537 / 708
準備は大変
しおりを挟む
サミュエル主催となれば本来ならばこの国の貴族はこぞって参加をしたがるだろう。ただの好奇心だったりならばまだ良いけどフールフーガの王族と個人的に仲良くなりたい等という下心がある者も多いはずだから参加者はごく限られた人が良い。そこで僕らがΩだという点を利用しようと思ったのだが、招待客のリストアップを始めた処、2人揃って頭を抱える事になった。
まぁ…ちょっと考えれば予想はできたはずなんだよね?でもそこを忘れていたもんだから今大変になってる。
ええ、そうです。番さん達です。
「ノエル様、私の所に相談が来ているのですが……。」
とカドラさんが恐る恐る訪ねて来たのは昨日の夕方だった。まだまだ招待客の選定の段階だけどサミュエル主催のパーティーは噂になっているらしい。
何故か?……答えはペロッと喋っちゃったトータ君という、うっかりさんのせいですね。一度、王都に帰ったトータは母様とお茶会をしていた。その時にトータは母様に「サミュエル様主催のパーティーは僕も呼んで貰えるので嬉しいです。」とニコニコ笑顔で言ってしまったそうだ。そんなのを母様と母様のお友達の前で言ってしまえばもう解るよね?羽を生やしたようにパァア~っと広がってあっちこっちで「フールフーガの王弟が開くパーティー誰が喚ばれる?」ともちきりになった。そしてそれは一番聞きやすく関係の近い人の邪魔になった。
「?カドラに?」
「そうそう。一応お嫁に来てもらう手前、カドラさんとの番関係は公にしてないけど、フールフーガの人だし一緒に来てるし一緒に住んでるからねぇ。一緒に歩いてる所も見られてるから仲も良いでしょ?って。しかもカドラさんは昼間は船大工学校を建てるのに色々な人に会ってるから聞きやすいんだろうね?」
ローランドの正妃の件はまだ発表してないからこれで済んでるけど発表されたらこんなもんじゃ済まないはずだ。
「だからもうΩの為のパーティーだって事を噂で流してもらったんだけど……。」
そう。カドラさんのお仕事を邪魔しないためにも『参加者はΩだけ~、残念でした~。サミュエルにすり寄ろうとしてもダメです~』って噂で対抗したのだけど、今度は真剣に生真面目にカドラさんの邪魔になる人が続出したんだ。それはΩの番をもつαさん達!
αさん達はそれはもう真剣に『番が迷惑をかけないように自分にフォローさせてほしい』と訴えているとか。つまり『パーティーには自分も参加したい』と言っている。でも下心からの希望じゃなくて友国の王族と自国の王族が関わるパーティーに自分の番が粗相するのを防ごうとして出たいと言ってるのはわかるから……。
「……なるほど。確かに。いくら私達は気にしませんと言ってもαさん達は気にするのでしょうね。」
そうなんだよね。しかもパーティーに喚ばれるかもっていうΩってつまりは僕の関係者、もしくは学校関係者だとは誰でも思うだろう。そしてその関係者には僕が番を大事に思う人限定にαさん達紹介をしてきたため、今回はこんな事になってしまった。
……ごめんサミュエル。
まぁ…ちょっと考えれば予想はできたはずなんだよね?でもそこを忘れていたもんだから今大変になってる。
ええ、そうです。番さん達です。
「ノエル様、私の所に相談が来ているのですが……。」
とカドラさんが恐る恐る訪ねて来たのは昨日の夕方だった。まだまだ招待客の選定の段階だけどサミュエル主催のパーティーは噂になっているらしい。
何故か?……答えはペロッと喋っちゃったトータ君という、うっかりさんのせいですね。一度、王都に帰ったトータは母様とお茶会をしていた。その時にトータは母様に「サミュエル様主催のパーティーは僕も呼んで貰えるので嬉しいです。」とニコニコ笑顔で言ってしまったそうだ。そんなのを母様と母様のお友達の前で言ってしまえばもう解るよね?羽を生やしたようにパァア~っと広がってあっちこっちで「フールフーガの王弟が開くパーティー誰が喚ばれる?」ともちきりになった。そしてそれは一番聞きやすく関係の近い人の邪魔になった。
「?カドラに?」
「そうそう。一応お嫁に来てもらう手前、カドラさんとの番関係は公にしてないけど、フールフーガの人だし一緒に来てるし一緒に住んでるからねぇ。一緒に歩いてる所も見られてるから仲も良いでしょ?って。しかもカドラさんは昼間は船大工学校を建てるのに色々な人に会ってるから聞きやすいんだろうね?」
ローランドの正妃の件はまだ発表してないからこれで済んでるけど発表されたらこんなもんじゃ済まないはずだ。
「だからもうΩの為のパーティーだって事を噂で流してもらったんだけど……。」
そう。カドラさんのお仕事を邪魔しないためにも『参加者はΩだけ~、残念でした~。サミュエルにすり寄ろうとしてもダメです~』って噂で対抗したのだけど、今度は真剣に生真面目にカドラさんの邪魔になる人が続出したんだ。それはΩの番をもつαさん達!
αさん達はそれはもう真剣に『番が迷惑をかけないように自分にフォローさせてほしい』と訴えているとか。つまり『パーティーには自分も参加したい』と言っている。でも下心からの希望じゃなくて友国の王族と自国の王族が関わるパーティーに自分の番が粗相するのを防ごうとして出たいと言ってるのはわかるから……。
「……なるほど。確かに。いくら私達は気にしませんと言ってもαさん達は気にするのでしょうね。」
そうなんだよね。しかもパーティーに喚ばれるかもっていうΩってつまりは僕の関係者、もしくは学校関係者だとは誰でも思うだろう。そしてその関係者には僕が番を大事に思う人限定にαさん達紹介をしてきたため、今回はこんな事になってしまった。
……ごめんサミュエル。
55
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる