Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 裁判長からの「公平をと言いながらも実際は公平で無いようだが、今回ばかりはスサエナ領主も例外的な存在なのでちょうど良いでしょう」という言葉で促され次の質問へ移った。

 あ、流石に領主補佐はずっと後ろに下がったみたいだ。

「スサエナ領は領主もそうだが考えもつかない事をやっている。お集まりの皆様はご存知なのだろうか…スサエナ領では!」

 言い方に辟易してきていたので被せる様に跡を継いで僕が発言する。

「Ω性の者の優先保護の事でしょうか?それとも早い荷車の事でしょうか?」

 こういう自分が偉いって思ってる人って言葉を遮られるの嫌うの知ってるけど、どうせもう嫌われてるし僕も気に入らないから意趣返しで煽ってみた。
 案の定、下に見てる僕が言葉を発して自分の発言が遮られたのが面白く無いのだろう、顔を赤くして怒り始めた。

「どちらもだ!しかしΩの事などはもうどうでも良いどうせαに取り入るためにΩを集めたのだろう!知っているぞ!つい最近は貴族に連なる者のΩを集めたということを!自分と同じようにαに体を差し出させ良い思いをしたいのだ!」

 一気にまくし立てると気分が落ち着いた様で勝ち誇って更に見下して集まった人達に向けて後を続けた。

「この卑しいΩは自分領地でΩを集め、αに体を差し出して良いように計らってもらっている。スサエナ領には馬よりも早く荷を山ほど運べる危険な物が存在するのだ!それは彼処にいるグリフウッド領からスサエナ領を通りこの王都に至る。」

 芝居がかった言葉と仕草で言った後、僕を指差しながら「反逆者だ!!」と言い切った。

 ついため息がこぼれてしまった。それを企みを暴かれ観念したと勘違いをしたサムスプリング領主はまた集まった人達の方へ向けて「裁きが必要でしょう。」と言うと右手を胸に手を当てお辞儀し、自分の席に座った。

 裁判官の言葉に促されて僕は応答の為に立ち上がり前に進み出た。
 足を組んで偉そうにふんぞり返っているけど足が短くて格好悪いなんて思ってることは気づかれない様にしながら。でも僕の方に座っているアーノルドの姿と比べるように見てしまっていたら集まっている人の中から少し笑いが起きた。
 僕のせいじゃ無いよー。

「馬よりも早く荷を山ほど運べる物は汽車といいます。」

 所々から本当に有るのかと声が挙がった。其方の方を向いて「ありますよ。まだ出来てませんが。」
と答えた。

「これは出来るまでに非常に時間がかかるのです。まず大量の鉄が必要です。それで荷を運ぶ為の道を作ります。この道を作るにも鉄は大変重く、距離が延びればそれだけ重労働になります。それを軽くするためにトロッコという人力で動かす台車を使うのです。これも鉄の道でしか走れません。人は乗れますし荷物も運べますが……馬の方が早いでしょうね。
 そしてこれはグリフウッド領と我が領の知恵の財産ともいえる物で、計画、設計から内容を秘匿してきたものですからこのような場でこの物を明かさなければならないのは財産の流出に他ならないのですよ。」

 「この流出分はサムスプリング領に保証していただきたく思います。」と告げると大声で「反逆者が何を言うか!」と返された。

「2言目には“反逆者”と仰いますが、王も皇太子も知っていて実物をご覧になってるのに反逆者になるのでしょうか?」

 またシーンと静まり返った。前列の人なんて
“え?”って顔してる。目で“知ってるの?”と聞いてくる人もいたので「知ってますよ?サムスプリング領主も王と皇太子がスサエナ領に来た事を知ってる筈ですけど」と答えた。











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