Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 シモンはお腹もいっぱいになってお尻も綺麗にしてもらって今はぐっすりおねむ中。侍女さんの2人がシモンの為に部屋で待機してくれるというので安心してサロンに向かった。

 サロンでは慣れない場所で緊張しているのか2人ともぎこちない動きで食後のお茶を飲んでいた。

「御者さん、トータ。改めてお礼を言います。ありがとうございました。」

 入ってすぐに2人にお礼を言うと、ポカンとして反応がない。……?どうした?

「……もしかして、エル?」

 そうか……僕、変装して一緒に居たんでした。

「うん、そうだよトータ。僕だよ。ちょっと事情を説明するね。」

 詳しいところは伏せたけど、僕を嫌っているα至上主義の人達に命を狙われたので城を脱出して逃げていた事。父や母に事情を説明したものの一方通行の知らせで返事や助けが反対に危険を招く恐れがあるためシモンを連れて変装していた事。途中偶然合ったトータを利用して隠れ蓑にした事……謝罪して頭を下げた。

「ううん、謝らないで。ボクのほうこそ……偉い人って知らなかったけど……ごめんなさい。ボク……ちゃんとした言葉もわからない……ごめんなさい。」

 急におどおどとした様子になったトータに「僕は僕だよ。変わらないよ?」と笑いかけた。御者さんの方もポカンとしてたけど、だんだん普通に戻ってきたかと思ったら「うわぁあ……。」って頭抱えてしゃがみ込んだ。

「俺、恥ずかしいなぁ~。熱く語っちゃったよ~。スサエナの自慢……うわぁあ…恥ずかしい!」

 ああ、そうだったねぇ。特に領主自慢は嬉しかった!照れ笑いしながらも「ありがとうございます」と言うとトータもクスクス笑いだした。
 それをきっかけにソファーに座り雑談になった。

「……本当に、それでいいの?」

 今回のお礼としてできる限りの事をしたいと言った僕に御者さんは“これからもコンスタントに行政からの仕事を出して欲しい。”という事を願った。理由はお金をきちんと払ってくれる事、ケガなどの保証がある事、衣食住のうち食と住が用意されている等僕が出す仕事はおいしいらしい。だからこれからも領民に仕事を回してほしいと……。

 それからトータの願いは、“この領で自由になりたい”だった。

「うん!そうだね。今、爺が情報を集めているからすぐにとりかかるよ。だからちょっとだけ待ってね?」

 うん。と笑うトータの顔がとても可愛い!そして、まぁ思いつきって言ったらそうなんだけど…トータに僕から一つお願いをした。

「ねぇトータ、この領で……僕の所で仕事しない?」

 ん?っていう顔をされたからもう一度繰り返すと勢いよく顔を横にふりだした。

「ムリ!ムリムリムリ!無理だよ!……ボク…字はかけるけど計算とかはわからないし、お行儀だって知らないもん!」

「うん。だからよけい一緒に仕事してほしいんだ。だって僕はΩといっても規格外のΩだから、普通のΩの人の考えが欲しい。どういう様に思うのか、どういう風にしてほしいのか…聞かせてほしいんだ。」


 
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