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第3章
60.頼りになる我が友人
「嫌がらせって何をすれば良いと思う?」
「そりゃ、あの小説みたいにすれば……って、小説って見せ場のために結構酷いことを平気でするからあんまり参考にはならないわよね……」
そう、小説の中でのいじめとは相当過激なものだった。
主人公の教科書や制服などを汚したり、隠したり。彼女に直接危害を加えたり。
貴族の令嬢としては決してしなような行動の羅列に現実味がないと感じるほどで、ある意味”物語”として読むのに丁度良い作り込みだった。
だがそんな派手な悪事をさせることで”悪役令嬢”に制裁が下された時、読者にすっきりさせるのがこの物語の目的である。
端から現実でそれを参考にしようとする方が間違っているのだ。
と、いうことは嫌がらせの内容については自分で考えなければならないわけで……。
「でも嫌がらせするのってやっぱり気が引けるわ。小説みたいに復讐なんてされるの怖いし……」
つい零れた本音を聞き、ナタリーは大きなため息を吐くと心底呆れたように言った。
「あのねぇ……。何かを得るためには多少の犠牲はつきものなのよ。多少痛い目に遭うぐらい我慢するべきだと思うわ」
そう告げる彼女の声や仕草は同い年とは思えないほど達観していて、まるで20は年上に見えてしまう。
そう思うや否や鋭い視線で私を差した。
「今ものすごく失礼な事考えなかった?」
「え? 別に考えてないわよ」
何なのよ、怖いよ。
今のナタリー、まるで老婆の魔女のような存在に見えたよ。
だが、確かに彼女の言う通り何かしらの制裁を受けなければおそらくヴァリタスとの婚約破棄などできないだろう。
こんな私の不出来さをもってしてもなお、婚約を破棄した方が良いかもしれないといった意見が表立って出てきていないのが良い証拠だ。
もしかしたらそれは、ベルフェリト家がそれほどまで国民に人気からなのかもしれないし、ヴァリタスの計らいから来るものなのかもしれないが、現状がこの状態であるならば私が相当公爵令嬢として宜しくないような失態を犯さない限り、
私が望むようなことにはなりはしないだろう。
つまり逆から読み解けば、令嬢らしからぬ(しかも相当酷い失態)を私が犯せば婚約破棄の道が開かれるわけで……。
そう考えるともしかしたら、先ほど否定した”物語上の演出のための過激ないじめ”をすれば婚約破棄できるかもしれない。
なにせ本当に令嬢らしからぬ行動が目に余って仕方なかったほどだし。
しかし、これから”悪役令嬢”をどう演じるにしろナタリーから借りた本のシリーズだけでは情報が少なすぎる。
「ねぇナタリー、”悪役令嬢”が登場する小説って他にないかしら。これだけじゃ参考にするのに情報が少なすぎるわ」
「それならたくさんあるから教えてあげてもいいけど、あまり参考にならないと思うわ。だって”悪役令嬢”の行動パターンって結構似たり寄ったりだから」
「それでもいいわ、教えて」
私の訴えに参考になるかわからないと眉をひそめながらも、快く教えてくれた。
つらつらと小さなメモ用紙に本の題名を書いていくのだが……。思っていたよりだいぶ多いわね。
もしかして恋愛小説に”悪役令嬢”って定番だったりするのかしら。
「私が知っている本の中で参考になりそうなのはこのぐらいだと思うわ」
やっと書き終えたらしく、パッと出してきたものを確認する。
ざっと見ただけでも10以上の題名が並んでいる。まさかここまであるとは。
「恐らくだけど、うちの学院の図書館にもどれか置いてあると思うわ。もし急ぎなら放課後にでも探しに行ってもいいかもしれないわよ」
「え? 学院の図書館に?」
庶民が読むような娯楽本がこの学院の図書館にあるなんて驚きだ。王族や上位貴族が通う我が学院は格式を重視する校風なため一見おいてなさそうなものなのに。
しかし、これは良い事を聞いた。早く計画を進めたい私にとって今日帰って使用人たちに本を用意してくれるよう頼んだとしてもそれが私まで届くのには早くて2-3日は掛かってしまうことだろう。
それならば自分で探しに行って買いにいったほうが早いためそうしたいのはやまやまだが、なにせ今の私は放課後は用が無ければまっすぐ帰らなければならないというきっつい制約がある。
しかし、それが図書館で参考資料を探していたという大義名分があれば恐らく放っておかれて終わりだ。あの人たちは私がどこかで道草を食うのが気に食わないだけなのだから。
さっそくナタリーが教えてくれたように、放課後図書館に出向くとしよう。
昨日今日と婚約破棄に向けてすごく前進した気がする。
それがうれしくてつい柄にもなく鼻歌を歌ってしまった。
「ふふ、ご機嫌になったみたいで良かったわっと。次の授業の準備があるから私は先に行くわね」
次の時間は彼女の嫌いな歴史の授業だ。
そのため彼女は嫌いな授業や苦手な授業の前には予習を少ししてから挑むのが日課になっている。
いつも好きな事に夢中な彼女らしくない真面目さだと関心していたら、どうやらその方法は彼女の婚約者に教えてもらった方法らしい。
なるほど彼女の婚約者は相当に真面目な人間らしいとその時は思ったものだ。
「そりゃ、あの小説みたいにすれば……って、小説って見せ場のために結構酷いことを平気でするからあんまり参考にはならないわよね……」
そう、小説の中でのいじめとは相当過激なものだった。
主人公の教科書や制服などを汚したり、隠したり。彼女に直接危害を加えたり。
貴族の令嬢としては決してしなような行動の羅列に現実味がないと感じるほどで、ある意味”物語”として読むのに丁度良い作り込みだった。
だがそんな派手な悪事をさせることで”悪役令嬢”に制裁が下された時、読者にすっきりさせるのがこの物語の目的である。
端から現実でそれを参考にしようとする方が間違っているのだ。
と、いうことは嫌がらせの内容については自分で考えなければならないわけで……。
「でも嫌がらせするのってやっぱり気が引けるわ。小説みたいに復讐なんてされるの怖いし……」
つい零れた本音を聞き、ナタリーは大きなため息を吐くと心底呆れたように言った。
「あのねぇ……。何かを得るためには多少の犠牲はつきものなのよ。多少痛い目に遭うぐらい我慢するべきだと思うわ」
そう告げる彼女の声や仕草は同い年とは思えないほど達観していて、まるで20は年上に見えてしまう。
そう思うや否や鋭い視線で私を差した。
「今ものすごく失礼な事考えなかった?」
「え? 別に考えてないわよ」
何なのよ、怖いよ。
今のナタリー、まるで老婆の魔女のような存在に見えたよ。
だが、確かに彼女の言う通り何かしらの制裁を受けなければおそらくヴァリタスとの婚約破棄などできないだろう。
こんな私の不出来さをもってしてもなお、婚約を破棄した方が良いかもしれないといった意見が表立って出てきていないのが良い証拠だ。
もしかしたらそれは、ベルフェリト家がそれほどまで国民に人気からなのかもしれないし、ヴァリタスの計らいから来るものなのかもしれないが、現状がこの状態であるならば私が相当公爵令嬢として宜しくないような失態を犯さない限り、
私が望むようなことにはなりはしないだろう。
つまり逆から読み解けば、令嬢らしからぬ(しかも相当酷い失態)を私が犯せば婚約破棄の道が開かれるわけで……。
そう考えるともしかしたら、先ほど否定した”物語上の演出のための過激ないじめ”をすれば婚約破棄できるかもしれない。
なにせ本当に令嬢らしからぬ行動が目に余って仕方なかったほどだし。
しかし、これから”悪役令嬢”をどう演じるにしろナタリーから借りた本のシリーズだけでは情報が少なすぎる。
「ねぇナタリー、”悪役令嬢”が登場する小説って他にないかしら。これだけじゃ参考にするのに情報が少なすぎるわ」
「それならたくさんあるから教えてあげてもいいけど、あまり参考にならないと思うわ。だって”悪役令嬢”の行動パターンって結構似たり寄ったりだから」
「それでもいいわ、教えて」
私の訴えに参考になるかわからないと眉をひそめながらも、快く教えてくれた。
つらつらと小さなメモ用紙に本の題名を書いていくのだが……。思っていたよりだいぶ多いわね。
もしかして恋愛小説に”悪役令嬢”って定番だったりするのかしら。
「私が知っている本の中で参考になりそうなのはこのぐらいだと思うわ」
やっと書き終えたらしく、パッと出してきたものを確認する。
ざっと見ただけでも10以上の題名が並んでいる。まさかここまであるとは。
「恐らくだけど、うちの学院の図書館にもどれか置いてあると思うわ。もし急ぎなら放課後にでも探しに行ってもいいかもしれないわよ」
「え? 学院の図書館に?」
庶民が読むような娯楽本がこの学院の図書館にあるなんて驚きだ。王族や上位貴族が通う我が学院は格式を重視する校風なため一見おいてなさそうなものなのに。
しかし、これは良い事を聞いた。早く計画を進めたい私にとって今日帰って使用人たちに本を用意してくれるよう頼んだとしてもそれが私まで届くのには早くて2-3日は掛かってしまうことだろう。
それならば自分で探しに行って買いにいったほうが早いためそうしたいのはやまやまだが、なにせ今の私は放課後は用が無ければまっすぐ帰らなければならないというきっつい制約がある。
しかし、それが図書館で参考資料を探していたという大義名分があれば恐らく放っておかれて終わりだ。あの人たちは私がどこかで道草を食うのが気に食わないだけなのだから。
さっそくナタリーが教えてくれたように、放課後図書館に出向くとしよう。
昨日今日と婚約破棄に向けてすごく前進した気がする。
それがうれしくてつい柄にもなく鼻歌を歌ってしまった。
「ふふ、ご機嫌になったみたいで良かったわっと。次の授業の準備があるから私は先に行くわね」
次の時間は彼女の嫌いな歴史の授業だ。
そのため彼女は嫌いな授業や苦手な授業の前には予習を少ししてから挑むのが日課になっている。
いつも好きな事に夢中な彼女らしくない真面目さだと関心していたら、どうやらその方法は彼女の婚約者に教えてもらった方法らしい。
なるほど彼女の婚約者は相当に真面目な人間らしいとその時は思ったものだ。
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