Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ローランドちょっとおいで

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 図書室の奥の個人的な読書部屋にローランドを呼び出した。……どうやって聞く?単刀直入にスッパリと「トータを好き?」と聞くか、貴族らしく回りくどい表現で聞くか…どちらにしようかな?
 どちらでもローランドはトータを好きと答えるだろうと思うけど、自分の身分を考えると非常に難しい事だと解っているはずだ。そこにわざわざ追い討ちをかけるように僕がたたみかける?それも可哀相かなぁ。

 答も聞かないうちに困ってしまっているとドアをノックする音が聞こえた。開けてやるとローランドがちょっと緊張した顔で立っている。

「いらっしゃいローランド。ここはめったに爺も入らないから遠慮しないでどうぞ。」

 読書室とはいえお茶を入れる道具は揃っている。お茶を淹れてだすとローランドは居心地悪そうに座って頭を下げた。
 この様子だと何の為に呼ばれたのかは察しがついているね。

「さぁローランド、お兄様の目を見なさい。」

 正面に回って両手でこめかみの辺りを抑えて上を向かせる。こうすると身長差があっても無理なく目をあわせられます。
 いつもならジッと見返してくるはずの目が泳いでいる。ハイ決まり~!

「お兄様がなんでここに呼んだのかわかってるよね?説明しなさい。」

 気まずそうに泳ぐ目を追いかけて会わせると観念したのかフゥ…とため息をついてやっと口を開いた。

「……わかってはいるのですよ。年上なのは良いとしてもトータは子持ちです。運命でもない。……立場的に簡単に付き合えないのもわかっているんです。…でもどうやって……」

「気持ちをセーブするのか…わからない?」

 こくん、と頷くローランドを可愛いと思った。いくらαでも皇太子でもローランドはまだ子供の年齢だ。立場上、大人の対応をする必要があったりするので模範的回答は知っている。でも気持ちがついていかないのだ。それでもトータが僕に近い人間でなければ無理矢理我慢もしたのかもしれない。でも実際、トータは僕に近い人間だ……だから甘えたんだよね?ローランドは僕に甘えたんだ。“兄様が助けてくれる”って。

 ……そんな弟を見捨てられるお兄様じゃないよ!

「……じゃぁね、ローランド……君に課題を与えます。」

 将来王様になるローランドに決して忘れないでいてほしい、綺麗に整備された王都にも闇と呼ばれる部分がありそこにも人は存在すること。それを身を持って知ってもらう為、この課題をやり遂げてもらいたい。そしてこれはね、トータを知るため、もし気持ちが変わらないとしたら今後のトータを守る為にも必要な経験……になるかもしれない。

「この国には奴隷は存在しないけど、刑罰労働以外で自分の意思に関係なくそのように扱われている人達が存在します。それについてローランドなりの答えで良いから答えを出して。」

 どういう形でも良いんだよ。考えてみてね。
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