Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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会談中

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 「改めまして、この度は無理なお願いをお聞き入れくださりありがとうございます。」

 仕切り直しということでと「お久しぶりです、デジレ様。」と迎え入れる。
 デジレ様が入室された後、僕は立ち上がってお礼を言った。デジレ様は海軍提督に嫁がれたので王族になっているし、義父様という事から敬意を払いながらもこちらも王族の領主として遜る事は出来ないから難しいよね。

 「いや、こちらも仕事ゆえ……しかしながら先程も申した通り此方にも都合があるので無理な話はお断りさせていただく。ご了承されよ。」

 僕も頷いて椅子を進める。今日のこの場は僕がアーノルドから借りて用意したサロンだ。会談にサロンとはちょっと場違いだけど、商品の披露があるのでお日様の光はとても大事。デジレ様には予め伝えて納得してもらっている。
 何が元で交渉不成立になるかわからないので、
“デジレ様を軽く見てサロンを使う訳では無いのですよ~”って伝えておかないと。

 爺にお茶を用意してもらってデジレ様に売り込み商品の見本を見せる。大人でも抱えるような大きさの本のような見本帳は商品の端切れの裏にその商品のサイズ、何に適しているか等書いた紙を縫ってある。

「今までのように2色、3色の色合いでなくこの様に多色を使い華やかに作られています。今ご覧になられてる物は主に絨毯やタペストリーとしてお使い頂ける厚い物ですね。」

 父様母様にも気に入ってもらっている事、これらは全て一点物で同じ物はない事、生産は自分のところだけでまだどこの商会や公益所にも出していない事。アピールポイントはいくつもある。
 中でも一点物というアピールポイントはコレクターは勿論、王侯貴族が目を付ける事を意味している。現にノエルの両親は大変気に入っており、城のプライベートスペースではかなりの数が使われていた。

 デジレ様の様子をそれとなく確認して次の用意に人を呼んだ。この商品を見せるための枠組みも同時に売りたい。これがないと不便だよ~だからおまけでつけとくね、でもちょっと数が足りないかな?
 あ、デジレ様の顔が渋い……。でも商品から目が逸れる事がないので思ったより上手くいきそう。

 薄織物も見せて反物からベールやストールに加工した物も見せる。絹の様に滑らかでは無いけど狩猟用やガーデンパーティーにとやはり王侯貴族の中でも使い勝手は良いと思う。
 ふとデジレ様が視線を周りに移した。
気づいたらしい……このサロンの飾り付けもうちの織物です。

「数は?」

 唐突な言葉に“えっ?”ってなったけど、最大数を投げてみた。

「船で……普通の交易船で3艘分。」

 今度はデジレ様が“えっ?”ってなってる。
…………しばらくの無言。多いの?少ないの?不安になるからなんとか言って?!

「これらは売ってはいけない指定地域が?」

「いえ、ありません。先程申し上げたようにまだ外国に出した事はありませんが、この国に来ている人達の間から話はでています。勿論、城で使われたりしていて目に留まったようで取引を持ちかけられましたが、すでにデジレ様と連絡を取っておりましたのでその旨をお話して一旦お断りしています。」
 
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