわ」
「ひえぇ……」
「二人ともぉ……。元気にしてたぁ?マーリン君はぁ……。ちゃんと教育したのかなぁ?」
面倒くさい……。なんでいきなりこいつが……。
「君がぁ……。ちゃんと二人に教育すれば良かったんだよぉ……?」
「どういう事?」
「……意味がわからない」
「つまりぃ、マーリン君が君達二人をきちんとお世話すれば良かったんだよぉ。そうすれば私もこうして来ることもなかったんだからぁ」
「教育はしているさ。まだ、二人がこの世界に慣れていないだけなんだ」
「ふぅん……。どのみち、私はこの二人を連れて行かなくちゃいけないんだよぉ……。諦めようかぁ、マーリン君?」
「マーリンさん……。どういう事?」
「説明……して」
「あらぁ?何も聞いてなかったのぉ?かわいそうにぃ」
「説明する意味がないと判断したから、俺はしなかった」
「そうなのかぁ……。じゃぁ、私が説明するよぉ?」
「……ん」
「お、お願いします……」
「ちっ……」
くそ……。隠していたのに……。
「マーリン君はぁ、賢者の塔を追い出されたんだよぉ。だからぁ。塔に戻ってくるためにぃ、君達二人を教育してもらおうと思ったのぉ。でも、もう私が来たから必要ないねぇ?」
「え?」
「……ん」
「マーリン君、異論ないねぇ?」
……二人との旅もここで終わりか。短かったな。
「……ぁ」
「だめ!」
「……だめ」
「え……?二人とも今なんて?」
「マーリンさんは僕達の師匠だから、だめ!」
「いおりがだめって言うから……だめ」
「おやおやぁ?良いのかなぁ?私の方が教えるのは上手だし、裕福な暮らしができるよぉ?」
「そ、そうだぞ二人とも。チカの方が魔法の腕も圧倒的に上だ。俺よりも……良いはずだぞ?」
「どんなに大賢者さんが強くてお金持ちでも、僕達はマーリンさんと行くよ」
「不本意だけど、マーリンの方が信用出来る」
「そっかぁ……。残念だなぁ。じゃぁ、仕方ないかぁ」
「ごめんなさい。僕達は大賢者さんとは行けません」
「……ごめんなさい」
伊織……。梓ちゃん……。良いこと言ってくれるじゃないか……。やっぱり僕は、この二人とずっといたいな……。
「良いよ良いよぉ。そのかわり、君達二人にもう用はないからぁ。消えてもらうねぇ?生き残ったら、王都戦で待ってるからぁ」
「「え?」」
次の瞬間には、僕は動いていた。チカが放つ爆裂魔法【エクスプロード】から二人を守るために……。
「二人とも!絶対に動くな!」
「次はどんな魔法を習得したい?と言っても、それは伊織のイメージに依存しなければいけないけれど……」
「うーん……。あ!マーリンさんが使ってたやつがいい!」
「僕が使っていたやつかい?えっと……」
「あの、相手が動けなくなるやつ!なんだっけ……」
「【タイムストップ】の事かい?……伊織には難しいだろうなぁ。あれは僕が長い年月をかけて編み出した技なんだ。そう簡単に真似されても困るなぁ」
「そうなんだ……。えっと……。どうやるんだろ」
「参考までに教えてあげようか?」
「ほんと ︎」
「あぁ……。この魔法は特別でね。文字通り対象者の時を止めるなんていう、世の中の理を覆す魔法なんだ。使うには相応の努力と時間が必要なんだ」
「時を止める……。ねぇマーリンさん」
「ん?どうしたんだ…… ︎」
「え?マーリンさん?なんで急に黙ったの?え?」
「いおり……。止まってる」
「え ︎は、早く解かないと!どうするの…… ︎」
「分からない。このままでいい」
「そうなの?ほっといたら良いのか……」
よし、これで邪魔者はいなくなった。いおりとのイチャラブ生活が始まるわ!
「伊織……。なんで使えるんだい……?あいつもそうだったが、異世界人は皆チートだな……。教えるのが嫌になるよ……」
「あ!動いた!よかったぁ……」
「ちっ……」
くそ……。流石のクソださ賢者も死んだと思ったのに……。
「梓ちゃん全部分かってるからね……。割と僕も傷つくんだよ……。そういうの……」
「……ちっ」
「舌打ちしないで ︎ショック死するよ ︎」
「すれば良い」
「酷いよ ︎」
「まぁまぁさえちゃん。マーリンさんが元に戻ってよかったじゃん!」
「……良くないけど」
「そっかぁ……。じゃあもう一回止めちゃう?」
「そうした方が良い」
「うん!分かった!」
「君達は僕にどんな恨みを持ってそんな仕打ちをしているんだい ︎僕もうそろそろ本気で泣くよ ︎」
「泣けば良い」
「酷い!」
うるさいなぁ……。早く今の大賢者に会ってこいつとおさらばしないと……。私といおりのイチャラブライフが……。
「君達二人にいじられるのは好きじゃないけれど、結構楽しいものだね。仲間って……。」
「ねぇねぇさえちゃん」
「……ん?」
「お腹すいたね……」
そう言えばもう夕方だ。私達は昼を食べずに移動していたので、当然と言えば当然だろうが……。この役立たず厨二賢者が食料を持っているはずないか……。
「梓ちゃん初めて会った時より物言いがきつくなってないかい ︎あと僕が言ったことを無視しないでほしいな ︎」
「……気のせい。あと、キモいことは無視する」
「気のせいじゃないよ!確かに僕は食料を持っていない役立たず厨二賢者だけど!え ︎キモいことって何 ︎どこがキモかったの ︎」
「発言全て」
「酷い ︎」
「さぁいおり。食べ物探そうか」
「うん!」
「僕をぞんざいに扱うのをやめておくれよ ︎」
「マーリンさんは食べ物探す気ないみたいだから、僕達だけで探そっか!」
「……ん。このダメ賢者には分けなくて良いからね」
「うん!分かった!」
「伊織も容赦なくなってきてるよね ︎」
「そうかな?」
「そんな事ない。いたって正常」
「そっか!」
「騙されちゃいけない!そいつは悪魔だ」
「……ん?」
「ひぇっ!ごめんなさい!」
「……ん」
「ん?」
いじられるのが楽しいならもっといじってやるよ……。
「そうだけどそうじゃないよ ︎」
「心読むのキモい」
「ぐ……。それならさ……。勝負しないか?」
「勝負?」
「……?」
「そう。どっちが早く食料を調達できるかの……。この森の中の物ならなんでも良いさ。一番に食料をここに持ってきた方の勝ちだ」
「そんな事して何になる」
「僕が本当にダメ賢者かどうか……。それを思い知らせてあげようじゃないか!」
「……分かった。勝つのは私」
「いいや僕だね!」
負けられない……。こいつには絶対に負けない……。
「じゃあ、僕はここで待ってるね!」
「……ん」
「判定は任せたよ……。じゃあ、よーい……どん!がはぁ ︎」
「もらった」
私は、勝負開始と同時にマーリンの首に手刀を落とした。気絶させるためには相当な力でやらないといけないが、強化された身体能力は難なくそれを可能としてくれた。
「よし……」
「さえちゃん強い……」
後ろで、いおりの感嘆の声が聞こえてきたが、それを無視して歩いた。少しでも早く、いおりのために食料を持ってこないと……。
《伊織side》
さえちゃんがマーリンさんを気絶させてから十分後の事です。角のついた兎を持って、さえちゃんが帰ってきました。
「あ!さえちゃんおかえり!それ何 ︎」
「……ホーンラビット。美味しい……はず」
「そうなんだ!ありがとうさえちゃん!」
「……ん」
二人で美味しそうな兎を見てると、マーリンさんが跳ね起きました。
「これはっ!ホーンラビットじゃないか!いや待て、違う!希少種のホルンラビットだ!S級の中でもそのさらに上位に君臨する、伝説の食材だよ!これは梓ちゃんが仕留めたのかい ︎大手柄だよ!どうする ︎食ってよし売ってよしのこの超高級食材!どうしたい ︎」
「食べる」
「食べたい!」
「そうかいそうかい!じゃあとっておきの調理をしてやろうじゃあないか!ローストホルンさ!美味そうだろうそうだろう ︎」
「美味しそう!食べたい!」
「……ん」
「ふふふ……。もちろん僕にも食べさせてくれるだろう?」
「うん!食べて食べて!」
「……だめ」
「梓ちゃん……。そんなこと言ったらローストホルンが食べれないよ……?」
「ぐ……」
「良いのかい?」
「……食べて良い」
「わぁい!伊織!早速作ろう!」
「うん!」
ローストホルン……。美味しそうだなぁ……。早く食べたいなぁ……。
「そうだろう早く食べたいだろう ︎」
「うん!早く作ろう!」
「そうしようじゃないか!」
「……ちっ」
「梓ちゃんも早く!」
「……ん」
《マーリンside》
「わぁ……。これがローストホルン……」
伊織……。これがローストホルンさ……。完成までわずか一分。僕の魔法にかかればローストホルンなんてすぐ作れるんだ。どうだい?見直しただろう?
「きもい」
「なんで ︎今僕の心を読んだのかい ︎怖いよ ︎」
「ドヤ顔うざい」
「うざい ︎」
相変わらず梓ちゃんの当たりがきつい……。それ以外には特に変わった事も無い……か?
いや待てよ……。
「二人とも!草叢に隠れろ!急げ!」
次の瞬間だった。数瞬前までローストホルンがあった場所に、一人の少女が立っていた。
「いやぁ……。君も鋭いねぇ……」
「何をしにきた!チカ!」
「何をしにきたとは心外じゃないかい?私はローストホルンを食べにきたんだよ」
「それは僕らの物だ!返してもらおう!」
「やーだよーだ!これは私のだよ!」
「だめ!それはさえちゃんのだよ!」
「あれぇ?そこのクールな男の子は……。伊織くんじゃないかい?そこには梓ちゃんもいるねぇ……」
「ぐっ……」
「二人ともぉ……私の事覚えててくれたぁ?この世界にご招待したチカちゃんだよぉ!」
「……うわ」
「ひえぇ……」
「二人ともぉ……。元気にしてたぁ?マーリン君はぁ……。ちゃんと教育したのかなぁ?」
面倒くさい……。なんでいきなりこいつが……。
「君がぁ……。ちゃんと二人に教育すれば良かったんだよぉ……?」
「どういう事?」
「……意味がわからない」
「つまりぃ、マーリン君が君達二人をきちんとお世話すれば良かったんだよぉ。そうすれば私もこうして来ることもなかったんだからぁ」
「教育はしているさ。まだ、二人がこの世界に慣れていないだけなんだ」
「ふぅん……。どのみち、私はこの二人を連れて行かなくちゃいけないんだよぉ……。諦めようかぁ、マーリン君?」
「マーリンさん……。どういう事?」
「説明……して」
「あらぁ?何も聞いてなかったのぉ?かわいそうにぃ」
「説明する意味がないと判断したから、俺はしなかった」
「そうなのかぁ……。じゃぁ、私が説明するよぉ?」
「……ん」
「お、お願いします……」
「ちっ……」
くそ……。隠していたのに……。
「マーリン君はぁ、賢者の塔を追い出されたんだよぉ。だからぁ。塔に戻ってくるためにぃ、君達二人を教育してもらおうと思ったのぉ。でも、もう私が来たから必要ないねぇ?」
「え?」
「……ん」
「マーリン君、異論ないねぇ?」
……二人との旅もここで終わりか。短かったな。
「……ぁ」
「だめ!」
「……だめ」
「え……?二人とも今なんて?」
「マーリンさんは僕達の師匠だから、だめ!」
「いおりがだめって言うから……だめ」
「おやおやぁ?良いのかなぁ?私の方が教えるのは上手だし、裕福な暮らしができるよぉ?」
「そ、そうだぞ二人とも。チカの方が魔法の腕も圧倒的に上だ。俺よりも……良いはずだぞ?」
「どんなに大賢者さんが強くてお金持ちでも、僕達はマーリンさんと行くよ」
「不本意だけど、マーリンの方が信用出来る」
「そっかぁ……。残念だなぁ。じゃぁ、仕方ないかぁ」
「ごめんなさい。僕達は大賢者さんとは行けません」
「……ごめんなさい」
伊織……。梓ちゃん……。良いこと言ってくれるじゃないか……。やっぱり僕は、この二人とずっといたいな……。
「良いよ良いよぉ。そのかわり、君達二人にもう用はないからぁ。消えてもらうねぇ?生き残ったら、王都戦で待ってるからぁ」
「「え?」」
次の瞬間には、僕は動いていた。チカが放つ爆裂魔法【エクスプロード】から二人を守るために……。
「二人とも!絶対に動くな!」
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