Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
590 / 708

閑話:ある生徒の話

しおりを挟む
 つらつらと読み上げられる内容に目の前の3人は段々と顔色をなくしていく。幼児虐待から始まったそれはこの3人の罪状だ。先生がノエル先生が把握している事として読んでいるのだけどがこう把握しているというのが大きいよね。
 だってノエル先生といえば王、王妃、皇太子様が目にいれても痛くないほど可愛いと……溺愛してる人だ。そして今や殆どのαはノエル先生に頭が上がらない人。そんな人が[これだけ罪があるよ?]といってきているのだから顔色を失くすのも当然か。

 「[大事な生徒の将来に関わる事ゆえに、生徒自身に委ねる]」

 先生は読み終わると僕を見て「ノエル様から許可がありました。好きになさい。」という。
 ……えっと、スミマセンがよくわかりません。

 「ノエル先生が王族の立場で訴えを了承したからあとは好きにして良いよって言っているんだ。」

 困惑してた僕に番から助け船がでた。どうやらある程度は僕が思うようにしてもらえるらしい。
 そして先生が証人となって法的な手続きもしてもらえるとか。
 それならば僕が望むのは[関係ない人になる、二度と会いたくない]という事だ。
 そう伝えると先生からは「それだけで良いのですか?望めばこの人達を鉱山労働に出すことも可能ですよ」と言われた。

 「いえ、この先僕と会うことがなく手紙や人を介しての接触等もなくなればそれで良いです。だって鉱山なんて行ったらほぼ廃人決定でしょう?僕はこの人達と違って普通の精神ですから廃人になるとわかってる所には……。この人達に対して罪悪感とかもちたく無いので。」
 
 僕は正直に答えた。この十数年の間一度もこの人達について考えた事などなかった。この先もそうでありたい。

 僕の答えに先生は鞄から何かを取り出し……あ、立派な装飾がされた紙だ。そこにサラサラっと書き上げ僕にサインを求めた。
 サイン前に書いてある事を把握するのはとても大事な事だ。
 ……僕への謝罪は目に見える形で行う。
王都、王都に隣接する土地からの追放。財産も王都の物は没収し遠い地方の屋敷、土地を残す。僕との接触は禁止、僕の周りの人への接触も禁止。

 なるほど、これなら今後は会うこともなく僕はすっかり忘れていられるだろう。
 僕は大満足でサインをした。……極薄い2枚目の紙があることも知らずに。

 「はい結構。大変結構です。では…」
と先生が先程サインをした内容を読み上げ3人に聞かせる。この邸や財産は取り上げられるが別宅が2つあるらしくそこは大丈夫と知って父はホッとしていた。

 「……続けます。」と2枚目の紙が目の前で出され僕はギョッとして目をむく。これが故意だとわかったのは先生の笑顔が悪かったからだ。

 「なお、没収された土地邸は被害者に所有権をかえる。」
しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...