Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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侍女は見てしまった

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 グリフウッド領の領主に使えてそろそろ7年になる侍女は客室でお客様のお世話するのが仕事だ。若いとも言えないがまだ中年というにも早い、微妙な年齢。お客様によっては部屋付きの侍女に手を出す人もいるので若すぎる侍女はまだお客様の前には出されない。そのせいもあって部屋付きになってからはまだ2年目だ。

「さぁこれが終わったら最後のお部屋だわ!」

 部屋の主が仕事で出ている間に掃除にとりかかる。次の部屋の掃除に入る前に気合いを入れ直しておかなければ初日にように唖然として固まってしまうだろう。

 前グリフウッド領主だというデジレが国益のためにフールフーガの提督に嫁いだと言う話は一般市民も知っている。そのデジレが提督と一緒に滞在するお世話を言いつけられ、誇らしい気持ちで仕事にあたった。出迎えた自分達にも優しく穏やかであり、提督と話す横顔は美しくも凛々しい。連れてきた部下への指示も丁寧でとても好感をもてた。

 部屋へ案内し、休息のためのお茶を出す。疲れの見てとれる様子に甘いものを沿えると気が利くと褒められ、密かに喜んでいると待機中に提督との会話が耳に入る。

「ノエル殿が倒れたそうだ。マオが面倒をかけたようだし見舞いに行って様子を見てくる。」

「そうだな、手間だが大丈夫なようなら私を呼んでくれ。いきなり私が行ってはかなわないだろうが貴方ならばよいだろう。最近の状況では休む暇もなかっただろうし倒れるの無理はない。」

「ああ、体力的には好く持った方だろう。何せあの方はΩなのだから……。」

 デジレがお部屋から出られると、提督は一眠りすると言ってテラスの長椅子で休んだ。暫くして呼ばれた提督は、「どのくらいかかるかわからないので皆下がって良い。用事があれば呼ぶ。」と言って使用人を全員下げさせた。

 待機していた侍女も下がり、そのままその日の仕事は終わった。



 翌朝、身支度を整え客室までいくとどうやら部屋の主は遅くに戻って来たようで部屋には酒の瓶が2本あった。見慣れない銘柄に、主たちが自ら持ち込んだものだとわかり、好みのようならば滞在中は用意するべきだと判断して執事の一人に報告する。

 戻ると提督が起きていたので朝食の用意を訪ねて持ってきた。
 カラリ、カラリとワゴンを押して入ると誰もいない。用意を済ませても戻ってこない。

「そんなに笑うことではない。」

 寝室の方からデジレの声がしたのでそっと伺って見ると……驚きで固まってしまった。
 裸の上半身にはいくつもの鬱血があり、明らかにキスマークだとわかる。立ち上がろうにも腰が立たないのか終いには提督が抱き上げていた。
 その後も出てくる気配などなくイチャイチャしだした提督はデジレを押し倒して声をあげさせる。
デジレの声に艶が出てきた辺りで自主的に部屋から下がり、言葉を濁して執事に報告。これで後の事はこの執事が取り計らってくれる。

 ……執事から連絡が来た。客室係を呼んでいると。まさか覗き見がばれて怒られるのかとヒヤヒヤして行くとただの掃除を言いつかったのだが……ベッドの上の生々しさが……。α同士の営みは……。
 あまりの有り様に硬直した瞬間だった。
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