Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 Ωというだけで能力がαより低いと疑わないサムスプリング領主に、αが作り出した薬は効かない筈がない…効かないのは薬を作ったαが無能なのかと聞く。

「ほら…無理だって言ったじゃないですか。」とまた何か後ろの人と話してる。
 暫く2人でコソコソと話してると、裁判官に向かって後ろの人が許可を求めた。どうやら後ろの人が僕に聞きたいことがあるようだ。

 その後、裁判官と後ろの人が2人で話し始め、決まったようで席に戻った。

「例外的にサムスプリング領の領主補佐に質問を認めます。これは通常あり得ませんが、根本的な確認が必要と認められるので例外的なものです。スサエナ領主、よろしいですか?」

「はい、けっこうです。ご質問をどうぞ」

「ありがとうございます。スサエナ領主様はΩと伺っておりますが、間違いございませんか?これまでの応答ではΩとは思われないのですが。」

 やっぱり……。普通のΩじゃないと王様の立場で父も言ったじゃないの。親馬鹿だと思ってたのかな?信じてなかったんだね。

「私は確かにΩですよ。ご覧の通り発育も遅いためこの容姿ですが先日、周りの皆様のおかげで無事に成人も迎えました。父である王も私の性に関しては何度も検査をされました。
 実際、私はこのΩという性の為だけに成人前に城から出され、保護も無いまま生きて行かなければならないという状況まで追いやられた過去もございますが、ご記憶ございませんか?」

 周り中が凍りついた感じがするけど事実だからしょうがないよ。僕は質問に答えてるだけだから悪いの僕じゃ無いよ?

 自分も聞きたい事があったので裁判長に聞いてみた。
「……どうぞ。」という何か言いたげな、でもそれを飲み込んで許可を出したとわかる返事から、僕が今聞きたい事が何なのか察しがついてるのだと思う。

「サムスプリング領主と領主補佐にお聞きします。これは“双方の領主”の質疑応答の筈です。何故サムスプリング領主の後ろに領主補佐が控えて質問に対する応答の後に話をするのでしょうか?
 優秀なαであるサムスプリング領主より、能力が劣ると思われているΩである私の後ろにすら補佐はおりませんが?」

 …………答が無い。もう少し待ってみようか。
…………答が無い。流石に何故後ろの人と話をするのかと聞かれた直後の為相談が出来ないのだろうけど、まだ答が無い。
 ちょっと~まだ?
チラッと裁判長を見ると裁判長も裁判官もジッと向こうを見ている。

 明らかに動揺しながらサムスプリング領主が言った言葉は
「それが質問か?αが優秀なのは当たり前だ。優秀なαには人が寄ってくる。だからこの者もいるのだ。」
と訳のわからない答えだった。

「質問の意味がわかっていますか?スサエナ領主は何故後ろに領主補佐を控えさせて応答の度に相談の必要があるのかと聞いているのです。αが優秀かどうかなど聞いていません。そして法廷としても公平を期す為以降は領主補佐の同席を認めません。」

 意味のわからない答えだったとはいえ、僕が畳みかけるように同じ質問をする訳にはいかなかったので裁判官の言葉は助かったけど、“公平を期す”というのは少しおかしい。

「失礼ですが裁判官、私がΩという時点ですでに公平ではありません。サムスプリング領主はαでありΩの私よりずっと優秀だとご本人が言われています。公平を言ってくださるのなら私の方こそ領主補佐をつけるべきでした。……残念ながら領主補佐は存在しませんが。」

 周りがザワザワと話し出した。やっぱり皆は僕に優秀な補佐がついていてこの裁判の段取り等もそのおかげだと思っていたようだ。























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