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生徒の為に!
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ある日、またもや唐突な思いつきで寄宿舎にやって来ました。
最初の頃に比べると立派になった校舎と寄宿舎に『良し良し…ウフフ』と納得していた筈がちょっと気になる所を見つけると直したくなる。
「ここの柵が弛いね。……ここも。……そこもだね。この一面が一帯で?」
ここはΩの皆の安全地域と見学通路との境目だ。一瞬、考えたが以前に見た見学者の様子を思い出して納得してしまった。
ここに来る見学者の中には紹介状を持ったαが来ることがある。理由はもちろん自分の『運命』を探しに。僕が同行した人はアーノルドの学友で信頼のおける貴族…伯爵家の後継者だった。最初の挨拶や食事中の話などから(生徒の中でこの人の運命が居れば、安心して送り出せそうだ。)と思った人ですら柵にかぶり付きで必至だった。
まぁ、この人は本当に運命が居たので、余計に必至だったのかもしれないけど、見学者のαがもし全員あんな様子だったとしたら…もっと丈夫な柵にしよう。うん、そうしよう。
柵の修理を僕の後ろをついて来ている学校関係者に指示していたとき、生徒がよってきた。「ノエル様こんにちは」と挨拶したあと、お願いがあるのですと言ってきた。
「うーん……。でき…な…く…は……ない?うーん。難しいけど……キミ達は望んでいると。
そうだねぇ……。わかった!なんとか考えてみよう!」
悩みに悩んだあと、そう返事をすると嬉しそうに笑って「ホントに!?ありがとう!」と笑いながら戻って行く。そーかそーか。そんなに楽しみか。それなら叶えてあげなきゃね~。
そして館に帰り、僕から皆に伝えた言葉は爆弾だったようだ。
「どーして、ちょっと散歩に行ったらそんな事になるんですか!」
「ノエル様、最近ちょっとおとなしいと思ったまたそんな思いつきを……。」
「それ……確実にお子様達も巻き込みますよね?」
「…誰か……爺やさん呼んできて!」
そんなに大変な事言ったかな?僕は『番を探す為のパーティーを開きます。』と言っただけなのに。
僕の一言で、回りに居た侍女頭さん、執事のザサ、ベテラン侍女さん達から散々に言われていたら爺まで呼ばれて来たよ。
「ノエル様。最初からご説明ください。何があってそうなったんですか?」
ため息をつきながら言わなくてもいいじゃない?
「寄宿学校の生徒から要望があったんだよ。“年頃になった生徒に出会いが欲しい”って。確かに、あそこはΩの安全のために出入りが厳しいから出会いは無いじゃない?だからその機会を作ってあげたいけど、安全も確保したい。ついでに貴族αの方々からお願いされてる見学希望の案件を処理したい。それから」
「解りました。色々と一緒に片付ける方法が“お見合いパーティー”なのですね?」
……ん?お見合いパーティー?……それはちょっと言い過ぎ?あ。でも、貴族のαとΩの生徒を会わせるのだからそうなる?……まぁそうだね。それで良いや。
僕はニッコリと笑って頷いた。
そーだ!久しぶりにトータとマオも誘って来てもらおう。楽しそう!
・・・・・・・
最後の呟きを耳にした侍女Aは思わずニンマリと笑った。ノエル、トータ、マオの会話は大好物!気のよく利く侍女を演じながら自分の楽しみのためにトータとマオに連絡をだした。絶対に2人とも来るだろうと思うが、念の為に2人の保護者にもお願いの連絡を。
そして侍女Aから侍女Bへとこの話が伝わり、また侍女Bから侍女C,D,Eへと伝わって、侍女達の間にニンマリとした微笑みが広がっていった。
最初の頃に比べると立派になった校舎と寄宿舎に『良し良し…ウフフ』と納得していた筈がちょっと気になる所を見つけると直したくなる。
「ここの柵が弛いね。……ここも。……そこもだね。この一面が一帯で?」
ここはΩの皆の安全地域と見学通路との境目だ。一瞬、考えたが以前に見た見学者の様子を思い出して納得してしまった。
ここに来る見学者の中には紹介状を持ったαが来ることがある。理由はもちろん自分の『運命』を探しに。僕が同行した人はアーノルドの学友で信頼のおける貴族…伯爵家の後継者だった。最初の挨拶や食事中の話などから(生徒の中でこの人の運命が居れば、安心して送り出せそうだ。)と思った人ですら柵にかぶり付きで必至だった。
まぁ、この人は本当に運命が居たので、余計に必至だったのかもしれないけど、見学者のαがもし全員あんな様子だったとしたら…もっと丈夫な柵にしよう。うん、そうしよう。
柵の修理を僕の後ろをついて来ている学校関係者に指示していたとき、生徒がよってきた。「ノエル様こんにちは」と挨拶したあと、お願いがあるのですと言ってきた。
「うーん……。でき…な…く…は……ない?うーん。難しいけど……キミ達は望んでいると。
そうだねぇ……。わかった!なんとか考えてみよう!」
悩みに悩んだあと、そう返事をすると嬉しそうに笑って「ホントに!?ありがとう!」と笑いながら戻って行く。そーかそーか。そんなに楽しみか。それなら叶えてあげなきゃね~。
そして館に帰り、僕から皆に伝えた言葉は爆弾だったようだ。
「どーして、ちょっと散歩に行ったらそんな事になるんですか!」
「ノエル様、最近ちょっとおとなしいと思ったまたそんな思いつきを……。」
「それ……確実にお子様達も巻き込みますよね?」
「…誰か……爺やさん呼んできて!」
そんなに大変な事言ったかな?僕は『番を探す為のパーティーを開きます。』と言っただけなのに。
僕の一言で、回りに居た侍女頭さん、執事のザサ、ベテラン侍女さん達から散々に言われていたら爺まで呼ばれて来たよ。
「ノエル様。最初からご説明ください。何があってそうなったんですか?」
ため息をつきながら言わなくてもいいじゃない?
「寄宿学校の生徒から要望があったんだよ。“年頃になった生徒に出会いが欲しい”って。確かに、あそこはΩの安全のために出入りが厳しいから出会いは無いじゃない?だからその機会を作ってあげたいけど、安全も確保したい。ついでに貴族αの方々からお願いされてる見学希望の案件を処理したい。それから」
「解りました。色々と一緒に片付ける方法が“お見合いパーティー”なのですね?」
……ん?お見合いパーティー?……それはちょっと言い過ぎ?あ。でも、貴族のαとΩの生徒を会わせるのだからそうなる?……まぁそうだね。それで良いや。
僕はニッコリと笑って頷いた。
そーだ!久しぶりにトータとマオも誘って来てもらおう。楽しそう!
・・・・・・・
最後の呟きを耳にした侍女Aは思わずニンマリと笑った。ノエル、トータ、マオの会話は大好物!気のよく利く侍女を演じながら自分の楽しみのためにトータとマオに連絡をだした。絶対に2人とも来るだろうと思うが、念の為に2人の保護者にもお願いの連絡を。
そして侍女Aから侍女Bへとこの話が伝わり、また侍女Bから侍女C,D,Eへと伝わって、侍女達の間にニンマリとした微笑みが広がっていった。
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