タイトル: 「鏡の迷宮」

Selfish

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第二章:姿なき影

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登場人物:
1. 五条遥(ごじょう はるか)
 30歳のフリージャーナリスト。村の伝承を調査するために訪問。過去に兄を失った経験を持つ。
2. 三崎蓮(みさき れん)
 35歳の歴史学者。月隠村の古文書に興味を持ち、遥に誘われて同行する。
3. 城戸茉莉(きど まり)
 28歳の会社員。都会で起きた事件の関係者として村に逃げ込んだ。何かを隠しているような態度が目立つ。
4. 深見陸(ふかみ りく)
 40歳の刑事。失踪事件の捜査をしているうちに村にたどり着く。職務に忠実だが、どこか冷たい印象。
5. 槙原涼(まきはら りょう)
 45歳の建築家。村の古い建造物の保存を手掛けるための調査目的で訪問。実はある遺産を狙っている。
6. 柊千鶴(ひいらぎ ちづる)
 18歳の女子高生。失踪した姉の手がかりを追って村に来た。明るい性格だが、時折見せる暗い瞳が気になる。

霧の中に揺れる遺体。村の広場で見つかった男の死体に、遥たちは言葉を失った。
最初にそれを発見したのは女子高生の柊千鶴だった。彼女の叫び声が村中に響き渡り、急いで駆け付けた住民と宿泊者たちがその惨状を目撃した。

「顔が……ない……」
千鶴の声が震える。死体の顔は完全に潰され、誰のものか判別することができない。それどころか、手足には奇妙な傷が無数にあり、血痕が地面に長く引きずられた跡を描いていた。

「終わりの始まり」と刻まれた鏡が死体の隣に置かれていることに気づいたのは、刑事の深見陸だった。彼は手袋をはめ、慎重に鏡を手に取る。

「この鏡……古いな。何かの儀式に使われたものか?」
そう呟きながら裏面を見ると、さらに小さな文字で別の言葉が刻まれていることに気づいた。

「欠けたピースを探せ」

「欠けたピース?」陸は眉をひそめたが、それ以上深く言及することはなかった。

一方で、村人たちは動揺を隠せないでいた。矢部重三が沈んだ声で言う。
「村の掟に逆らった者が神罰を受けたのかもしれん……」

「神罰?」と蓮が眉をひそめる。

重三は語り始めた。
「この村には昔から『鏡の神』が祀られている。願いを叶える代わりに、必ず『対価』を支払わねばならないという。だが、その対価を払わずに鏡を手にした者は、命を落とすのだ――」

この話を聞いて、一行の中には明らかに動揺している者がいた。特に城戸茉莉の顔が青ざめている。遥はその表情を見逃さなかった。
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