Ωの僕がお偉いさん

友達！

　普通のΩ。正直僕にはそれが難しい。アレをしたいコレが欲しい…無いなら作って貰っちゃおう！そうやって前世の記憶と恵まれた環境で好き勝手にやってる僕はΩとして規格外。それこそ僕が気にくわないっていう人も居るのは当然だと思う。…だからって人を傷つけて良い訳じゃ無いけどね～。

　でもわかる気がするんだよね……『αの人は凄い！Ωやβの人とは出来が違う！αにしか出来ない！』そうやって持ち上げられてきたのに、よりにもよってΩが「え～、なんで無いの？こうすればできるじゃない！」ってαの考えた物のダメ出しやったら嫌だよね。それで、こういう考え方をする事もひっくるめて『何を企んでいるかわからない不気味なΩ』として排除しようとするんだよね。

　でも今回、トータをお仕事に誘ったのはそういう意味じゃない。寄宿学校や職業斡旋をしていく上で何を望まれていて何が余計な事なのかを知りたい。これから先、Ωはスサエナを目指して集まってくる可能性も高い。今回の逃亡中に出会ったおばちゃん達が言っていた「スサエナに来れば良い」はおそらくなんとか生きようとするΩの希望の場所になって、目指して来る者も居るだろうから。
　
　そして、これが本音なんだけど……僕、友達がいないのね。で、今回トータとお喋りして笑って…凄く楽しかった。立場が立場だし、出自が王族だし、ちょっと友達ってつくりにくくて当然なんだけど憧れてた。

「ねぇトータ…僕達、もう友達でしょ？」

　けっこうドキドキして聞いた僕にトータはあっさりと「うん！」って答えてくれた。
　
「ボク、本当に何も知らないから教えてね？……でも覚えられるかはちょっとわからないけど。」

　大丈夫って僕達は目を合わせると笑いあった。
爺、今からトータの立場は“Ωへの意識改革対策相談役”ということでよろしくね。え？“Ωへの～”っていう名前を初めて聞いたって？うん、今初めて言ったからね。ほら、なんていうかなぁ……格好いいと思うんだよね名前をつけると。
……ごめんなさい、調子にのりました。


「ではトータ様のお部屋なのですが、プライベートルームと子供部屋、執務室、でよろしいでしょうか？お子様の事を考えますと1階の東側がよろしいでしょうね。ちょうど芝生の中庭付きの一郭が空いております。乳母は必要でしょうか?」

　直ぐでは色々と大変だというので御者さんを帰した後はトータと赤ちゃんを一旦客室で過ごしてもらうようにし、僕も部屋に戻った。シモンはまだおねむ中で寝顔を見るだけで幸せになる。

　ウフフフ～ついに友達もできたし、可愛い我が子、愛しい旦那様……幸せ。ん。ん？ん？旦那様？
そういえばアーノルドは？
…………しまった！ヤバい！何気にアーノルドをほったらかしにしていた！