Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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リリー目線

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 お母様は昨日の夜会から帰ってきて嬉しそう。今朝、朝ごはんのときに「提督のお母様がいらっしゃるよ。」と言っていたからその方と会うのが嬉しいのだろう。でも私たちに「お婆様とよんであげてね」と言っていた。聞いたらもうご老人のご婦人なのでそう呼ばれたいという事なのだけど……多分、何かの大人の事情ね。そんな雰囲気だったわ。


 お会いしたお婆様は、お母様に似ていた。私は『やっぱり大人の事情』って思ったけど、子供の私は知らない方が良いのだろう。だってお母様は私には難しいお話しもよくする。私はお祖母様のお気に入りだから成人したら王族入りするだろうから何でも聞いておいた方が良いって言って教えてくれるのだ。でもそのお母様が言わないのなら知らなくて良い事なのだろう。

 お婆様は私と弟のエンジュを見たら凄いスピードで側に来てくれた。お婆様を案内してお庭に一緒に来たお母様はお婆様の速さについてこれず慌てて走って来たくらい。

「まぁぁぁぁ!!なんて可愛いのぉぉ!!」

 お祖母様(お母様のお母様)の趣味で今日の私は真っ白のエプロンドレスに真っ白のボンネットをかぶって真っ白のペチコートに靴下に靴と真っ白白なんだけど、このお婆様も好みみたい。それにお祖母様と同じ叫び……考えないでおこう。
 それにしてもこのお婆様は力があるらしい。お母様は私とエンジュを両方一片に抱えることが出来ないけどお婆様は私もエンジュも腕に抱いてクルクル回っている。……そろそろ目が回るわ。

 お婆様のクルクルはエンジュがギャーーと泣いた事で終わった。エンジュにとっては怖かったのかもしれない。だって知らない人にお母様の抱っこよりも高い位置でクルクルされたんだもの。

「お婆様、花かんむり作って遊びましょ?」

 お母様が泣き止まないエンジュに右往左往してるからお客様であるお婆様のお相手は私のお仕事だ。お婆様はシンプルなモスグリーンのドレスだからピンクの花かんむりを作ってあげた。本当なら白い小花も編み込んで豪華にしたかったけど。ここには同じ大きさのお花しかないからしょうがない。

「リリーはとても上手に花かんむりを作るのね?」

 作ってあげた花かんむりをかぶってお婆様が誉めてくれる。嬉しくてお母様に教わったこと、お祖父様もお祖母様も花かんむりが好きだといってくれる事をはなした。

・・・・・・・・・

 癇癪をおこしたエンジュを宥めてリリーのところに戻るとお婆様と一緒に花かんむりを作っていた。何を話していたのか聞き取れなかったけれどお婆様はとても幸せそうに笑っている。

 「ノエル様、義母はあんなに笑うのは久しぶりに見ました。お会いしていただいて感謝いたします。」

 いつの間にか後ろに来ていたデジレ様はお婆様を義母と呼ぶ。まぁ、提督のお母様なんだから立場上そうなんだけど、最近ここの血筋関係を知ったのでなんだか頭がごちゃごちゃしてきたよ。
 素直にそう言うとデジレ様も知った時は頭を抱えたそうだ。

「まぁ、そんなときにナンですが……アンリが此方に来たときは背景も含め全て教えますのでご了承下さい。」

 ……そーだよね。当然知らせるよね?でもあの子、また爆発しないかな?
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