Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ヒーロー、アーノルド

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 ※今回一部暴力場面があります。
苦手な方は…ごめんなさい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 このままだとダメと、届かないかもしれないと思いながらも大声で叫んだ。

「アーノルド!!爺!!助けて!!」

途端にまた地面に転がされて背中を蹴られた。

「Ωの分際で助けなんて求めんなよ!!Ωは突っ込まれてよがって啼けばそれで良いんだよ!!」

背中を蹴られて息が詰まったところでシャツの首の後ろをもたれて吊り上げられた。喉がしまって息が止まる。

「何をしている!手を離せ!!」

 気が遠くなりながら走って駆けつけてくるアーノルドを見た。
ここはヒロインよろしく儚げに気絶するべきかもしれないけど、ある場面を連想した僕は覚醒しちゃったんだ。
 僕の大好きな小説の場面でやっぱり暴漢に襲われた主人公を幼なじみが助けに来るんだ。その時のセリフがまさにアーノルドが言ったセリフ。
……フフフ~言ってもらっちゃた。

 駆けつけてきたアーノルドは格好良かった!
背は同じくらいだけど自分の倍はありそうな男を蹴り飛ばして僕を確保すると、僕をすぐ後ろにいた自分の従者に預けて臨戦態勢をとった。

「すぐに警備を!!」よく通る声で命令すると従者から僕を引き受けて見張りを命じた。

…うぅ~、これ!これだよ!
まさに弱きを助けるヒーロー!


 部屋では爺が忙しなく動いていた。こんな動きの爺は初めてだと見ていたらアーノルドの腕の中の僕に気づき涙ぐんでいた。

「ノエル様なんとおいたわしい。このような怪我を負われるとは……。」

 大きめのソファーに座らされるとすぐに手当てが始まった。ホッとした途端にあちこちが痛む。顔を冷たい布で拭われるとヒリヒリするし肩はズキズキ痛い。
 アーノルドが背中を蹴った場面を見ていたようで、2人がかりで裸にされてうつ伏せにされそうになったけど肩と背中の痛みが酷くて結局アーノルドに抱きついて体を支えてもらいながら手当てしてもらった。



 問題は顔の腫れと暴力をにより熱が出てしまった事。またもや目が覚めたとき怖い顔をした父がいたのは痛みが見せた幻覚と思いたかった。

「父様?!どうしてここにいらっしゃるのですか?
……もしかして…僕はまた父様達に心配をかけてしまったんですね。」

 声をかけた途端、いつもの優しい父親の顔になり
優しく声をかけてくれる。

「ノエル、私達は何時でもノエルの事を考えてるし心配している。それはいけない事じゃないんだよ?愛する子供の事なんだから当然だ。そんなに悲しい顔をしないでおくれ。」

 どれ、熱は下がったようだねと僕の頭を撫でると爺を呼んだ。

「爺、心配かけてごめんね。」

 心底心配したとわかる爺に誤った。Ωの僕はαやβの人に比べて体が丈夫ではないので常に気を配り目を光らせていてくれた。今回の事で爺が何時もどれだけそうしていてくれたのがわかる。

「いえ、私がお側を離れてしまったばかりに……ノエル様がお辛い思いを…」

「ううん。だって爺は僕がアーノルドとお話できるようにしてくれたんでしょ?爺のせいじゃないよ」

自分を責めないでと言って気づいた。

「アーノルドは?」

 どうしたの?と2人を見た。父様?爺?
僕を助けてくれた時、すごい剣幕だったのを覚えている。
なんでそんなに急に目をそらすの?父様、目が遠いよ!どうしたの?














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