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51話 本当の出会い
しおりを挟む二人は明日から傭兵たちの訓練に出るようになった。
そして、傭兵の中で成長を自慢したくなったやつが、騎士団に喧嘩を売り勝ったのだそうだ。
それから、翌日には騎士団の者も数名、参加を志願してきたものもいたんだそうだ。
健と相斗は目的は「この世界の住人を強くすること」なので快く受け入れた。
その日の夜、二人は話していた。
「どうだ、間に合うと思うか?」
「正直、全然分からないよ。この世界の人口だって力の標準だって、僕らには分からないことだらけさ。」
「確かに、俺らは知らないことだらけだ。誰かがブレインとして俺らを先導してくれれば楽なんだがな。」
「でも、ぶっちゃけると僕らってそんなに地頭は悪くなくない?」
相斗が真顔でそう言った。
「それはそうだが、世界規模のことを考えられるほど出来てはないだろ。」
「それはそうだけどさ。」
相斗は少しむくれた。
「ねぇ、覚えてる?僕と健が一番初めに会った時のこと?」
「当たり前だろ。20年の月日がたったとはいえ、あんな衝撃的な出会いなら忘れないだろう。」
「やっぱり、覚えてないんだね。」
「何がだ?」
「僕達って実は地球で1回あってるんだよ。というより、一方的に僕が認識して見てただけなんだけどね。」
「本当か.....。全く記憶にないな。」
「世界選手権の時だよ。健が予選枠で出てきた年のことさ。」
「あぁ、俺が初めての世界選手権の時か。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
アメリカ
「今日で人類の中の世界一が決まります!!強き者がここに集い、自らが一番だということを誇示しにやってきます!!皆様、しかとその目でご覧下さい。」
世界選手権。性別、年齢、国籍、人種、制限されることは一切なく、たった一人の最強の称号を手に入れるためにあらゆるところから、あらゆる曲者がやってくる大会だ。
「やっぱり、大本命はロシアのマルクだよな。」
「知らないのか?ジャパンでやばいやつがいるって話だ。」
「あぁ、キックボクシングをやってるってやつだろ?」
「それもそうだが、本戦と同じくらいの修羅と呼ばれている予選枠を勝ち抜いたジャパニーズもいるんだ。」
「あの一枠をジャパニーズが取ったってのか?」
「そうだ。しかも、まだ16歳のボーイだぜ。」
「嘘だろ!?そのジャパニーズはどんな格闘技をしてるんだ?柔道か?空手か?もしかして、相撲か?」
「それが、わかんないらしいんだ。」
「へ?」
「そのジャパニーズのボーイは変則的な動きをして、色々な格闘技の要素や戦いのスタイルを変えているらしい。」
「なんだそりゃ。」
「まあ、俺も直接見たわけじゃねぇからわからねぇけどな。」
「へぇ、僕と同い年の子が予選枠を通って来たのか。楽しみだな。」
タッタッタッ
「ここは、どこだ.....」
「ヘイ、ボーイ。どうしたんだ?」
「この会場に行きたいんですが.....」
「あぁ、それならこの先を右に行ったところにあるよ。君はこの大会の観戦かい?」
「いや、選手です。」
「おぉ、ちっちゃいのにすごいね。」
「じゃあ、頑張ってくれ。グッドラック!」
タッタッタッタッタッタッ
「やばい、時間が無い。時差のせいで眠たくてホテルで寝ちまった。」
「止まって!ここから、先は関係者以外は立ち入りが禁止よ。」
「俺は選手です。」
「おぉ、たけばやし たける!急いで会場へ向かって!試合が始まっちゃうわよ。」
タッタッタッタッタッタッ
健は走った。音の鳴る方へ、光が輝いている方へ。
「皆様、今来ました!今大会の注目株の初めての予選枠を勝ち抜いた日本人。ジャパニーズサムライ!たけばやしぃ たけるぅ!!!」
大きな歓声と眩しい照明に聞こえる司会者らしき人の声。
すると、司会の人が健の方へと近づいていった。
「どうして遅れたんだい?」
「寝坊しました。」
つたない英語で健はそれを伝えた。
「それは、大変だったね。もう少しで失格になるところだったんだよ。君の素晴らしい勇姿を見せてくれ。」
「頑張ります。」
健はTシャツとハーフパンツでステージへと上がった。
「おぉっと、たけるは着替えないのかい?それくらいの時間なら設けるよ?」
「いや、これでいいです。」
「舐めているのかガキ。」
目の前にいる黒人のボクシング選手がイラついていた。
「それでは、改めてルール確認をさせてください。ルールは簡単。負けを認めるか戦闘不能になるまで戦う。それだけです!」
「お二人の準備はいいですか?」
「はい。」
「おう。」
「それでは、開始!!!」
ドンッ
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