322 / 708
庭師の見た年越し
しおりを挟む
今年の年越しはいつもより慌ただしい。それはお客様がいるからだ。ノエル様のお友だちのマオ様と保護者?のコウ様が来ている。家出したアンリ様を連れて帰ってくださったのだが、せっかくだからとノエル様が一緒に年越しをしようと残っていただいていた。……王様は速攻で送り返していたが。
何となくだが、うるさ……騒がしくなりそうだ。
「いぇ~!はっぴーにゅーやー!」
「何ソレ。」
「新年、おめでとー!」
「アハハハハ!ノエル呂律回ってないよ~。
もぅ、お酒弱いって本当なんだね。」
しっかりワイングラスを握って赤い顔でケタケタ笑いながら、楽しそうだ。マオは『年またぎでお喋りしよう!』とノエルに誘われたのでコウの荷物からワインを失敬して持ってきたのだが、グラス2杯でこの有り様だった。良いワインらしいので気どってグラスにちょっとしか注いでいないのに……。
「ねぇノエル、大丈夫?今日はずっとお喋りしてようって言ってたのに、寝ないでよ?」
「大丈夫、大丈夫!なないよ!」
「……“なない”ってなんだよ~。じゃあ、ベッドでお喋りしよう~。」
ノエルが頷いたのでワイングラスを外させて部屋に連れていく。コウみたいにお姫様抱っこできれば安全だったんだけどな~と階段下で思っていると、何処からともなく爺が来てヒョイと抱えあげた。ノエルは慣れている爺の抱っこに驚きもせず「爺~」と嬉しそうにまた笑っていた。
ノエルのベッドはとてつもなく大きい。普通のベッドは縦の方が長いのに目の前のベッドは横が長かった。そのベッドを見てマオは悪戯心がムクムクと沸き上がってきた。
「ねぇノエル、オレも一緒に寝ても良いの~?」
「大丈夫~。」
「ふーん。じゃあ、いーっぱいお喋りしようね!
あのね~、オレ前から聞きたいことあったんだけど、悪いかなぁって思って聞けなかった事あるんだけど聞いても良い?」
「何、何?いいよ聞いて?」
広いベッドの中に座り込んでマオの手を引っ張って誘いながら何にも警戒する事なく返事をした。
「本当~?うれし~。
ノエルはアーノルド様とは“運命の番”なんでしょ?」
「うん。」
「アーノルド様とのエッチって気持ちいい?」
……あ、顔がゆでダコみたいになった。モジモジしてるのも可愛い。
「………………うん。」
カワイイハセイギ!
「じゃあさ、じゃあさ、」とマオは質問を続ける。ノエルはモジモジ…テレテレ…としながらも律儀に答えていった。
翌朝、2人で手を繋ぎながら散歩している様子を見て使用人達はホッコリした気持ちになった。
……約2名を除いては。
「マオ!!オレのワイン、知ってるよな?」
「ノエル様、酔うほど飲まれないようにとご注意したはずですよ?」
「エヘヘ~」と笑って誤魔化し、逃げの一手を決めたらしい。庭師団自慢の迷路に逃げ込んだ。庭師団が端正込めて作り上げたこの生け垣の迷路は実は子供の身長くらいのアーケイド等もあるので大人には辛いのだ。
……だけど、気づいてほしかった。出口は1つ。爺やさんとコウ様はその出口の両脇に立ってる。
ノエル様、頭良いくせに時々普通のΩそのものの様なこういうことやらかす。
オレら庭師団は苦笑いしながらプラーンと子猫のように捕まって連行される2人を見送った。
……今年も平和なようだ。
何となくだが、うるさ……騒がしくなりそうだ。
「いぇ~!はっぴーにゅーやー!」
「何ソレ。」
「新年、おめでとー!」
「アハハハハ!ノエル呂律回ってないよ~。
もぅ、お酒弱いって本当なんだね。」
しっかりワイングラスを握って赤い顔でケタケタ笑いながら、楽しそうだ。マオは『年またぎでお喋りしよう!』とノエルに誘われたのでコウの荷物からワインを失敬して持ってきたのだが、グラス2杯でこの有り様だった。良いワインらしいので気どってグラスにちょっとしか注いでいないのに……。
「ねぇノエル、大丈夫?今日はずっとお喋りしてようって言ってたのに、寝ないでよ?」
「大丈夫、大丈夫!なないよ!」
「……“なない”ってなんだよ~。じゃあ、ベッドでお喋りしよう~。」
ノエルが頷いたのでワイングラスを外させて部屋に連れていく。コウみたいにお姫様抱っこできれば安全だったんだけどな~と階段下で思っていると、何処からともなく爺が来てヒョイと抱えあげた。ノエルは慣れている爺の抱っこに驚きもせず「爺~」と嬉しそうにまた笑っていた。
ノエルのベッドはとてつもなく大きい。普通のベッドは縦の方が長いのに目の前のベッドは横が長かった。そのベッドを見てマオは悪戯心がムクムクと沸き上がってきた。
「ねぇノエル、オレも一緒に寝ても良いの~?」
「大丈夫~。」
「ふーん。じゃあ、いーっぱいお喋りしようね!
あのね~、オレ前から聞きたいことあったんだけど、悪いかなぁって思って聞けなかった事あるんだけど聞いても良い?」
「何、何?いいよ聞いて?」
広いベッドの中に座り込んでマオの手を引っ張って誘いながら何にも警戒する事なく返事をした。
「本当~?うれし~。
ノエルはアーノルド様とは“運命の番”なんでしょ?」
「うん。」
「アーノルド様とのエッチって気持ちいい?」
……あ、顔がゆでダコみたいになった。モジモジしてるのも可愛い。
「………………うん。」
カワイイハセイギ!
「じゃあさ、じゃあさ、」とマオは質問を続ける。ノエルはモジモジ…テレテレ…としながらも律儀に答えていった。
翌朝、2人で手を繋ぎながら散歩している様子を見て使用人達はホッコリした気持ちになった。
……約2名を除いては。
「マオ!!オレのワイン、知ってるよな?」
「ノエル様、酔うほど飲まれないようにとご注意したはずですよ?」
「エヘヘ~」と笑って誤魔化し、逃げの一手を決めたらしい。庭師団自慢の迷路に逃げ込んだ。庭師団が端正込めて作り上げたこの生け垣の迷路は実は子供の身長くらいのアーケイド等もあるので大人には辛いのだ。
……だけど、気づいてほしかった。出口は1つ。爺やさんとコウ様はその出口の両脇に立ってる。
ノエル様、頭良いくせに時々普通のΩそのものの様なこういうことやらかす。
オレら庭師団は苦笑いしながらプラーンと子猫のように捕まって連行される2人を見送った。
……今年も平和なようだ。
75
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる