Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ノエルの計画

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 コンコンとノックの音と同時にドアが開いてトータが入ってきた。……焦ってるねぇ。オタオタと言いたいのに言葉が出て来ない様子が可愛い。とりあえず僕の横に座らせて、お茶を飲ませて…待つ。ふぅーと一息つくとようやく言葉が出た。

「……ローランド様、帰都って……。」

「ああ、それね。僕も聞いたばかりなんでちょっと行って聞いて来るよ。」


 ……というわけでローランドの部屋まで来ました。中では母様に叱られたせいか涙目のローランド……って…なんで兵士まで泣いた跡があるの?そんなに母様怖かったの!?

「母様……。」

 僕がじっと母様を見つめると「違うのよ?違うのよ!?」と慌てたように言う。怪しい……。父様のようにフェロモンぶつけて無いとは思うけど、ダメですからね?

「母様、ローランドの帰都という話を聞いたので伺いました。」

「ええ……このような問題を起こした以上、帰都させなければなりません。ここでの経験は非常に大きいと思いこさせましたから、とても残念です。」

 うーん、僕としてはもう少し居てほしいと思っている。っていうか帰しちゃいけない。

「母様、それでは無責任です。トータは発情期でないとはいえΩです。妊娠の可能性がある以上、確認がとれるまで居てもらわないと。もしもの時は非公式でも認知してもらい、それなりの対応が必要です。」

「……ええ。でもねノエル……」

 ……うん。わかるよ?皇太子のスキャンダルに繋がるし、最悪トータが妊娠、生まれた子がαとなればややこしくなる。トータはすでに子持ちだし、そこら辺の関係もあるから。でもね、それがローランドのした事だから有耶無耶にはしない。もしかしたら貴族社会ではこういう様に一般の人を扱っているのが普通だとしても僕の目の前でおこったこの事は僕を納得させないとすまさない。

 母様にそう言うと、母様もローランドも今まで見たこともない面目を無くすという言葉そのものの顔になった。
 こんな厳しい事、僕に言わせないでほしいよ。

「さて、どうもローランドは今一つ僕が抱えてる大きなお仕事を理解していないようです。」

 さぁそれはなんでしょう?とローランドを見た。唐突すぎる問題?まぁそうだね。案の定、目を点にしたあと真剣に考える。……はい30秒経過~……はいそろそろ1分になるね~。なんて思っていたら母様まで「わからないわ」と呟く。

「母様まで……。わかってよ~。」

 さりげなく大きいお腹を撫でる。……やっと母様はわかってくれたみたいだ。『ああ!そうね!』と大きく頷いてる。ローランドは困り顔だね。

「ローランドにはまだちょっと早かったかな?ああもぅ、そんな顔しないの。αには……特に男αにはわからないかもしれない。答えはね、子供を生んで育てる事。それ以上に大きくて大事なお仕事は無いんだよ。」

 ポカンとしているローランドの手を僕のお腹に置く。グニーと内側から押してくるのがわかったのか慌てて手を引いた。……そこはちゃんと感動してほしかったよ。何を言いたいのかわからないかな?

「簡単な事だよ。命はとても大事。人1人の人生を活かす事も殺す事もできる僕らの立場をもう一度きちんと見つめなさい。」僕の真剣なこの言葉にローランドは俯いたまま頷いた。
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