Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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泣き言

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 帰って来て爺のお出迎えを見たときは心底ほっとした。やっぱり爺の『お帰りなさいませ』は他の人とは違う安心感があるんだ。

 自分の部屋でまったりとお茶を飲んでふ~と一息ついているとコンコンとノックがあった。「は~いどーぞ~」という返事が終わらないうちにドアは開き駆け込んできた……アンリ?珍しい。

 「母上!あの金塊はなんなんですか!?」
 
 第一声の言葉に僕の頭は理解ができずに???を浮かべた。“あの金塊”?とは……?何の事?

 「あの!金庫にある!頭の形の!」

 ああ!解った!あれか!
 頭の形というので理解した。

 「アレねぇ~。アレは十数年前に受け取った迷惑料の一部だよ。」

 覚えているだろうか、今はもう小分けされて吸収合併された隣の領地を。僕に難癖を散々付けて最後には王妃襲撃とまでなったあの事件だ。あの事件で[人の頭程の大きさの金塊]が迷惑料として数年の間送られたのだけど、最初の支払いの時向こう側の嫌がらせでご丁寧に人間の頭の形に成型して送ってきたのだ。……なんなら父様に似ていた。

 「自国の王の形をした金塊を溶かせるものなら溶かしてみろ…と言いたかったんだろうね。当時はこの領地は整備のためにお金がいくらあっても足りなかったから、迷惑料の金塊を溶かして小さくして色んな支払いにしたかったんだけどあの形じゃもったいなくて崩せないでしょ。だからあのまま置いておいたの。」

 せっかく嫌がらせでとはいえわざわざ成型までしてくれたのだが父様似の形や動物の顔なんて面白いじゃないか。向こうの思惑とは別に僕は意外と喜んだ。……支払いだけでも大変なのにわざわざ金型から作ってやったのにねぇ。

 「だからって正面に飾る必要無いでしょ?!ビックリしたんですよ!」

 金庫の正面に設置してあるので入ってみたら明かりで照らされたアレがありビックリしたらしい。ごめんねぇ~、爺教えてあげなきゃ。……え?爺は使用人の立場として金庫内はノータッチ?
 (こんな時だけ使用人の立場って…ブツブツ)

 「じゃあ今度は端に避けて置くか」

 「箱に入れて下さい。」

 意外と怖がりさんなのが判明したアンリはその後もアレが大変だったコレが大変だったと泣き言をぶつけた後に恒例の「母上本当にΩですか?」と言う。「お前達を産んでるんだからこれ以上の証拠はないでしょ」と返したがアンリは相当凹んでいるようでしょんぼりしながら帰っていった。

 これはフォローしておかないといけないと思った僕はお風呂に入ってホコホコになった後、「今日はご褒美で添い寝してあげるから~」とアンリを訪ねたが追い返され、爺によって連れ帰られた。
 せっかく小さい時みたいにギュ~ってしてあげようとしたのに。
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