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第一巻 第二章 魔王軍殲滅戦線
第三十三話 童貞卒業
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俺はカノンが脱ぎ捨てた服を拾い上げると、
「カノン。もう時間ないぞ」
「疲れた」
「お前なぁ……。テル達になんて言われるか分からんぞ?」
「良いよ別に。リュートはもう私のものだから」
「強かだな、カノンは」
「ふん。私のパンツ取って」
俺はベッドの上にある彼女の黒いスケスケパンツを渡すと、彼女が起き上がった。
すると、カノンの胸が目の前で揺れてたのだ!
すでに事後ではあるが、こんだけ大きいのだとは思わなかった。
俺は、口に手のひらを当てる。
やばい、ニヤけが止まらない。
――いやいや、カノンは俺の正式な彼女だ。
恥ずかしがる事はない。
童貞感がまだ抜けない俺だが、もう誰も俺のことを童貞とは呼べない。
そうさ、俺はついに卒業式を迎えたのだ!
「ねぇリュート。私の裸を見て一言ないの?」
「き、綺麗だと思うよ?」
「はぁ。語彙力ないわねリュートは。もう少し、詩的な表現を覚えなさいよね」
相変わらず、カノンの王女感は抜けない。
が、彼女の最初の男になれて俺はとても嬉しいよ。
「なんかその、エロかったっすよ?」
「何よその感想。ほら、私がもっと嬉しくなるようなこと言ってみなさいよ!」
――と、カノンは俺の目の前で股を開いて立ち上がったのだ!
俺の顔前に、カノンの大事な部分がある。
俺は生唾を飲み込んでそれをじぃっと見つめる。
カノンのあそこって、こんな感じなんだぁ……。
「ちょ、なんか言いなさいよ! そんなにまじまじ見ることもないでしょうが!」
「あ、ごめん!」
カノンは自分の真っ白いドレスを拾うと、彼女はバスタオルみたいに体を隠した。
もう少し眺めていたかったが。
「何よリュート。まだエッチし足りないっての?」
「えっ! え、ええっと。でも時間だし」
「ふん。私は全っ然足りないけどね」
カノンは服に袖を通して、こっちを見て頬を膨らませる。
まるで、『もっと私を求めてほしいな』と言わんばかりの表情だ。
「帰ってきたら、また、な?」
「いいわ。その時までお預けにしといてやるわよ」
カノンは着替えを済ませ、俺の横を通り過ぎていくと、真っ赤になった頬をぽりぽりと掻きながら、下の方を見る。
「よ、良かったわよリュート。優しくしてくれてありがと」
素っ気ない感じで感謝を述べるカノン。
そんな、こちらこそありがとうございました。
「で、どうだったのリュートは」
「す、すごく良かったです」
「はぁ。あのさリュート。王女であるこの私の初めてをあんたにやったのよ? もう少し光栄に思いなさいよ! それと、私からばっかり感想言わせるなバカ! あんたから先に色々言いなさいよ!」
カノンは、腕を組んで部屋の周りを眺めながら言う。
俺と目を合わせるのが恥ずかしいのだろう。
「……本当、素直じゃないよなカノンは」
「う、うるさいわね。さっさと行くわよ。周りの人になんて思われるか!」
さっきはなんと思われても良いとか言ってたやつがそれを言うか。
まぁ、カノンっぽさがあるままで良かったよ。
付き合った後に態度が変わるとか、ちょっと困るからな。
「何ぼさっとしてんの。ほら、行くわよ」
と、カノンは俺の手を握って引っ張る!
この強引さ、俺はこれに惚れたのだ。
俺は、自分から何かアクションを起こすのが苦手だから、カノンみたいな彼女がいれば、色々と引っ張ってくれて楽しいからだ。
カノンが彼女。
こんなに最高な事は、金輪際ないと思う。
カノンはガラガラと勢い良くスライドドアを開けた。
瞬間、目の前にはアイネ、テル、アリアが右耳に手を当てて待っていたのだ。
「ひぇ、ひぇえっ!?」
カノンは俺の手を払うと、ブルブルと震えながら両手を胸の前に持っていく!
あいつらのこのポーズ、まさか一部始終を全部聴いてたのか!?
「おほ、おほほほ! 奇遇ですわねカノン! こんなところで会うなんて!」
「こ、これはねカノン! 別にリュート君とカノンの声が聞こえたから、中で何があってるのを聞き耳立ててたとかじゃないから!」
「テル、もう無理があるよ。あのねカノン、全部聞いてた。結構最初くらいから」
「あ、アイネ! それを言っちゃダメですの!」
「いいよもう。まぁ、卒業おめでとう」
アイネはキョトン顔のまま拍手をすると、アリアとテルも釣られて拍手を始める。
「あ、あんたらぁ……!」
カノンは震えながら両手をグッと握りしめる!
やばい、これガチギレだぞ!
「まぁまぁ、カノン! 色々思うところがあるだろうが、とりあえず落ち着けって」
俺は震えるカノンの肩をポンと叩いた。
――瞬間、カノンの張り手が俺の顔面を直撃し、体が横回転する!
「おぶしっ!」
「ちょ、聞いてよみんな! リュートのやつ、私を襲って来たのよ! 怖かったぁ! こいつ、こいつです! 警察呼んで!」
あまりの恥ずかしさに、カノンは目をぐるぐる回しながらバカみたいなことを言い出した!
「うわぁ、派手にやられたねぇリュート君」
「はぁ。結局、カノンは一皮剥けてもカノンなんですのね」
「カノンから告白したのは知ってる。嘘つかなくて良いから。この戦いが終わったら、リュートとカノンのお祝いをしよう。お赤飯炊くから」
「あ、アイネ! 分かったわもう良いからやめて! 恥ずかしすぎて死にそう……」
お、俺も戦争前に死にそう……。
カノン、恥ずかしくなったらとりあえず適当なことを言う癖をやめろよな。
こんなんじゃ、お前と付き合ってるうちに何回ぶっ飛ばされるか分からんて。
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