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クモの糸4
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タカシさんの推論を聞いていくうちに見え始めて来た。
何故あいちゃんのお母さんが私に抗議の電話をしてきたのか。
タカシさんの推理は続く。
「招待状って新郎新婦の職場の人間、友達、親戚に出すよね一般的には」
まぁ、そうだよね。最近は招待客のサクラを雇うって話もあるけど、タカシさんの推論で行くとそれは意味がないってことになる。
「略奪女サイドの職場の人間は、ユキちゃんと元カレの付き合いを周知していた。確認の電話がかかってきていたという事がそれを証明しているよね」
まぁ確かにそうなるよね。
「ではなぜ略奪女の母親がユキちゃんに抗議の電話をしなければならなかったか」
「職場の人たちの欠席が多くなった?」
「そう考えるのが自然だね。いわば略奪したってことを堂々と宣言しているのに等しい行いだ。お世話になっている先輩の男を略奪、しかも既成事実をダシにして迫った結婚。まさに下衆の極み。そういう女を、奪われた女もよく知っている職場の女性たちは、はたして許すのか?女性というのはそういう面で潔癖な人が多いからね、出席すると同じ人種と烙印を押されかねない。独身なら自分の今後の婚活に響く可能性が濃厚だ。リスクは犯したくないよね、しかも招待客はお祝儀という名の見物料を取られる。安くない金額をね。特に女性はヘアセット代にドレス代とそれに伴う費用と時間が加算される」
鼻で笑うようにタカシさんは言い放つ。
「略奪女側は出席者がゼロって勢いで欠席多発じゃないか、そのパターン」
マサキさんが感心したように言う。
「ねえユキちゃん、こないだ来てた幼馴染の子、実は元カレの妹なんじゃないの?マサキが睨まれてた」
その時のことを思い出したのかマサキさん少し顔色が悪くなる。
「うん。確かにハルカちゃんは元カレの妹だよ」
「ユキちゃんのこと、大好きなのがすごく伝わってきた。だから、略奪女のことは蛇蝎のごとく嫌ってるんじゃない? 結婚式になんか出たくないよぉ~って」
あ、当たってる……。
「妹ちゃんがユキちゃんのこと大好きで、略奪女に歩み寄りもしない。義実家の空気いいはずないよね? すでに嫁認定されていたであろうユキちゃんと常に比べられているんだよ、辛いよねーもちろん口には出されないだろうけど、空気って伝わるからねえ」
それは思った。小さな信頼を長年かけて積み上げてきたし、ハルカちゃんとも最初から仲良かったわけじゃない。時間が絆を育てたんだと思う。
「あの妹ちゃん、本当にユキちゃんのこと好きって伝わってきていたもんなぁ」
マサキさんがしみじみつぶやいた。
「元カレの妹が幼馴染なら元カレ自身も幼馴染だ。そして、幼馴染たちや学生時代の同級生たちはまるかぶりしている。ユキちゃんと付き合ってそろそろ結婚ってこともみんなが熟知していた。違う?」
私はただうなづいた。ほんとに鋭いなぁ。タカシさん、探偵やってない?
「そうなれば、元カレ周辺の人間も、女性陣は欠席で固まりそうなもんだよね。男連中は浮世の義理とか怖いもの見たさでユキちゃん蹴落とした女がどんなやつか顔を見たいだろうし参加費は惜しまないだろうけど、女性は潔癖な上に団体行動したがる人種だ。そうなると、幼馴染関連も壊滅状態に近いんじゃない?」
ってことは、ほぼ欠席で出欠ハガキが戻ったんだろうか。
「だからって、ユキちゃんのせいにはならないだろう?すべて略奪女がまいた種なんだから」
「さて、マサキにユキちゃん、ここまで踏まえたうえで質問。嘘つきで腹黒い略奪女は自分が略奪して結婚するってことを親に正直に言ってると思う?」
マサキさんと私は思わず顔を見合わせた。ありえないよね。そう思う。
「それどころか、結婚が決まった彼の元カノが粘着して彼の家族や私の職場の人に有ること無いこと言って妨害してるみたいなの~ヨヨヨ 私からの電話は着信拒否されてるしどうしよう~~(泣)」
あいちゃんがそれを言った時の姿が思い描かれる。今にして思えば結構キャラ作っていた気がする。
「腹黒女の親なんだからレベルは推して知るべしだよ。人の話聞かないで一方的に怒鳴ってたってことだから、聞く耳も持たないだろう。これはいったん放置。マサキがドスの効いた声で一喝したんだからしばらくは大丈夫と思う。心配なのは、追い込まれたその略奪女がどう出るか、なんだよなぁ」
そこでタカシさんの言葉が止まり、考え込んでいる。
「まぁ、今言った話も憶測にしかすぎないし、抗議の電話もとっさのことで録音してないしで証拠になりえないのが残念だけど、一番大事なのはユキちゃんの身の安全だよね」
み、身の危険があるの?そこまでするかなぁ
「目論見が外れて自分を見失っている状態での逆恨み。ユキちゃんの命の危険が最悪ある」
「ふざけんな!!来たらボコボコにしてやる!!」
マサキさんがベンチを拳で殴る。すごくキレているのがわかる。普段温厚な姿しか見たことなかったからすごく意外だった。
何故あいちゃんのお母さんが私に抗議の電話をしてきたのか。
タカシさんの推理は続く。
「招待状って新郎新婦の職場の人間、友達、親戚に出すよね一般的には」
まぁ、そうだよね。最近は招待客のサクラを雇うって話もあるけど、タカシさんの推論で行くとそれは意味がないってことになる。
「略奪女サイドの職場の人間は、ユキちゃんと元カレの付き合いを周知していた。確認の電話がかかってきていたという事がそれを証明しているよね」
まぁ確かにそうなるよね。
「ではなぜ略奪女の母親がユキちゃんに抗議の電話をしなければならなかったか」
「職場の人たちの欠席が多くなった?」
「そう考えるのが自然だね。いわば略奪したってことを堂々と宣言しているのに等しい行いだ。お世話になっている先輩の男を略奪、しかも既成事実をダシにして迫った結婚。まさに下衆の極み。そういう女を、奪われた女もよく知っている職場の女性たちは、はたして許すのか?女性というのはそういう面で潔癖な人が多いからね、出席すると同じ人種と烙印を押されかねない。独身なら自分の今後の婚活に響く可能性が濃厚だ。リスクは犯したくないよね、しかも招待客はお祝儀という名の見物料を取られる。安くない金額をね。特に女性はヘアセット代にドレス代とそれに伴う費用と時間が加算される」
鼻で笑うようにタカシさんは言い放つ。
「略奪女側は出席者がゼロって勢いで欠席多発じゃないか、そのパターン」
マサキさんが感心したように言う。
「ねえユキちゃん、こないだ来てた幼馴染の子、実は元カレの妹なんじゃないの?マサキが睨まれてた」
その時のことを思い出したのかマサキさん少し顔色が悪くなる。
「うん。確かにハルカちゃんは元カレの妹だよ」
「ユキちゃんのこと、大好きなのがすごく伝わってきた。だから、略奪女のことは蛇蝎のごとく嫌ってるんじゃない? 結婚式になんか出たくないよぉ~って」
あ、当たってる……。
「妹ちゃんがユキちゃんのこと大好きで、略奪女に歩み寄りもしない。義実家の空気いいはずないよね? すでに嫁認定されていたであろうユキちゃんと常に比べられているんだよ、辛いよねーもちろん口には出されないだろうけど、空気って伝わるからねえ」
それは思った。小さな信頼を長年かけて積み上げてきたし、ハルカちゃんとも最初から仲良かったわけじゃない。時間が絆を育てたんだと思う。
「あの妹ちゃん、本当にユキちゃんのこと好きって伝わってきていたもんなぁ」
マサキさんがしみじみつぶやいた。
「元カレの妹が幼馴染なら元カレ自身も幼馴染だ。そして、幼馴染たちや学生時代の同級生たちはまるかぶりしている。ユキちゃんと付き合ってそろそろ結婚ってこともみんなが熟知していた。違う?」
私はただうなづいた。ほんとに鋭いなぁ。タカシさん、探偵やってない?
「そうなれば、元カレ周辺の人間も、女性陣は欠席で固まりそうなもんだよね。男連中は浮世の義理とか怖いもの見たさでユキちゃん蹴落とした女がどんなやつか顔を見たいだろうし参加費は惜しまないだろうけど、女性は潔癖な上に団体行動したがる人種だ。そうなると、幼馴染関連も壊滅状態に近いんじゃない?」
ってことは、ほぼ欠席で出欠ハガキが戻ったんだろうか。
「だからって、ユキちゃんのせいにはならないだろう?すべて略奪女がまいた種なんだから」
「さて、マサキにユキちゃん、ここまで踏まえたうえで質問。嘘つきで腹黒い略奪女は自分が略奪して結婚するってことを親に正直に言ってると思う?」
マサキさんと私は思わず顔を見合わせた。ありえないよね。そう思う。
「それどころか、結婚が決まった彼の元カノが粘着して彼の家族や私の職場の人に有ること無いこと言って妨害してるみたいなの~ヨヨヨ 私からの電話は着信拒否されてるしどうしよう~~(泣)」
あいちゃんがそれを言った時の姿が思い描かれる。今にして思えば結構キャラ作っていた気がする。
「腹黒女の親なんだからレベルは推して知るべしだよ。人の話聞かないで一方的に怒鳴ってたってことだから、聞く耳も持たないだろう。これはいったん放置。マサキがドスの効いた声で一喝したんだからしばらくは大丈夫と思う。心配なのは、追い込まれたその略奪女がどう出るか、なんだよなぁ」
そこでタカシさんの言葉が止まり、考え込んでいる。
「まぁ、今言った話も憶測にしかすぎないし、抗議の電話もとっさのことで録音してないしで証拠になりえないのが残念だけど、一番大事なのはユキちゃんの身の安全だよね」
み、身の危険があるの?そこまでするかなぁ
「目論見が外れて自分を見失っている状態での逆恨み。ユキちゃんの命の危険が最悪ある」
「ふざけんな!!来たらボコボコにしてやる!!」
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