Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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リリー

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 お母様の所からお祖母様の元に来てからお城の教師に付いていただき、勉強を頑張りました。ローランド叔父様に色々とお教えした方でお母様の事も少しご存知でした。
 その先生は貴族にしては自由な発想をお持ちだったので私の疑問を色々と聞いていただき粗方は解決しました。一番の疑問はお母様は第一子ですがΩだからお祖父様の後を継げないことでした。

 なぜこれをずっと疑問に思っていたかというと、お母様はΩは王位に就いてもおかしくない政治能力があると思ったからです。ですが先生に『政治能力を外して見て下さい』と言われ……理解しました。
 王位につく人が必ず必要とする素質が皆無でした。それは一言で表すなら『冷徹』です。一方のお母様は情に厚く情を捨てられないお人ですから向いてないのです。

 そして今回の騒ぎは私の居る場所でも聞きました。お祖母様の秘蔵っ子として奥宮の更に奥にいるのに、叔父様を甘く見た貴族がいたと聞きました。侍女さん達の噂を立ち聞きするのは淑女としてマナー違反ですが……ごめんなさい、貴族社会は情報が大事なんですものね?先生、情報収集の為です!

 「それにしても侯爵の位にあった人でしょう?領地経営が上手く行ってないって言ったって、普通に貴族生活くらいはできるでしょうにねぇ?」
 「なんでも政治中央にいたかったらしいわ~。ほら、ローランド様ってまだお子様居ないでしょ?皇太子妃様を迎えたっていってもアレだし。トータ様は産んでも王位継承権はいらないって言ってるから~。」
 「ああ~、自分の娘を2番目の妾にって狙う人もいるか。なるほど~。」

 同じ噂は別の人同士でも聞いたので間違いないでしょう。そんな時、お祖父様とお祖母様からお話をいただきました。

 「リリー、貴女正式にこの国の王女になる気はありませんか?」

 と。……とっさにはどうお返事していいかわかりませんでした。思ったのはお母様の事です。お母様は……アレ?
お母様…「リリーは遠くない先にお城に取られちゃう」ってアンリ兄様の時言ってた?

 私はあまり気持ちが表情に出ないのですが流石にこの時は出ていたようです。お祖母様にゆっくり考えるようにと言われ退出しました。

 お部屋に帰っても頭がグルグルしていたので思い切って今はこちらに来ているお母様のお部屋に行ってしまいましょう!
 お母様に倣って秘密通路の探索をしておいて正解でした。私のお部屋近くの入口から入り一度お庭に出て、庭師小屋近くからまた入って厨房の裏、お祖父様の謁見室の裏を通りお母様が滞在する王子宮ヘ来ました。この先はお母様のお部屋直通の出入り口です。……いきなりこの通路から行っても平気でしょうか?お部屋に侍女さんがいたら?

 「ここで止まっちゃってどうしたのリリー?」

 コトトンっと音をたてて開かれたドアの向こうにはお母様がいた。その後ろには爺が居たので直ぐに爺がお母様に教えてくれたのだとわかった。

 「……ねぇ、お母様?お母様はなんでずっと前から私がお母様から離れるって言っていたの?」
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