放浪者

側溝

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機械世界

第四話

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「珍しいな、お前が遅刻しそうになるなんて」

「それがさ、起きてから学校に行く手前あたりまでの記憶がまるでないんだ」
「だけど飯も食ってるし、着替えもしてあったんだ」

「なんだそりゃ、変なこともあるもんだな」

「あ、そういえば最近変な夢見るって言ってたし、それもリンクしてんじゃね?」

「そんなことあるんかねぇ」

「まぁ、たまたまっしょ」
「寝ぼけてたんだよ」

「やっぱりそうだよな、深く考えるのはやめよう」



帰宅後

「汗かいたし、先にシャワー浴びるか」

そして、洗面所で服を脱ぐと俺は衝撃の事実を目の当たりにする。

「なんだ、これ?」
「忘れるな?」

手に大きな文字で思い出せと書かれている。

やっぱりおかしい、俺の知らないところで何かが起こっている気がする。
何かはわからないが、少し前から起きた時に感じているあの気持ち悪さもそれにリンクしている気がしてならない。

もしもこの事をリンクさせて考えるんだったら、俺は夢の中もしくは寝てる間に、何か想像のつかない出来事に巻き込まれているのかもしれない。
しかし、起きた時に気持ち悪さを感じるものの、いつもどんな夢を見たかなんて全く覚えていない、つまりは何が起こっているかにおおよその見当すらつけられない。

うーん、何かもっとヒントがあれば。



少しの間考えてみたが、やはり何も思いつかない。
とりあえず、初めて見つけたヒントと思われるこの手の文字は消さないでおこう。



俺はさっき気づいた出来事で頭がいっぱいだった。

「忘れるな、か」
夢の内容を全て忘れてしまっていることから、俺は夢の中で何かとても重大なことに巻き込まれているのだろうか。
だとしたらなんなのか、そして、実際の体に干渉してくるような夢と言えるかわからないその世界は一体なんなのだろうか。
まったく見当がつかない。

そんな推論を立てていたが、ある事を思い出した。

「そうだ、休んだ日のノートを移すために仲村からノートを借りたんだった」
「明日返さないといけないからやらないと」

そうして仲村の書いたノートを写しているとありえない事実が浮き彫りなった。

それは、仲村のノートの板書で忘れるなと赤線を引いてある部分。

忘れるなの字がそれとなく、腕に書いていた字に似ている。
たまたま、さっきまでその事を考えていたからそれに引っ張られているとも思ったが、俺はそれをすぐに見比べてみることにした。

俺は自分の腕を撮った写真と、ノートの文字を見比べてみた。
やはり、かなり似ている気がする。
それにあいつは文字を繋げて書く癖があり、忘の字の心の部分がどちらも一角にまとめて書かれている。
これは偶然とは正直言いにくい。

だか、そうなると新たな疑問が生じる。

何故仲村が、俺の腕に文字を書いているのか。
親があいつの悪戯のために深夜に家に入れてあげるなどあまり考えられないし、あいつもそこまで節度のない悪戯をするとは思えない。
それに、そうすると今日の朝の記憶がないことなどの説明もつかない。
これは一体なんなんだ。

新たなヒントを得ることができたと思ったが、これはこの謎をより難解にした。

これ以上考えても無駄なことはわかっていたが、ノートを写し終えた後もそのことが頭から離れず、俺は全然寝付けなかった。

「くそ、俺の身に一体何が起こっていると言うんだ」

起こっている事態の異質さに俺は怒りすら覚えたが、ここであることに気づく。
今起こっていることは全て俺が寝ている時に起こっていると思われ、最初は起きた時の気持ち悪さだけだったが、今は気づいた時には起きていると言う状態にまで事態が悪化している。

つまり、寝ている間に起こっている出来事に少しづつ進展が見えていると言うことだ。
そういうことならば、寝ることで最終的に答えにたどり着けるもしれない。
そう考えた俺はすぐに寝る準備をして眠りにつこうとした。
しかし、電気を消してベットに横になってもやはり気になってなかなか眠れない。
どうしようかと悩んでいた時に、俺はまたあることに気づいた。
夢の中で起こっている何かから俺は今日初めてメッセージを受け取った。
逆に考えれば、俺からそのなにかへ俺はメッセージを送ることができるようになったのかもしれない。
俺はもう一度電気をつけて、腕に「俺の知らないところで何か起こっているのなら教えて欲しい」と書き、また電気を消してベットに横になった。

しばらくすると流石にウトウトしてきて、俺は眠りにつくことができた。



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