26 / 339
第2章
25.手の焼ける可愛い妹
しおりを挟む
コンコンと、私の部屋をノックする音で私たちの可笑しな茶番が中断された。
(誰だろう?)
許可を出すと、ゆっくりと扉が開いた。
「お姉様」
その小さな隙間からひょっこりと顔を出したのは妹のシルビアだった。
相変わらず顔から仕草から何もかもが可愛い彼女に顔が緩む。
「あらシルビア。どうしたの?」
「勉強が終わったので、遊びにきたのです!」
そんな事言われたら、構わないわけにはいかないじゃない。
仕方ないなぁ。
「シルビア、今日はどんな勉強をしたの?」
「ええっと、今日は歴史学を学びました! 帝国のところまで!」
「まぁもうそんなところまで習ったの?私がシルビアの歳の頃はまだ 時代のところだったのに」
「えへへ」
頭を撫でるとより一層嬉しそうな顔をするシルビアにこっちが癒されてしまう。
こんなに可愛い妹を持ててなんて幸せなのだろう。
顔が綻びすぎて溶けてしまいそうだ。
学園の中等部に入るまでは、毎日が勉強の日々だ。
庶民であるならば、7歳になると中等部の前にある初等部教育を受けるため学校に通うのが一般的。
しかし、この国の貴族間では、13歳になるまで自宅で勉強を教わるのが一般的なのである。
それは、その家に必要な勉学を幼い頃から集中して学ぶことと、他の貴族の子供との差を見えなくするための2つの目的がある。
まぁ、小さい頃では人によって差が大きく出ててしまうもの。
それを他の貴族に知られてしまえば、下手をしたらそれが家名に傷を付けてしまうことだってなくはない。
その欠点を露呈させないため、不得意なことを幼いうちから見つけ、矯正しようというのが狙いらしい。
私としては全くどうでもいい理由ではあるけれど、これが一般的なのだから仕方がない。
そんな事情は全く知らない我が愛しの妹は、美味しそうにクッキーを口に頬張る。
口に入れた瞬間のあの幸せそうな顔は、見ているこっちが癒されてしまうほどだ。
「ふふ、シルビア。ほらこれも食べていいわよ」
「ありがとうございます、お姉様」
ついつい甘やかしてしまう。
つい先ほど、甘やかすのを控えようと考えていたはずなのに、ある意味恐ろしい妹だ。
「そういえばお姉様、私この間風を起こす魔法を覚えたのです!」
今思い出したようにパッとこちらを向くと満面の笑みで報告してくる。
これを可愛いと思えない人なんて、もはや人間ではない。
「まぁすごいじゃない」
「はい、今披露しますね!」
私が褒めると、それが嬉しいのか早速見せてくれるらしい。
椅子から立ち上がると、シルビアは私のベッドの近くへ移動する。
両手を胸の位置まで上げ、ピンと伸ばすと目を瞑り意識を集中させた。
すると、どこからか風が吹いてきて布団が揺れ動きながら徐々に浮かんでいく。
「すごいわ」
彼女の成長は素直に嬉しい。
しかし、私が全く使えないのに3つ下の妹はもうこんなに使えてしまっている。
その事実がやはり悔しい。
「お嬢様……」
私の肩に、彼女の手がそっと触れる。
どうやら私の様子を見ていて、心配させてしまったのだろう。
「大丈夫よね、ミリア。いつか私も使えるようになるはずよね」
しかしその言葉に答えは返ってこなかった。
ミリアを見つめる。
彼女は率直な人だ。
そして安易に嘘を付いたりしない。
それが今の私の現状がどれほど絶望的なのかを暗に示しているようだった。
やっぱりどうしようもないのだ。
(前世の私も全く魔法が使えなかったけれど、まさか今世でも使えないなんて)
そう、前世の私も魔法が全く使えなかった。
だから、どうにか剣の腕を磨こうとしたが、幼い頃から体が弱くそれもうまくいかなかった。
頭だけは良かったのが唯一の救いだったけれど、それだって大して役に立ったわけではない。
そして、今置かれている状況も前世と何も変わらないように見えた。
(せっかく生まれ変わっても、これだけ同じじゃ辿る運命も同じなような気がしてきたわ)
もしかしたら、いつかヴァリタスに前世の事がバレて殺されるかもしれない。
そんな最悪な運命をつい想像してしまう。
気持ちが段々と沈み、つい下を向いてしまった。
その様子を見ていたシルビアは突然私に向かって大きな声で訴えた。
「どうして?どうしてお姉様は私よりも使用人を優先するのですか?」
「シルビア?何をいっているの?」
その辛そうな声を聞き、パッと顔を上げた。
シルビアは今にも泣きそうな顔で私を見つめている。
「だって今、私が魔法を使ったのに、お姉様は全く見ていなかったじゃないですか!」
「そんなことないわ。見ていたわよちゃんと。すごいじゃない、布団なんて重いもの持ち上げられるなんて」
きっと手を添えたミリアの姿と俯いてシルビアを見ていなかった私の様子が、自分を放ってしまっているように見えたのだろう。
そんなことはないと弁解しようとしたが、シルビアの耳にはもう私の言葉など届いていなかった。
「変です!おかしいです!なんで使用人なんか。あなたもあなただわ、私がお姉様に魔法を見せているのになぜそれに割って入るの?」
シルビアの言い分は滅茶苦茶だ。
しかし私が彼女を見ていなかったのも事実。
これは素直に謝ろうと口を開こうとしたとき。
「申し訳ありません」
ミリアがシルビアに頭を下げた。
(どうして、私が悪いのに……)
しかしこの状況から見て、ミリアの判断は正しい。
これでは私が謝ってもシルビアはさらに激昂するだけ。
キッと唇を噛んで我慢する。
しかし、それでもシルビアは彼女を横目で見るだけで、なおも不機嫌なのは変わらなかった。
「いい加減になさいシルビア。私が悪いのだからミリアを責めるのは間違っているわ」
その態度にいい加減感情が抑えられなくなった私はシルビアにきつく当たってしまう。
目を大きく見開き、信じられないような目でシルビアは私を見つめた。
その頬には大粒の涙がぽろぽろとつたって零れている。
「もう、もういいです。お姉様なんて……。お姉様なんて大っ嫌い!!」
叫んだ瞬間、シルビアは走って部屋を出ていってしまった。
「待ってシルビア!」
後を追いかけようと、彼女が出ていった廊下に出て引き留めようとしたが、彼女はそんなことでは止まってくれなかった。
今シルビアを追いかけても、きっと聞き入れてはくれないだろう。
(きっとしばらく放っておいたほうがいいのでしょうね)
部屋の中へ向き直ると、心配そうに見つめるミリアと目が合う。
困ったようにミリアにむかって笑うと、もう一度紅茶を飲んで、沈んだ気持ちを少しでも回復させようとした。
(誰だろう?)
許可を出すと、ゆっくりと扉が開いた。
「お姉様」
その小さな隙間からひょっこりと顔を出したのは妹のシルビアだった。
相変わらず顔から仕草から何もかもが可愛い彼女に顔が緩む。
「あらシルビア。どうしたの?」
「勉強が終わったので、遊びにきたのです!」
そんな事言われたら、構わないわけにはいかないじゃない。
仕方ないなぁ。
「シルビア、今日はどんな勉強をしたの?」
「ええっと、今日は歴史学を学びました! 帝国のところまで!」
「まぁもうそんなところまで習ったの?私がシルビアの歳の頃はまだ 時代のところだったのに」
「えへへ」
頭を撫でるとより一層嬉しそうな顔をするシルビアにこっちが癒されてしまう。
こんなに可愛い妹を持ててなんて幸せなのだろう。
顔が綻びすぎて溶けてしまいそうだ。
学園の中等部に入るまでは、毎日が勉強の日々だ。
庶民であるならば、7歳になると中等部の前にある初等部教育を受けるため学校に通うのが一般的。
しかし、この国の貴族間では、13歳になるまで自宅で勉強を教わるのが一般的なのである。
それは、その家に必要な勉学を幼い頃から集中して学ぶことと、他の貴族の子供との差を見えなくするための2つの目的がある。
まぁ、小さい頃では人によって差が大きく出ててしまうもの。
それを他の貴族に知られてしまえば、下手をしたらそれが家名に傷を付けてしまうことだってなくはない。
その欠点を露呈させないため、不得意なことを幼いうちから見つけ、矯正しようというのが狙いらしい。
私としては全くどうでもいい理由ではあるけれど、これが一般的なのだから仕方がない。
そんな事情は全く知らない我が愛しの妹は、美味しそうにクッキーを口に頬張る。
口に入れた瞬間のあの幸せそうな顔は、見ているこっちが癒されてしまうほどだ。
「ふふ、シルビア。ほらこれも食べていいわよ」
「ありがとうございます、お姉様」
ついつい甘やかしてしまう。
つい先ほど、甘やかすのを控えようと考えていたはずなのに、ある意味恐ろしい妹だ。
「そういえばお姉様、私この間風を起こす魔法を覚えたのです!」
今思い出したようにパッとこちらを向くと満面の笑みで報告してくる。
これを可愛いと思えない人なんて、もはや人間ではない。
「まぁすごいじゃない」
「はい、今披露しますね!」
私が褒めると、それが嬉しいのか早速見せてくれるらしい。
椅子から立ち上がると、シルビアは私のベッドの近くへ移動する。
両手を胸の位置まで上げ、ピンと伸ばすと目を瞑り意識を集中させた。
すると、どこからか風が吹いてきて布団が揺れ動きながら徐々に浮かんでいく。
「すごいわ」
彼女の成長は素直に嬉しい。
しかし、私が全く使えないのに3つ下の妹はもうこんなに使えてしまっている。
その事実がやはり悔しい。
「お嬢様……」
私の肩に、彼女の手がそっと触れる。
どうやら私の様子を見ていて、心配させてしまったのだろう。
「大丈夫よね、ミリア。いつか私も使えるようになるはずよね」
しかしその言葉に答えは返ってこなかった。
ミリアを見つめる。
彼女は率直な人だ。
そして安易に嘘を付いたりしない。
それが今の私の現状がどれほど絶望的なのかを暗に示しているようだった。
やっぱりどうしようもないのだ。
(前世の私も全く魔法が使えなかったけれど、まさか今世でも使えないなんて)
そう、前世の私も魔法が全く使えなかった。
だから、どうにか剣の腕を磨こうとしたが、幼い頃から体が弱くそれもうまくいかなかった。
頭だけは良かったのが唯一の救いだったけれど、それだって大して役に立ったわけではない。
そして、今置かれている状況も前世と何も変わらないように見えた。
(せっかく生まれ変わっても、これだけ同じじゃ辿る運命も同じなような気がしてきたわ)
もしかしたら、いつかヴァリタスに前世の事がバレて殺されるかもしれない。
そんな最悪な運命をつい想像してしまう。
気持ちが段々と沈み、つい下を向いてしまった。
その様子を見ていたシルビアは突然私に向かって大きな声で訴えた。
「どうして?どうしてお姉様は私よりも使用人を優先するのですか?」
「シルビア?何をいっているの?」
その辛そうな声を聞き、パッと顔を上げた。
シルビアは今にも泣きそうな顔で私を見つめている。
「だって今、私が魔法を使ったのに、お姉様は全く見ていなかったじゃないですか!」
「そんなことないわ。見ていたわよちゃんと。すごいじゃない、布団なんて重いもの持ち上げられるなんて」
きっと手を添えたミリアの姿と俯いてシルビアを見ていなかった私の様子が、自分を放ってしまっているように見えたのだろう。
そんなことはないと弁解しようとしたが、シルビアの耳にはもう私の言葉など届いていなかった。
「変です!おかしいです!なんで使用人なんか。あなたもあなただわ、私がお姉様に魔法を見せているのになぜそれに割って入るの?」
シルビアの言い分は滅茶苦茶だ。
しかし私が彼女を見ていなかったのも事実。
これは素直に謝ろうと口を開こうとしたとき。
「申し訳ありません」
ミリアがシルビアに頭を下げた。
(どうして、私が悪いのに……)
しかしこの状況から見て、ミリアの判断は正しい。
これでは私が謝ってもシルビアはさらに激昂するだけ。
キッと唇を噛んで我慢する。
しかし、それでもシルビアは彼女を横目で見るだけで、なおも不機嫌なのは変わらなかった。
「いい加減になさいシルビア。私が悪いのだからミリアを責めるのは間違っているわ」
その態度にいい加減感情が抑えられなくなった私はシルビアにきつく当たってしまう。
目を大きく見開き、信じられないような目でシルビアは私を見つめた。
その頬には大粒の涙がぽろぽろとつたって零れている。
「もう、もういいです。お姉様なんて……。お姉様なんて大っ嫌い!!」
叫んだ瞬間、シルビアは走って部屋を出ていってしまった。
「待ってシルビア!」
後を追いかけようと、彼女が出ていった廊下に出て引き留めようとしたが、彼女はそんなことでは止まってくれなかった。
今シルビアを追いかけても、きっと聞き入れてはくれないだろう。
(きっとしばらく放っておいたほうがいいのでしょうね)
部屋の中へ向き直ると、心配そうに見つめるミリアと目が合う。
困ったようにミリアにむかって笑うと、もう一度紅茶を飲んで、沈んだ気持ちを少しでも回復させようとした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
【コミカライズ企画進行中】ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!
あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】
小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。
その運命から逃れるべく、九つの時に家出を決行。平穏に生きていたが…。
ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。
その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。
優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。
運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。
※コミカライズ企画進行中
なろうさんにも同作品を投稿中です。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる