Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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必死なα

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 スサエナ領がΩの楽園と言われ始めたのはつい最近の事だ。Ωの子ばかりを集めた寄宿学校は最初「何をとち狂った事をやってる」と言われた。αが集まる学校は各国にあり優秀な人材を育てるというのはわかるが、わざわざ劣る者を集めるというので穿った見方をされた。「自分がΩだから仲間を集めたのだろう」とか「Ωの体でαを釣るつもりだ」というひどい悪意ある言われかたをした。

 それに対して領主であるノエルは「そーですよ?僕がΩだからΩの子を集めますよ?何かおかしいですか?」と平然とした答えを返したものだった。
 この返しに「数年後、使えないΩで溢れてどうしようもなくなるぞ」と笑った者達は今どう思っているのだろうか。
 今現在、スサエナ領はΩは確かに増えているが優秀なΩも増えている。

「教えてないから知らないだけでしょうが。αだってβだって知らないことあるでしょ?Ωに教えても無駄だと言って教えてないんだから知るはずないでしょ。バカなの?」

 とこの領主は答える。
 実際、寄宿学校の生徒達は読み書き計算を覚え更に自分の得意とするものを持つ者もいる。そしてある程度のマナーを学んでいて健康。
 こんなΩがどこの地域よりも多くまとまって安全に生活しているとなれば是非にもと入学させたがる親も増えた。もちろん各地から自力でたどり着く者も多い。そしてこれを見逃すαはいない。

単語寄宿学校の生徒達うちの子たちは大事に大事にしてるんです。下手な人には絶対に会わせません!」

 理事長であり領主である最高権力者はそういって鉄壁ガードを強いた。見学は信用ある人の紹介がなければできずそれも順番待ち、αは焦れた。
 そんなところに神の声お見合いが聞こえて来た。なりふり構わず最高のコネを使ってでもお見合いパーティーに参加したかった。

 自分の父は男爵、貴族といえども決して高い身分ではない。しかも次男なので爵位はない。しかし参加者の条件には身分はなかった。どうにかして……と思ったときアレ?と気づいた。(自分、最高のツテ有るじゃん?なんなら実際会ってるし、直に手紙は駄目だろうけどアーノルドアルに出そう。)


・・・・・・・
 領主館にて
 
 ……紹介状はアーノルドからだ。アーノルドは今まで誰の事も推して来なかったのに珍しいなぁ。
ガサガサと開くともう一つ手紙が入っていた。綺麗な便箋だ。全体が薄い水色で所々に貝殻模様が透かしで入ってる。

『お久しぶりでございます。私をご記憶でしょうか、シモン様の御披露目の時にお会い致しました。あの時以来お会いすることは叶いませんがご活躍は伺っております。ご家族の皆様お元気の由、幸いにございます。』
 
 おぉぉ~、シモンの御披露目って懐かしい~。この時会った人?とクルリと便箋をひっくり返すとマイル男爵家次男カシスとある。
 はいはいはい!思い出した!アーノルドの悪友4人の中の1人だ。
 
 リストの中から探し出し名前の所にポンっと許可の判子。ちょっと年齢は離れてるけど人柄は良かったからねぇ。会うのが楽しみだ。
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