上 下
60 / 130
アルベータ

アルベータVSエモン その1

しおりを挟む
 いつだろう?いつぶりだろう?

 私が、こんなにも興奮したのは・・・・・・。

 だから、この戦いが、楽しいと感じた。だから、私は・・・・・・。

 悪魔になる。

「やっぱ、このままでは・・・・・・勝てなかったか・・・・・・」

 アルベータはそう呟いた。

 血の呪い。それは、人間が持てる技では無かった。何故なら、血を流し始めて初めて使える技。

 つまり使いすぎは、自身の体力、血液量が下がっていく技でもあった。

 だから、血の呪いをメインで戦う人は、もう一つの戦術も兼ね備えている。

「悪魔の剣だったのか・・・・・・」

 エモンはそう呟いた。

 エモンは、血の呪いをメインにした時に気が付いてはいたが、何を切り札にするのかまでは、想像がついていなかった。

 だがそれの答え合わせが、今完了した。

「へぇー。知ってたのかなー?」
「実物は初めて見るがな。情報は知っているつもりだ」
「そう。あなたは、凄いよ。この武器まで出したのは、あなたで2人目だから・・・・・・」
「それはどうも・・・・・・」

 エモンの額には、汗が滲み出ている。エモンの活動限界も長くはない。短期決戦になる。

 エモンの使う闇魔法には、大きな欠点もあるからだ。

「さあ。始めようか。この世界に生きる価値のない人間どもよ」

 その瞬間アルベータは一気に間合いを詰める。

 その行動にエモンは不意を突かれる。

「なっ。突撃だと」
「まずは心臓から」

 アルベータの突き出した。血の呪いの刃がエモンの左胸を捉える。

「うおっ。マズイ」

 エモンは一瞬の超反応を見せ、胸を掠めるだけで抑える。

 エモンの目は次の攻撃が何が来るかを見るために、アルベータに向いたが、アルベータはその目には、アルベータがいない。

 エモンはその一瞬、アルベータを完璧に見失う。

「くそっ」
「じゃーねー」

 エモンは、視覚的には捉えてはいなかったが、殺気を読み、闇魔法で盾を作り、死角を配置する。

「おっ?」

 その時、アルベータの声色が変わったことに気づく。

 アルベータの声が聞こえた方に、闇魔法の弓矢をこれでもかというほど飛ばす。

 だがそれはアルベータの体には届かなかった。

 アルベータはバックステップで、両者近接攻撃のできない間合いに逃げる。

「そこにいたのか。アルベータ」
「ハハッ。凄いねええ。よく気がついたよ」

 エモンの視線が、アルベータを一瞬だけ捉える。

「でも、見ることはできないかなー」
「どういう・・・ーっ」

 エモンが振り返った瞬間視界が眩しく光る。

「目潰しか」

 この一瞬でまた、アルベータを見失う。

 エモンは、1秒にも満たない時間で、ありとあらゆる可能性を、考え出す。

「くそっ」

 エモンは自身の周りに闇魔法結界と、ディアルの周りにも闇魔法結界を展開する。

 この瞬間エモンは攻撃をすることを諦めて、防御に徹することになる。

 戦況が悪化したことを意味していた。

 エモンには焦りが浮かび始めていた。

「くそっ。最悪の展開だ」

 エモンはそう呟く。そして、完全に勝利できるパターンが一個消えたことを、感じ取った瞬間でもあった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

JOKER

経済・企業 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

持続可能な未来のための戦略 気候変動への対応

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

聖騎士様から溺愛される幸せな結婚生活

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:30

廃忘勇者はユーティリティ?〜個性派ヒロイン4人を添えて〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

一億円の花嫁

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:31

【完結】本業:殺し屋な二人の物語

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

側妃は捨てられましたので

恋愛 / 完結 24h.ポイント:781pt お気に入り:8,918

淡い淡い恋の味

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

ヘミングウェイの最初の猫

現代文学 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

勘違い令嬢と3人の男

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:49

処理中です...