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王宮②

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馬車は再び動き出す。
殿下うつむいたり、外を見たり落ち着かない様子だ。

いつもの正面玄関ではなく、西の方へ向かう。
妃教育でいつも訪れるけど、歩き回ったりはしない。

どこへ行くにも護衛が着く。
私が動けばそれだけ、護衛たちにも負担になるのだ。

行かなくてもいい場所へはいかない。
だって、周りに迷惑をかけてしまうから。



しばらくして、馬車が止まる。
馭者がドアを開けると、殿下が先に降りて、手を差し出してくれた。

いつ見ても、素敵なエスコート姿ですわ。
そっと手を添え、微笑する。
ザワっと木々や、人がした気がする。



「お疲れ様。今登ってもいいか?」

「はい!先触れが昨日のうちにございましたので、誰もおりません!確認もすんでおりますので、ごゆっくりと。」

「ありがとう。」

そう言うと、進む殿下。私も慌てて頭を下げる。
エスコートされたままなので、カーテンシーもできなかったが大丈夫だろうか?




ゆっくりと階段を登る。
登りきったあとの光景に、私は目を見張った。

沈み行く夕陽に、それが反射してキラキラ輝く水面。
反対側には、王城を横目に王都。


「すてき・・・」
あまりの光景に涙が溢れる。
そんな私の涙をぬぐい、片ヒザを下る殿下。


「フィア。私は君を愛してる。どうか、どうか僕を好きになってくれ!そして、僕と結婚をしてください。」

憧れていたプロポーズ。
こんな景色の中、大好きな人にされたもの。嬉しくないわけがない。

わっと、もっと溢れる出る涙。
返事をしたいのに・・・

片ヒザを下り、左手を心臓にあて、右手を差し出している。
プロポーズの体制をとっている殿下は、今まで見てきた中でも一番にかっこいい。

「・・・はいっ」
とかすれた声で返事をし、自分の手を差し出された手に乗せる。

すると、顔を真っ赤にされた殿下が立ち上がり、私を引っ張る。

バランスを崩した私は、そのまま殿下のたくましい胸に抱き締められた。
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