Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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燻製の臭いは翌日もついてまわります。

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 今日は皆寝坊している。昨日、遅くまで例の燻製でお酒を楽しんでいたからだろう。あ、僕はちゃんといつも通りね。アーノルドに抱えてもらって寝てたから特に眠くもなく、飲みすぎての二日酔いにもなっていない。
 さてと……今日の予定は?

 予定表を見ると『お仕事斡旋場見学』とあった。そうだったそうだった。デジレ様のご要望で絨毯製作所に行こうと思ったんだけど、二つの理由でダメだったから代わりに提案したんだった。
 ダメだった理由は主に働く人が年齢の高い昔からここに住んでいたΩの人が多いという事。それと、そのΩの人が昔αの人に与えられた仕打ちが忘れられず、αを前にすると怯えてしまうから。

 まぁ、最初にΩの人向けの救済仕事として用意した仕事なので救済処置が必要な人を優先的にとっていたからここにそういう人が集まった訳なんだけど。思いもよらず製作した物が特産品になってしまったので見学希望は他にもあるのだけど……辛いところだ。もちろん第二、第三製作所も有るのだけどそこも似たような感じなので『じゃあアッチを見学』とはできないのだ。
 だからちゃんと理由を話してお仕事斡旋場で見習いさんの見学にさせてもらった。

 
 「……ノエル様?いったい、ここはなんでしょう?」

 目が点になっている珍しいデジレ様に僕は「養成場です。」と答えた。
 ここは中心部から結構離れた職業養成場だ。大まかに事務系、専門職1、専門職2と分けて建物をわけています。相変わらず事務系はあまり人気ないけど最近は幼い頃から学校に通った人が大人になって来たのでこれからだろう。目的の絨毯製作は専門職1の建物にある。

 大きな織り機を入れる都合上1階にある絨毯製作者養成教室にぞろぞろと入って行く。今日は特別に数人の生徒のみがいるがいつもは満員だ。
 校長が案内人になったが緊張で録に喋れずトータが代わって説明しているね。
 ……びっくりでしょう?あのトータがだよ?なぜかトータは思いもよらないところで色々発揮するよね。まぁでもここはまだトータがローランドに王都に連れていかれる前に関わっていたから結構知っていても不思議はないんだけど。

 「……で、この白い糸をあちらの釜で染色するんです。色はその時の気温や水温でも変わるので使う分は纏めて染めます。」

 ……本当は研究して同じ色になるようにするべきなんだろうけど、どうやらそれがまた良いらしい。だから同じものがないのだ。


 「あのような施設を作っていたとは……。」

 案内後のお茶の時間僕は陛下から感心しきりに誉められて大変満足です。だって大抵『やり過ぎ、回りと足並みあわせて、』等のご注意の方が多いからだ。まぁ、理由はわかるけど。だってこういうのって王様もしくは皇太子の旗振りの方が良いもんね?でも、僕ですから!諦めて?
 ついでにカドラさんを講師に講習を開く予定もあるとついペロッと言っちゃって質問攻めにあった。
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