Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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アンリ

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 マオが言ったが何を指すのかわからないアンリは「部屋の隅っこでおとなしくお祖父様を見てるから」とか「出来ることがあるなら手伝う」と言う。意味がわかる者にとっては爆弾発言だ。『激しく愛し合う2人をじっと見るアンリ』や、『艦長に媚薬入りジェルを差し出すアンリ』等を想像して……ダメだろう。と結論付ける。


「わかった……とりあえず、コウに話してくる。」

 笑い疲れたマオは助けを呼びにいった。いたずら大好きのマオにとってはそれも有りだったのだが、その後の事を考えるととんでもない怒られ方をしそうなので諦めた。デジレの雷も恐ろしいが一緒に与えられる罰が恐かったからだ。


「……という訳で、コウ来て。」
 密航者の報告を受けたコウは頭を抱えた。過去にも何回か密航者はいた。だからその対応は出来るのだが、今回は素性が素性だ。これが各国から追われている盗賊なら海に投げ込んで終わり…で簡単なのだがそうもいかない。そして通常なら艦長に報告後、判断を仰げば良いのだがタイミングが悪い。
 大きな溜め息が口からもれた。

 コウに甲板へ向かってもらい、念のためにと
艦長室へ来たマオはそっと中の音を聴く。まだ始めてなかったら引っ張り出せないかと思ったからだ。
 声は聞こえない。……いけるか?いや、もうちょっと確かめないと。
 隣の備品室に入って窓を開けて身を乗り出す。落ちれば海なのだが、赤ん坊の頃から船に乗っていたマオにとっては問題ない。艦長室を覗くと……いたいた。……よし!まだ服を着ている。ちょっと乱れてはいるが2人とも部屋の中央にいる。まだ大丈夫!
……多分。

 急いで備品室を飛び出して艦長室のドアをガンガン叩く。無視されないように「密航者~」と言いながら叩いた。
 暫く待つと不機嫌さを隠しもしないデジレがドアを開けてくれた。
 ……額に青筋が……見なかった事にしよう。

「捨てろ」

 言い放ってドアを閉めようとするのを頑張って阻止するのを。両手でドアを掴み爪先を差し込んで「待って待って待って!」と喚いた。

「騒々しい。」

「いや、オレのせいじゃ無いよ。
うるさい原因は密航者だし。その密航者、ノエルの次男だし。」

「……は?」

「デジレ様の孫ちゃん。」

…………………………。

 認めたく無いようだ。デジレ様ばかりか艦長まで反応が止まってしまってる。面白いもん見たなぁと呑気に思っていた。

「……はぁ。
……その馬鹿者を連れてこい。」

 ため息とともに言われた言葉に「はーい」と返して甲板に戻る。マオはこれで一気に問題解決だ~と喜んだ。


 …………今、マオは冷や汗が止まらない。
(連れてこいって言われたから連れて来たんだから、オレ、悪く無い!)
 冷や汗の原因は艦長とデジレの2人のせいだ。

(孫が来るんだからちゃんと直すと思ってたのに……なんで2人ともさっきのままなの?ズボンは履いてるけど上着はないしシャツは裾が出てる…タイもどっかいってるし……シャツのボタンが上3つ開いてるからちょっと色気出ちゃってる。どうしよう。)
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