転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ

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2章 幼少期編 II

25.ほっぺ 1

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朝食の味がよくわからないほど、気持ちがザワザワしている。
ルベール兄さまの出立が、朝食を終えたらすぐだと聞いたからだ。

食事の席では『体に気を付けるように』『マラーナの方々によろしく言っておいて』など、ルベール兄さまへの「いってらっしゃい」な話題で終始した。そして食後はそのまま食堂からの見送りになっている。公務に関係しない出立は門での見送りはしないのだ。

私はお城の小門までついていきますよ。
内緒で作った旅のお供おやつを、馬車に乗る直前に渡してびっくりさせるのだ。

旅のお供はヌディに預けて小門で待ってもらっている。ワーナー先生も多分一緒。授業に遅れると昨日伝えたら、荷物持ちをするとか言っていたから。ちょっとでも長く愛妻と一緒に居たかっただけじゃないのかと疑っている。相変わらずお熱いね。

「ルベール兄さま、お手紙を書いてくださいね」

小門まで手をつないで行く。
なぜかアルベール兄さまもついてきたけど放っておこう。

「兄上の結婚式がすぐだから、たぶん手紙より僕自身が先に帰って来ちゃうよ。手紙は学園に通うようになってからね」

「えぇ~、では、お土産をお願いします。マラーナの貝細工は素敵だと聞いたのです」

おねだり、おねだり♪

「貝細工だね。可愛いのを見つけてくるから、良い子で待っててね」

やった、温泉饅頭会社の同僚から以外のお土産。お初!

繋いでる手をぶんぶん振って、ルベール兄さまに喜びを伝えた。


今回使われる小門は港の方角に向いている西小門だ。
西小門から広大な城敷地を進んで西大門を出る。そして貴族層から平民層へ抜ける西本道を使って王都を出るのだ。
王都を出たすぐのところに港があるそうで、そこはアルベール商会が搬入出のトロッコ坑道を作った所である。

小門内庭には、先日お出かけした時の騎士4人と従者2人が、出発の用意をして待機していた。
冒険者の3人はギルドの依頼に出ていて連絡が取れなかったそうで、別便で向かうことになるという。

私たちに気付いてワーナー先生とヌディも詰所から出てきた。
ワーナー先生は大きな布包を抱えている。中身は私がルベール兄さまに差し上げる旅のお供だ。

「ルベール兄さま、旅行用のお菓子を用意したのです。見てください。とても綺麗にできたのですよ」

ワーナー先生の持つ布包の絞った部分をヌディがほどく。
はらりと中から出てきたのは、蓋のつまみが蝶の形をしたガラス容器キャニスターだ。

新作のお菓子にはガラス容器が映えるはず……そう思ったのだけど、お城には欲しい形のものがなかった。
こんな時はランド職人長に相談だ。そうしたら近くで聞いていたお弟子さんが、お友達にガラス職人がいると教えてくれたのです。

『貸しがあるから徹夜させてでも作らせますぜ』

その「貸し」を私が使っちゃっていいのかなぁ……でも『このあいだチギラさんと話してた“ぱんぷでぃんぐ”で手を打ちましょう』と要望を口にしてくれたので甘えることにした。
プリン液にパンを浸して焼くだけなんだけど「焼きプリン」のワードに魅せられちゃったみたい。
チギラ料理人だったら簡単に作れてしまうものだけど、そこに私おすすめの蒸し焼きパンフランスパンを投入します。カリカリ&フニョリなパン・プディングに、高級メープルシロップをトロ~リとかけたものを進呈いたしましょう。
おやつの時間に作ってもらうから私も食べますけどね。

『焼きたては、わたくしも食べたことがないのです。お持ち帰りもできる程、チギラ料理人にたくさん作ってもらいましょう』

『うっす!』

ランド職人長に後頭部をベシリと叩かれてたけど。まぁ、普段からよく見る光景です。ぷくく。

……で、いつもの藁紙にキャニスターの絵を描いて、サイズはジェスチャーで、チョッ早で依頼に走ってもらいました。

それで次の日……今朝ね。
私がいつも通りの時間にヌディに起こされて『ガラスの入れ物が離宮に届いているそうですよ』と知らされた。
朝食前にアルベール兄さまのお部屋に襲撃して、離宮に駆けつけましたとも。

そうしたら、泊まり込みで待機していたチギラ料理人がドヤ顔で待ち構えていた。

準備していたお菓子は、彼の手によってキャニスターに詰められ終わっていて、予想以上の見栄えで私を迎えてくれた。
蓋の摘まみが蝶になっているのは職人さんのサービスでしょうか。とっても素敵。

繊細な細工のガラス容器……あれを見た時のアルベール兄さまの目は怖かった。光ったよね、あれ。

持ってきたお弟子さんを問い詰めて(仮眠中だったのにね)一筆書いたものを持たせてガラス職人さんのもとに持って行かせたから(ガラス職人さんも寝ているだろうに)専属契約とかの契約がこれから始まるのかもしれない。
アルベール商会が後援パトロンについたら安泰です。よかったですね、ガラス職人さん。



──そんな流れの経緯で作られた、世界にひとつしかないガラス容器に、新しいお菓子が詰められている。

「きれいだねぇ」

覗き込んだルベール兄さまが感嘆の息を漏らした。




………続く
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