Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お婆様だ!

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「サミュエル様、ありがとうございます。」

 用意された席に案内されて行くとサミュエル様が寛いでお茶を飲んでいた。

「ノエル様、お呼びしてご迷惑ではありませんでしたか?」

「とんでもない、いきなり大勢の人でびっくりしてしまっていたので。」

 迷惑なんかじゃないとわかっていても一応のやり取りは済ませて二人で笑い合う。
あ~、このサミュエル様のまったり具合は癒しだわ。

「サミュエル、こちらにお呼びしたと聞いて……。」

 ほっこりしてるところに上品な白髪のご婦人が訪ねてきた。そして僕の顔を見るといきなりウルウルと目を潤ませて優しく笑い、「お婆様よ。」と言った。
 もうこの一言で僕もわかった。このご婦人が母様を産んだ母親。僕の本当のお婆様だ。
 お婆様は……じゃないか、僕はお婆様似だとわかった。このブルーグレーの瞳の色もだけど、目鼻顎ラインたぶん若い頃は茶髪だろう。

「はじめまして…ノエルです。」

 本当ならもっとハキハキと立派な挨拶をするべきなんだろうけど、僕はお婆様に目が釘付けになってしまい呟くような挨拶になった。

「えぇ、ノエルね?あなたは私にとてもよく似てるのね?」

 お互いゆっくり近づき、お婆様が伸ばした手をとるとお婆様の目から涙が零れた。どんな意味の涙なのかなんて想像つかないけどお婆様は泣きながらも笑っていたので会えて良かったのだと思う。

「ノエル様、おば様は今日、難としても貴方に会いたいって言ってらしたんです。」

 此方へどうぞとお婆様と僕を3人かけのソファーに誘導したサミュエル様はとても嬉しそうに笑った。

「ええ、この夜会ならきっと来てくれると思ったのよ。人を介してなんとかあの子に連絡をつけたの。」

 お婆様の言う“あの子”とはおそらく母様の事だろう。この言い方だとお婆様は母様と会うのはひっそりと会うしかないのだろうか。僕は自分がシモンをはじめとする4人の子供に堂々と会えないと思うととても悲しい。お婆様はそんな悲しい思いをしているのだろうかと心配になった。だからお婆様に「母様とは?」と小さな声で聞いた。

「あらあら、賢い子ね。」と僕の頭を撫でる。

「大丈夫よ。母とは呼んでもらえずとも会う事も話すこともできるわ。公の場では私は『シグルーン女公爵』とよんでね。」

「……シグルーン?って確か戦女神のお名前じゃ?」

「そうよ。だって私、セオの前の海軍提督よ?あら?あの子は言ってなかったのね。」

 ……僕の頭はこの2日でいっぱいいっぱいです。情情報過多につき停止します……プシュー。

「おば様、あの……ノエルもΩですので……一気に言われても……。」

 サミュエル様の助け船がありがたい。考える事を放棄したい頭のままお婆様の方を見るとお婆様は穏やかに「ごめんなさいね」とだけいって僕の頭を撫でた。

「さぁ、今度はノエルからね?あなたの事をおしえてちょうだい。」

 僕と目を会わせたまま僕の手を握る。お婆様は薄紫のドレスに合わせたレースの手袋を着けていたけどとても暖かい手をしていた。
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