58 / 71
星に願いを7
しおりを挟む
結婚式まであと2日。ウエディングシューズ以外の準備は出来ていた。
必死に電話帳片手に靴屋さんに電話を掛けるけどそもそもウエディングシューズの取り扱いがない。
大半が取り寄せしましょうか、一週間かかりますがという返事。ほぼ全滅した。
いい方法がないかなぁと頭を悩ませていると、マサキさんからメールが届いた。
なんだろう、とメールを読むと新婦さんの靴のサイズを教えてってことだった。
マサキさんも探してくれるのかなぁ。
思い切って電話をかけることにした。
【マサキさん、メール見ました。どうしました?】
【ああ、ユキちゃん、実はね、新婦さんに試してほしい靴があるんだけど】
どうも、マサキさんのところに、靴屋ゲンさんの奥さんがやってきて新婦さんの靴のサイズを聞かれたらしい。でも今から取り掛かっても間に合わないよねぇ?
【とにかく、明日朝一番で新婦さんに靴屋さんに来てくれるように連絡しといて】
少し慌てていたみたいだけど、さっそく新婦さんに連絡して、朝一番に商店街のゲンさんの靴屋さんに来てくれるように頼んだら、すぐに来てくれることになった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
翌日、ミキちゃんを学校に送り出してすぐに新婦さんは来てくれた。
ゲンさんの靴屋さんに案内するけど、新婦さんちょっと不安げな顔をしていた。
靴屋の奥さんがすぐに出てきてくれて、椅子を出して新婦さんを座らせると、靴を脱いで待っててね、といい奥から白い箱を出してきた。
箱を開けると、そこには輝くような細かなスワロフスキーを張りめぐらせたヒールの靴、ウエディングシューズが入っていた。
正直すごく驚いた。まるでおとぎ話のガラスの靴がそこにあったから。朝日を受けて光り輝く様子は、女の子の夢を形にしたかのような素敵な光景だった。
私が思うのと同じように新婦さんも思ったのだろう。ふたりともしばらく靴に目を奪われて何も言えずにいた。ゲンさんの奥さんが履いてみてくださいなって声をかけてくれるまで何もできずにいた。
新婦さんは、その靴に恐る恐る足を入れる。
サイズは文句なくぴったり。まるで新婦さんの為に誂えたかのような靴だった。
そして、履いたシルエットも新婦さんの足を引き立てるような職人ならではの仕上がりだった。
「これは?」
あまりにも素敵な靴に言葉を失う新婦さんの横で目に涙をためながらその靴を見ている奥さんに声をかける。すると、奥さん、胸いっぱいになったのかポツリポツリと話を始めた。
実は、この靴は娘さんの結婚式の為に作ったんだそうで、昔からおとぎ話のお姫様のような素敵な靴を履いてお嫁に行きたいと言っていたそうだ。
ゲンさんは、紳士物専門だからなぁといいつつ、世界で一人だけ、娘の為だけに特別な靴を一足だけ作ったんだそうだ。しかし、6年前、結婚式目前にして娘さんとその婚約者は交通事故でこの世を去ってしまったという。本来であればこの靴は娘さんと共に棺に納める予定になっていたのだけどどうしても娘を手放したくないと、ゲンさんが手元に大切においていたそうだ。
奥さんは、娘が亡くなってもうすぐ7回忌がやってくるから、困っている人のために使った方が供養になるんじゃないかってゲンさんに相談してマサキさんに連絡してくれたそうだ。
「結婚前に亡くなった娘の為のものだけど、縁起が悪いっていうのなら、別のを探してくれていいよ」
そう、奥さんは言うけど、新婦さん、その話を聞いてますます泣きじゃくり、私が娘さんの分も歩いていいですか?と奥さんの手を取った。奥さんはその言葉に有難う、と泣いていた。
すべての準備が整って、明日は本番の結婚式。
上手くいくように頑張ろう。
必死に電話帳片手に靴屋さんに電話を掛けるけどそもそもウエディングシューズの取り扱いがない。
大半が取り寄せしましょうか、一週間かかりますがという返事。ほぼ全滅した。
いい方法がないかなぁと頭を悩ませていると、マサキさんからメールが届いた。
なんだろう、とメールを読むと新婦さんの靴のサイズを教えてってことだった。
マサキさんも探してくれるのかなぁ。
思い切って電話をかけることにした。
【マサキさん、メール見ました。どうしました?】
【ああ、ユキちゃん、実はね、新婦さんに試してほしい靴があるんだけど】
どうも、マサキさんのところに、靴屋ゲンさんの奥さんがやってきて新婦さんの靴のサイズを聞かれたらしい。でも今から取り掛かっても間に合わないよねぇ?
【とにかく、明日朝一番で新婦さんに靴屋さんに来てくれるように連絡しといて】
少し慌てていたみたいだけど、さっそく新婦さんに連絡して、朝一番に商店街のゲンさんの靴屋さんに来てくれるように頼んだら、すぐに来てくれることになった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
翌日、ミキちゃんを学校に送り出してすぐに新婦さんは来てくれた。
ゲンさんの靴屋さんに案内するけど、新婦さんちょっと不安げな顔をしていた。
靴屋の奥さんがすぐに出てきてくれて、椅子を出して新婦さんを座らせると、靴を脱いで待っててね、といい奥から白い箱を出してきた。
箱を開けると、そこには輝くような細かなスワロフスキーを張りめぐらせたヒールの靴、ウエディングシューズが入っていた。
正直すごく驚いた。まるでおとぎ話のガラスの靴がそこにあったから。朝日を受けて光り輝く様子は、女の子の夢を形にしたかのような素敵な光景だった。
私が思うのと同じように新婦さんも思ったのだろう。ふたりともしばらく靴に目を奪われて何も言えずにいた。ゲンさんの奥さんが履いてみてくださいなって声をかけてくれるまで何もできずにいた。
新婦さんは、その靴に恐る恐る足を入れる。
サイズは文句なくぴったり。まるで新婦さんの為に誂えたかのような靴だった。
そして、履いたシルエットも新婦さんの足を引き立てるような職人ならではの仕上がりだった。
「これは?」
あまりにも素敵な靴に言葉を失う新婦さんの横で目に涙をためながらその靴を見ている奥さんに声をかける。すると、奥さん、胸いっぱいになったのかポツリポツリと話を始めた。
実は、この靴は娘さんの結婚式の為に作ったんだそうで、昔からおとぎ話のお姫様のような素敵な靴を履いてお嫁に行きたいと言っていたそうだ。
ゲンさんは、紳士物専門だからなぁといいつつ、世界で一人だけ、娘の為だけに特別な靴を一足だけ作ったんだそうだ。しかし、6年前、結婚式目前にして娘さんとその婚約者は交通事故でこの世を去ってしまったという。本来であればこの靴は娘さんと共に棺に納める予定になっていたのだけどどうしても娘を手放したくないと、ゲンさんが手元に大切においていたそうだ。
奥さんは、娘が亡くなってもうすぐ7回忌がやってくるから、困っている人のために使った方が供養になるんじゃないかってゲンさんに相談してマサキさんに連絡してくれたそうだ。
「結婚前に亡くなった娘の為のものだけど、縁起が悪いっていうのなら、別のを探してくれていいよ」
そう、奥さんは言うけど、新婦さん、その話を聞いてますます泣きじゃくり、私が娘さんの分も歩いていいですか?と奥さんの手を取った。奥さんはその言葉に有難う、と泣いていた。
すべての準備が整って、明日は本番の結婚式。
上手くいくように頑張ろう。
1
あなたにおすすめの小説
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる