Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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お婆様とお話し

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「……まぁ、そうなのね。本当にその様な施設を?」
 
 僕の街の中央市場の話をしたときのお婆様の驚きが面白い。言葉はそんなに驚いてないのに目が『行ってみたい!』と言ってる。中央市場は常設のスペースとフリーマーケットのように短期間貸し出し場を分けていると言うと、この街にもそういう場が欲しいと言っていた。港の方では乗ってきた船の側でちょっとそういう店が有るらしいのだが、なんせあの高低差。年寄りにはキツイそうだ。……大丈夫、僕もキツイから。


「まぁ!!もっともっと甘えなさい!」

 これは僕がアーノルドとの事を話した時のお婆様のお答え。『αの番から見ればノエルは甘え足りない!』とか。けっこうわがまま言い放題で、あの距離を月に2回はお泊まり付で往復させてるんですけどね?
それから弟であるローランドの話。でもお婆様いわく、「城で会ったけどやっぱりαなのよね。番さんと一緒だったせいか牽制がキツくって……。」と。
…実のお婆様相手に何やってんのローランド。


「お婆様、この旅には僕の子供たちも3人います。長男のシモンはお留守番でこれなかったけれど、近いうちに会ってやっていただけませんか?」

 そして僕がなぜこの旅に来たのかと訳を話すとお婆様は悲しそうに眉を寄せた。

「……そうなの。セオの養子にと。……その為にノエルは哀しんだのね?」

「はい。でも考えてみれば血筋的には無理もない話です。あの話を知ればこの話も理解できます。」
 
 母様の本当の生まれを知ってしまえば尚更だ。それに加えて本人の父親側の祖父が養母となるのだから問題は少ないというところだろう。……実母である僕には問題大有りだけど。
 それに加え、本人の性質だが……おそらく他の兄弟よりも活発で狭い世界を嫌いそうだ。

 さすがにアンリが遭遇してしまった船の中の提督とデジレの情事目撃事件は伏せたが、家出して船に乗り込み、見つかって送り返されたという事もお婆様は知っていた。僕はそのアンリの性格も踏まえた上でこの旅で色々と考えているとはなした。

「お婆様、この国の事を教えて下さい。」

 本で知る情報ではない事を僕は知りたい。サミュエル様やマオ達から聞く情報もだけど、お婆様は僕の知りたい情報をくれるかもしれない。

「ええ、ノエル。子供を手放す辛さは私はよく知ってるわ。だから色々話しましょう?」

 お婆様は僕の心のモヤモヤを汲み取ってくれた。そしてあまり長居すると目立つのでと席を立つ。去り際に明日、会う約束をして出ていった。
 お婆様と入れ違いに母様がやってくる。二人がすれ違い様にさりげなく手を合わせたのを見て、お婆様と母様はああやってお互い気遣っていると知らせてるとわかりちょっと嬉しくなった。……だってよく『親子の絆が絶たれるわけじゃない』っていう慰めが本当だと今、見たから。

 それからの夜会はサミュエル様と一緒に休憩スペースに引っ込み、ゆっくりと過ごした。
 うん、夜会での過ごし方として間違ってるのは知ってる。
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