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嵐は突然やってくる4
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数日後の商店街の第2回会合。
無機質な会議室が張りつめた空気で満ちている。
商店街を今まで支え続けている重鎮VSこれからを担うチーム若手の中になぜか
部外者の私がぽつんと座っている。
私が練り直した案のプリントがみんなに配られる。重鎮たちの表情も険しい。
最初に口を開いたのは重鎮の酒屋のシゲさんだった。
「隠居してるばあさん達を働かせるってどういう了見だ?」
ものすごく不愉快そうに言う。うわっ!!険悪になってきた。
「外部からスタッフを読んでくるのはコストがかかるし、商店街の為ってことなら協力してくれるって皆さん言ってくださっています」
そう、商店街の井戸端会議のおばあちゃんたちのことを伝える。
「隠居してるばあさん連中は体力的にもしんどいだろう。あんまり年寄りをこき使うな!」
シゲさんは語気を荒げる。その雰囲気にみんな水を打ったみたいにしんと静まり返る。
なんか、一方的に決めつけてない?すごくカチンとくる言い方だ。
「あのですねシゲさん、おばあちゃんたちには今まで培ってきた経験と知恵と、子育てしてきた包容力もあります。何より、商店街を愛していて未来を憂いています。皆さん、商店街の為なら何でもやるから言ってきてと協力を申し出てくれています。おばあちゃんたちは宝です!その宝を使わないことこそ、宝の持ち腐れでもったいないことしてる状態なんですよ!わかりませんか?」
一気に言ってやった。シゲさんの顔が真っ赤だ。かなり頭に血が上っているみたい。
「このっ!!」
シゲさんが何か言おうとしたのを遮ったのは、マサキさんだった。
「シゲさん、やってみないうちから否定するのはよくないと思います。やってみて、失敗したからって商店街が壊滅するわけじゃない。むしろそれよりも失敗したらなぜうまくいかなかったかをみんなで考えて次につなげたらいいと思うんですよ シゲさんも昔はそういう考え方だったんでしょう?」
その一言に、言葉に詰まったシゲさんは、勝手にとしろ、消極的賛成に転じた。
トップのシゲさんが陥落したら残りの重鎮連中も言葉が継げず、若手主催でイベントを開催して、重鎮はバックアップに徹することで合意に至った。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「へえ、よかったじゃない。これから頑張らないとね、ユキちゃんも」
晩御飯を食べながら、エミさんがノリノリで言葉をかける。
「まぁ、ここまで関わっちゃったから、私も頑張らなきゃとは思ってるんだけどね」
「今回のことはそろそろ世代交代したい爺さん連中の試練だったんじゃないかね」
「試練??なにそれ」
なんか、会議とあんまり関係なさそうな単語だけど……。
「男はいくつになっても子供だからね、試練を与えて若手連中に商店街の後を任せられるかテストしてたんだと思うよ。シゲさんやロクさんも、今のマサキ君やタカシ君みたいな血の気の多い時期があったからね」
そう、悪戯っぽく笑った。
ああ、それでやけに突っかかってくるって思ったわ。
「自分がされたように試練を与えたんだろうね。伝統的なものみたいよ」
「ところでそのイベントっていつ頃を予定してるの?」
エミさんが突っ込んでくる。子供の為のイベントだから、ゴールデンウィークあたりに予定していることを伝えると、そうかわかったわ、とにっこり笑った。
エミさんも、ワークショップに英会話のコーナーを出してくれるって話だから準備が要るのかな。
そう、簡単に考えていた。
エミさんはこの時ものすごいことを仕掛けようとしてたのだった。
無機質な会議室が張りつめた空気で満ちている。
商店街を今まで支え続けている重鎮VSこれからを担うチーム若手の中になぜか
部外者の私がぽつんと座っている。
私が練り直した案のプリントがみんなに配られる。重鎮たちの表情も険しい。
最初に口を開いたのは重鎮の酒屋のシゲさんだった。
「隠居してるばあさん達を働かせるってどういう了見だ?」
ものすごく不愉快そうに言う。うわっ!!険悪になってきた。
「外部からスタッフを読んでくるのはコストがかかるし、商店街の為ってことなら協力してくれるって皆さん言ってくださっています」
そう、商店街の井戸端会議のおばあちゃんたちのことを伝える。
「隠居してるばあさん連中は体力的にもしんどいだろう。あんまり年寄りをこき使うな!」
シゲさんは語気を荒げる。その雰囲気にみんな水を打ったみたいにしんと静まり返る。
なんか、一方的に決めつけてない?すごくカチンとくる言い方だ。
「あのですねシゲさん、おばあちゃんたちには今まで培ってきた経験と知恵と、子育てしてきた包容力もあります。何より、商店街を愛していて未来を憂いています。皆さん、商店街の為なら何でもやるから言ってきてと協力を申し出てくれています。おばあちゃんたちは宝です!その宝を使わないことこそ、宝の持ち腐れでもったいないことしてる状態なんですよ!わかりませんか?」
一気に言ってやった。シゲさんの顔が真っ赤だ。かなり頭に血が上っているみたい。
「このっ!!」
シゲさんが何か言おうとしたのを遮ったのは、マサキさんだった。
「シゲさん、やってみないうちから否定するのはよくないと思います。やってみて、失敗したからって商店街が壊滅するわけじゃない。むしろそれよりも失敗したらなぜうまくいかなかったかをみんなで考えて次につなげたらいいと思うんですよ シゲさんも昔はそういう考え方だったんでしょう?」
その一言に、言葉に詰まったシゲさんは、勝手にとしろ、消極的賛成に転じた。
トップのシゲさんが陥落したら残りの重鎮連中も言葉が継げず、若手主催でイベントを開催して、重鎮はバックアップに徹することで合意に至った。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
「へえ、よかったじゃない。これから頑張らないとね、ユキちゃんも」
晩御飯を食べながら、エミさんがノリノリで言葉をかける。
「まぁ、ここまで関わっちゃったから、私も頑張らなきゃとは思ってるんだけどね」
「今回のことはそろそろ世代交代したい爺さん連中の試練だったんじゃないかね」
「試練??なにそれ」
なんか、会議とあんまり関係なさそうな単語だけど……。
「男はいくつになっても子供だからね、試練を与えて若手連中に商店街の後を任せられるかテストしてたんだと思うよ。シゲさんやロクさんも、今のマサキ君やタカシ君みたいな血の気の多い時期があったからね」
そう、悪戯っぽく笑った。
ああ、それでやけに突っかかってくるって思ったわ。
「自分がされたように試練を与えたんだろうね。伝統的なものみたいよ」
「ところでそのイベントっていつ頃を予定してるの?」
エミさんが突っ込んでくる。子供の為のイベントだから、ゴールデンウィークあたりに予定していることを伝えると、そうかわかったわ、とにっこり笑った。
エミさんも、ワークショップに英会話のコーナーを出してくれるって話だから準備が要るのかな。
そう、簡単に考えていた。
エミさんはこの時ものすごいことを仕掛けようとしてたのだった。
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