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対少子化、精子提供のお仕事
第二話
しおりを挟む翌日。
いつものように出勤し、昼休みに例の件について市役所に電話してみた。
『お電話ありがとうございます。□△市役所でございます。』
「あ、すみません。子作り開発課に繋いでいただきたいんですが…」
『かしこまりました。少々お待ちください。』
~♪
保留の音楽が流れ始めた。ほ、本当にあるのか…正直やはり半信半疑だったのだが、電話を受けてくれた人の反応もそんなにおかしなものではなかった。本当にあの金額の仕事があるのなら…と期待に胸を躍らせた。
ガチャッ『はい、子作り開発課です。』
「あ、すみません、この、<精子提供者募集>の案内が入っていたのでお電話させていただいたのですが…」
『お電話ありがとうございます。確認のためお名前と住所をいただいてもよろしいですか?』
「はい、えっと、名前は金木泰介です。住所は□△市~~町2丁目の4-1です。」
『はい、ありがとうございます。少々お待ちください………はい、確認が取れました。確かにこちらからご案内を送らせていただいております。念のためご本人様確認として生年月日もよろしいでしょうか。』
「はい、19××年1月11日です。」
『はい、ありがとうございます。ご本人確認もできましたのでご用件をお伺いします。』
「あ、用件というか、本当にこの案件があるのか確かめたくて電話させていただいた次第です。本当にあるんですね…」
『確認でお電話して来られる方がほとんどです。すごく好待遇ですよね。我々職員もうらやましいくらいで。』
「あ、やっぱりそうなんですね…」
『完全にランダムな抽選でかなり確率が低いので、非常にラッキーだと思います。今お時間大丈夫ならこのまま詳細ご説明しますが、詳細を聞いてみますか?』
「はい、ぜひ…」
『では、ご説明させていただきます。まず現段階の書面の発送自体は先ほどお伝えした通り完全にランダムです。もしこの取り組みに参加される場合は、今回の案件について絶対に口外しないという誓約書を書いていただいたうえで、選考に進んでいただきます。選考といっても、病気がないかとか著しく他人に危害を与える可能性がないかとか、大きく逸脱する事由がなければ通過していただけるものとなっております。ここまで、大丈夫ですか?』
「はい。」
『では次です。選考を通過した場合、原則として現在お勤めの仕事は退職していただき、こちらの業務に専念していただくことになります。この際、転職ということにはなりますが、業務の性質上、ご家族にはそのまま元の会社に在籍していることにしたり、今回の業務は伏せ、架空の会社勤務ということでお伝えいただく形になっております。どちらにするのかは、選考に通過して実際に業務を開始する時までに決定していただければと思います。』
現在の会社を辞めたとして、そのまま在籍していることにするといずれバレてしまいそうだな…
架空の会社ということにしておいた方がよさそうだ、と考えながら返事をする。
「はい、わかりました。」
『そして、業務内容についてなのですが、こちらは口外禁止の誓約書を記入していただいた後にご説明させていただきます。もちろん、誓約書をご記入いただいて、業務内容を聞いたあとに辞退していただくことも可能です。いかがでしょうか。』
「…わかりました。業務内容も聞きに行きます。」
『かしこまりました。そうしましたら、平日でご来庁いただける日をお知らせください。』
「来週の金曜日なら何時でも行けると思います。」
『わかりました。では、10時頃ご来庁いただき、受付で子作り開発課に行きたいとお声掛けください。』
「わかりました。」
『では、お待ちしております。』
ここで、電話が切れた。なんだか淡々と話が進んでいったので実感がわかないが、本当にこの案件はあるようだ。
そこで、はっと時計に目をやる。休憩終了まで5分前に迫っていた。急いで戻らなければ。
その後、役所へ電話を掛けたその日のうちに、予約した日の有給を申請した。うちの会社は3日前までに申請すれば通ることになっているので安心だ。
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