Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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さぁ次の航海へ

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 お婆様はそれから二日間リリーとエンジュの側にいた。リリーは何も言ってないのに何かを勘づいたらしく母様の話をよくしてはお婆様を喜ばせていた。「このお洋服はお揃いなのよ」とか「お船ではお祖母様のお部屋に泊まるの」とか。その度にお婆様はニコニコと笑い、「リリーの事が大好きなのね」と答えていた。

 そして今日の昼、このフールフーガを発ちます。……だけどね、サミュエル様が凄く悲しんで泣き暮らしていると聞いたので一つ、約束をしてしまった。『南からの帰りにまた来るから』と。だから、荷物を少し残して出港することになりその為の荷造りで爺はまた忙しそうだ。ごめんね爺。

「ノエル~、持ってきたよ。この部屋に置いておくんだね?」

 トータがローランドの分と纏めて置いていく荷物を持ってきた。両手を広げたくらいの大きな木箱を侍従の人が二人一組になって6個も運び込んできた。

「こんなにあったの?!」

「そうなんだよ。ローランドが海を渡った北国の焼き物文化にのめり込んじゃって。半分以上が陶磁器なの。割れ物だから梱包材が多くて。」

 ああ、透かし彫りになってる壺に惚れ込んだと聞いたけど、アレなのね。まぁなんと厄介な物に惚れ込んことだ。

「ナンならここら辺のは別便で送っとこうか?」

 突然窓から現れたマオとコウがそう提案してくれた。

「窓から入らないでよ。子供たちが真似したらどうするの。……別便はありがたいな。」

「リリーはそんなことしないし、エンジュはまだ無理。アンリがやるなら……出来るんかな?」

「ああ悪い。ノエル様の方のも別便で送るか?アーノルド様の屋敷保管なら問題無いだろ?」

 コウは一応謝ったけどマオはどうでも良いらしい。マオはまたやるな。

「そーだね、じゃあ頼んで良い?明後日だっけ?交易に出るの。」

「ああ、この箱10や20くらいならいいから。爺やさん伝えてもらえますか…ってもういない。」

「爺は行動早いよ~。居残り組の侍女さんに話にいったんだと思う。」

 サミュエル様との約束でもう一度寄港することになったので母様の侍女の数名が里帰りする為に居残る事になっていた。寄った時に回収していけば良いからって、年寄りの親のいる人や兄妹の中で結婚した知らせのあった人5人が居残る。

 そうそう、密かに僕が一目惚れして土産物屋で買ったぬいぐるみは持っていかないと。爺に荷造りされないようにね。


 あの階段の下りはヤバイ!めっちゃ恐い!僕とトータは安定の抱っこになったのはもちろん、見送りに来たサミュエル様も護衛に抱えられてヘロヘロだった。下がね、見えるのよ。(これ落ちたらヤバいヤツ)って思ったら足すくんじゃって、思わずサミュエル様と話をしていたトータに言っちゃって……3人で『無理!』って言った。
 サミュエル様に「貴方は地元民じゃん」って突っ込んだら「外出ないもん」って返されて笑ってたけど、降りてる間は3人とも口も開けなかった。

 そんなグダグダを経ての船への乗り込みはやっぱりまたもやグダグダに。せっかく感動的に出港したかったのに、トータが忘れ物してたり僕が甲板にいられなかったりと忙しない出港になった。
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