Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お兄ちゃんの目を見なさい

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 「どうしてあんなことしたの。」

 朝食を終わらせてローランドの様子を聞くとやっぱり一睡も出来なかったと報告が来た。そうだろうね。眠るように言って帰してはいたけど眠れる訳無いよね。もしここで、良くお眠りでしたなんて報告されたら頭がおかしくなったのかと思うところだ。眠れてないし精神的に落ち込んでいるとの報告に、ならば早めに聞き出そうと思いローランドの部屋を訪ねた。そして憔悴するローランドに僕が最初の言葉をかけたところだ。

「…本当に、申し訳ない事をしました。」

 うなだれて眉をよせてずっと地面を見ているローランドからはいつもの明るさはない。

「僕は以前ローランドに課題を出していたよね?
“刑罰労働以外で自分の意思に関係なく労働を強いられる人達がいる。自分なりの答えを出しなさい。” 確かそう言ったと思うけど、覚えている?」

「……はい。覚えています。兄上の仰ったそれについて自分のなりに調べました。初めはなぜそんな事をとわかりませんでしたが……トータは当にそういう場所にいたのですね。」

 ……それを知ったのに?……僕の中は怒りとも哀しみとも違う感情がグルグル回っている。……なんというのだろうね、「知ったのになぜ?!」と問いただしたい。

「自分の意思に関係なくそんな事を強いられていたトータをどう思った?今もまだ同じような人が居るだろうし、どうしなければいけないと思った?」 

 なるべく僕自信の感情は抑えて淡々と聞いていく。幼い子供に諭すようにゆっくりと道をひきながら聞いていかなくてはならない。そうでないと謝るばかりで心の奥底に眠るローランドの本当の動機を引き出せない。自分では自覚していない思いが瞬間的に吹き上がり、体を動かしてしまう事もあるからだ。

「……トータのおかれていた状況は、信じられませんでした。自分の仕事の便宜を図ってもらうために人を所有しどんな接待にも応じさせる。許されない事だと思いました。」

「どういう環境で、どういう様に働かされていたかもわかってる?」

 何人もが1部屋に集めて暮らさせ、食事は1日に2回のみ。それも充分の量はないから常にお腹はすいている。客に対して性的な接待があるため比較的綺麗にはされているけど水でしか洗えないし、洗い場が用意されている訳でもなので川や井戸のところで衝立もない場所で洗うのを余儀なくされ、その結果全く関係ないαやβに襲われる事もあるという。そしてそれらを拒否したり逃げようとして見つかると酷い折檻を受けるという。
 トータが僕と初めてあったとき、「チャンスは限られている」と言った。まさにトータはあの時にしかチャンスはなかったんだ。

「……解りました。……解ってはいるのです。だけど、…………私は……私は!兄上の様にはなれないっ!!」

 びっくりした!いきなり大声出すんだもん。…じゃなくて……何?なんでいきなり僕?僕関係ないじゃない?…兄上の様にはなれないって、そもそもαなんだからΩの僕のようになる必要がないでしょ?
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