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王宮

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やはり、王宮でしたね。
王宮に着き、門番に止められる。

今までは、いつも王家の紋章入りの馬車だし、変装なんてしていなかったから、止められたことはなかったのですが・・・今日は仕方ないですね。


「あの、馬車の中は・・・」

「はい、王太子殿下と王太子妃です。」
と馭者が答える。

「念のため、確認させていただいても・・・?」


「お待ちください。」
た馭者席の小窓を開け、お伺いたてようとした。

それを殿下が手で制し、
「聞こえたよ、構わないよ。」と伝える。

殿下自らドアを開け、顔を出す。
サングラスと帽子を外し、
「いつも、ありがとう。君たちが目を光らせてくれているから、安心していられるよ。」
と声をかけていらした。
私はそんなふうに、臣下も敬う殿下が大好きです。

私も帽子を外し、挨拶をする。
「お忍びで街へ行っていたもので・・・お手を煩わせて、ごめんなさい。お疲れ様です。」
とニコリとする。

門番は顔を赤らめて、固まってしまった。
あれ?生の殿下に緊張してしまったのかしら?
なんて思っていると、殿下が私の前に立ち言う。

「君たちに感謝もしているし、尊敬もしているけど、~~~」
けどの続きは、殿下が門番の耳元でナイショ話をしたので、聞こえなかった。

「~っ!!申し訳ございません!!」

「いや、今日は許すよ。でも、あげないよ。」

「もっ、もちろんでございます!どうかどうか、ご容赦ください!」

「処罰を恐れているのかな?だとしたら、検討違いだ。私はね、己よりも大切に想っている者を守ってくれる君たちを蔑ろにしたり、今日のようなことだけで処罰したりはしない。私はそんなに小さな男ではないさ。」

「~っ!!」頭を下げる門番。
そこに、彼の上司がやってきて

「この者が何か無礼をはたらきましたか?」
と、焦ったように聞いてきた。

「いや、彼は仕事をしっかりとしてくれていただけだ。ただの私の嫉妬だよ。」
そう言う殿下の後ろからのぞいていた私を見て、何かを悟ったようだった。

「左様でしたか。よかったです。」

「ああ。見とれてしまうことも、頬を染め上げることも、理解できるしな。私も同じだからな。」

「~っ!!」

「ただな。私は嫉妬で処罰を下すような男だと思われているらしい。そこだけは、いただけないな。では、確認も終わっただろうし、私たちは失礼するよ。今日はデートなもので。」
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