Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ローランド、頑張るんだ!

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 泣いて平謝りを続けた元侯爵は投げかけられた質問(一部抗議の声)に答え続けた。時間にして約一刻(だいたい2時間)経ったあたりで一度休憩が入ったが元侯爵はまだ聞き足りない貴族達の問に答えている。

「イエイガー老、この度の事は本当になんとお礼を……」

「いやいや…この老人はもう先がないのでな、最後にこんな愉し……ゴホン……名誉な機会をいただいたのだ。」

 お茶を飲みながら控室にいた父様と話をしている。今回父様は前に出ず皇太子であるローランドを立役者にしている。ただやっぱり経験がない若輩なのでここでイエイガー老が出てバックが完璧何だという事を示している。
…はずだ。

「今日は質疑応答のみで終わりですかな?」

 そうだね、父様が出てこないならイエイガー老の言う通り聞くだけ聞いて後は城で父様から言い渡されるのかな?流石にここまで証拠揃ってるなら罰を言い渡しても良いと思うけど?

 「ああ、いや。ローランドに任せる。」

 ピタリと僕とローランドの行動が止まる。続いてローランドから「ち ち ち 父上!?」と抗議の声が上がったが父様も老もまるっと無視して話を続け、含み笑いまでしてる。いきなりの責任重大にそこら辺をウロウロしたローランドは僕に気づくと泣きついてきた。……まぁそうなるわな。落ち着け~落ち着け~、頑張れ~。




 休憩が終わり、始まりの知らせをイエイガー老が告げ徐ろおもむに『王様からの手紙』とわかる物を横においた。
 なんでわかるかって?そりゃ補佐の人が恭しくうやうやトレーに豪華な布をひいてその上に乗せられてる封筒なんて貴族なら誰でも察する。

 「さて、先程の時間で知りたいことは聞いた。ノエル様、貴方は数多いるΩの代表としてお答えいただきたいのだが、この者達に何を望む?」

 これもさっきの休憩で父様に言われた事だ。今回の罪状のメインは反乱の意思があった事、実行しようと動いてた事になる。だけど一般の方からみたら被害は人身売買によって起った事だから無視するのも駄目な訳。だから日頃からΩ保護で動いてた僕がお願いする形にすればいろいろな方面からみても大丈夫なんじゃなかろうか?と。
 ええええ。さっき聞いたばっかりだったから驚いたよ。ローランドにエール送って他人事にしてたのにしっかり巻き込まれた。

 「はい、元侯爵と元侯爵夫人に望むことは多々あります!先ずは売られた人を返してほしい。そしてその人達から奪った尊厳と時間に対して充分な保障を。……まぁ、いくらお金を払われても保障なんてできっこないんですが無いよりはあった方がマシなので一族郎党で働いてでも払って下さい。」

 ぬるい事を言ってる様に聞こえるかもしれないけど決して優しい事は言ってない。軽く見積もって150人の人が家に返せるはずだ。その人数に一生働かず過ごせるお金と生活の保証を求めたのだから。

 「次に、Ω蔑視を侯爵という立場で公言していたという事から起きたであろう事件や被害についての謝罪と反省、保証を求めます。」

 平たく言えば、侯爵領地内で起こっていたΩ差別の原因だから全てのΩにやってね。と言ったのだけど老がそれに頷きながら「侯爵という立場は貴族内にも影響を及ぼしやすい。侯爵位以下の貴族にどれだけ影響があったか……イヤイヤ、恐ろしい。」などと言ったものだから僕の発言の範囲は倍増?いやもっとだな。
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