Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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やらかした?

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 その名も『頂きへの挑戦~真の勇者よ心意気を示せ!~知能で勝負か肉体でもぎ取るか、我らの勇気を今ここに!』というやけに長い名のある施設。

 元をたどればそれは軍事施設のものだった。90度に近い、高さは人間3人分もある壁。水の上に巡らされた一本橋。木の上から垂らされたロープ。その木から木へ巡らされた空中のロープ。これは兵士の訓練施設だった。
 ある時、この訓練にのめり込む一人の兵士が自宅に同じような物を自作した。その結果、この訓練でずば抜けた成績をだし、花形の部隊に所属された。

 これを知ったある弱小貴族が“この施設を作って有料で解放すれば小銭が稼げる?!”と施設を作った。そうしたらこの施設は大繁盛。これに味をしめて次々と施設を立ち上げた。でも、マンネリ化した施設は人が減っていった。これを知ったあるお節介な老人が“本当にこの施設の発案者本人に教えを受けると良いだろう”と橋渡しをした。
 発案者は老獪な老人の言葉にコロコロと乗せられ手の上でクルクル踊らされ、次々とアイデアを渡した。

 今では3ヶ所の大型巨大施設として存在する。次々と現役の兵士、元兵士、一般の筋力自慢の者。個人での挑戦から、貴族の威信をかけた者、様々いたがこの施設を攻略した際に発行される証書と褒賞金は挑戦者を倍増させた。


 ……ヤバイ。あのポイントの位置は新施設『頂きへの挑戦』シリーズ最高ランクとして建設された『~来たれ鋼の勇者~過去にない試練が今ここに!』がある。
 え?何の話をしているかって?
……ええそうです。公爵が書き込んでいってる内容、ポイントの位置は僕プロデュースの巨大アスレチック施設。つまり“sasu◯e”みたいなものがあるのね。

 公爵の書き込みに“砦”とあるけど正しくは“砦の形のアスレチック施設”。
 父様もこれに関わってるからか頬がヒクッとしてる。アーノルドもローランドも表情が“……あれのせい?”って言ってる。書いてる公爵と辺境伯はよく見ると目が遠いから、やっぱりこの施設が何らかの形で関わっているらしい。
 あ~、やな予感しかしない。


 しばらくすると手をポンポンとはたき、書き込むことは書いたと着席する公爵と立ち上がった辺境伯を見た。辺境伯はぐるりと見渡して口を開いた。

「此方にある地図上をご覧ください。あちらの使者から渡された開戦に至る言い分を分かりやすくしてみました。
 あちらは私達の領に新しい砦が築かれているのが非常に気にかかり、人の出入りが激しいのも気にさわるようですね。しかもここには自国の人間も往き来したがるものの理由をはっきり示さないで往き来している。またその者は急に金回りが良くなったりしていると…。それから度々こちらの国の物語が吟遊詩人によって伝えられているそうです。」

 ~百の知識に百の努力、千の愛を備われた愛し子。陸は山脈を越え谷を跨ぐ、海は遥か彼方の国にまで。大地は愛し子の為に道を築き、風は海をわたり空を飛ぶ風を起こす。~

「一部の抜粋ですが、このような歌詞だそうです。
 此方からしてみれば、砦が築かれていたとしても我が国内の事なのであちらには関係ない事。あちらの人間が来て稼い戻るのも問題ではありません。ましてや理由なんて個人の自由。吟遊詩人の歌の内容なんて娯楽なんですから意味無いでしょうと……言いたい処です。ですが、あちらはどうしても開戦したいようでして、“砦の驚異”がある以上攻めいって来るようですね。」

 そう言って砦とかかれたポイント3ヶ所を指していく。
 確かに国境のある領に作られたけど国境線よりだいぶ内側だ。歩きなら国境線まで丸1日かかるだろう距離になるのに何が問題?

「……ふ…む。私が知っている範囲ではここには砦など無かったし、いきなり3ヶ所もこの数年で建てられぬだろう。」

 何も知らないデジレ様から声があがった。
……誰も何も言わない。答えがないまま下を向く全員を見て提督からご指名があったのはアーノルドだ。

「……ええ…と。」

 非常に言いにくそうに目で王を見ると閥が悪そうにそらされる。ローランドは下を見て目を合わせてもくれない。ノエルは自分の後ろに張り付いて出てこない。ハァとため息をついて仕方なく話す事になった。

「この砦と言われてる物ですが、砦ではありません。木の板を組み合わせて砦と形にした施設なんです。」

「なぜまたその様なものを?」

「……ええ…まぁ。“ノリと雰囲気”らしいです。」

とアーノルドの答えのあと、デジレ様からとーっても低い声で「ノエル様?」と声をかけられた。

 僕がビクッとしてアーノルドに張り付いたままアーノルドを移動させて父様とアーノルドの2人の後ろに隠れたのも無理ないでしょ?
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