Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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怒るよ!

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 向こうかな?……こっちか?
お怒りモードで気づかれてもかまわないと突き進む。

「ぃや……ゆるして……」

 ほんとにどういうつもり?ここは領主館だし、プライベートスペースの庭なんだよ?それにこんな時間だ。明日は非番か遅番の人?だからといっていいわけじゃないんだけど!……あそこだっ!

「くぉおおおらっ!!」

 出る限りの大声で怒鳴った。
僕が後ろから怒鳴ったせいで攻めていた人がビクンってなって攻められていた人の悲鳴が聞こえたけどゴメンって謝ってる場面じゃない。攻めていた人は慌ててズボン上げようとしてるけどもう君のお尻見ちゃったもんね。
 ……そして、気づいた。僕に気づいて泣き出したのはなんとトータだということに!

「ぅぇ……う…う…ヒック………ノエルさまぁ……ぅっ」

 まさかっ!と思って攻めていた人をカンテラで照らすと……ローランド…。

 まだ元気だったローランドのものは僕とわかった瞬間にしゅぅうと萎んで、てろん状態に。僕の一言が心を抉ると解っていても言わずにはいられなかった。

「……半ケツの獣が自分の弟だったとは……情けなくて涙も出ない。」

 チラッとローランドを見ると真っ青の顔でズボンをあげる事も忘れてるからなんとも情けない格好だけどあえてそのまま。トータを見るとシャツはちぎれてるしボタンは飛んでどこかにいっちゃってるようだし……ズボンと下着は見当たらない。手首には赤く指の後がついてる。そしてこの泣き方は…同意では無さそうだ。

 そっと背中をさすってやると「ノエルさまぁ~」って泣きついてきた。幸か不幸か、育った場所の環境のため大打撃的なショックになってはいないけど嫌だったことに違いは無さそうだ。肩にかけてきた僕のスカーフでトータの下肢を覆う。
 とにかくここではトータを洗ってあげる事も手当てしてやることも出来ない。誰か呼ぶ訳にもいかず、そこのクズ弟に運ばせる訳にもいかないので、支えて歩けるようであればと思い「立てる?」とトータに聞いたとき、爺の声が響いた。

「ノエル様!そこにいらっしゃるのですね!」

 ビクッと体を緊張させるローランドに対してトータは体の力が抜けたようだ。ガクンと僕の方に体重がかかったので見てみるとトータは気を失っていた。爺の他にも人の気配がしたのでちょっと慌てる。

「爺以外の人はちょっとそこでストップ!悪いけど爺だけ来て。誰かお医者さんを僕の部屋に寄越してあとの人はそこで待機。」

 こちらに来た爺はこの状況から全てが解ったようで低く静かな声でローランドに洋服を整えるように言った。そしてローランドの洋服をチェックすると部屋に戻り眠らせるようにと、今は爺の手足となっているザサに指示しローランドに付いて行かせた。そして僕に凭れているトータを自分のジャケットで包んで抱えると僕に爺の前を歩いてほしいと言った。

 爺と一緒に来た人達に東屋のランプを全て消して来てと頼み、爺と部屋に戻った。僕は怒りと哀しみと情けないのとトータに申し訳ないのと……いろんな気分でもうごちゃごちゃだった。
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